水平精度が1〜2cmと良好で、垂直誤差だけがチェックポイント上で一貫した全体シフトとして現れる場合、GNSS品質ではなく系統的な計算誤差が疑われます。GCPでモデルを固定していない条件では、カメラ焦点距離の最適化と測地基準系(datum)の不一致が主な要因です。
回答
要因の考え方
| 要因 |
内容 |
| カメラ焦点距離の最適化 |
機体の内部カメラパラメータが正確に校正されていないと地面までの距離が誤算される。わずかな焦点距離誤差が全体的な垂直シフトに直結する。 |
| 測地基準系(datum)の不一致 |
基準局とチェックポイントで異なる基準を使用している場合、垂直方向に一貫したシフトが生じる。 |
| カメラのレバーアームオフセット |
レバーアームオフセットは機体のメタデータから提供され、ソフトウェア側は報告された値をそのまま適用する。DJIプラットフォーム間で標準化されたワークフローのため、ソフトウェア側のレバーアーム誤差は考えにくい。 |
| ログレートと飛行ダイナミクス |
新しいDJIプラットフォームは飛行がよりダイナミックで、加えてGNSS/イベントログの記録が10Hzから5Hzに低減されている。時間方向のサンプリング密度が半減するため、補間や急な機動時の姿勢変化に対する感度が上がる。通常は飛行の端における「ノイズ」として現れるもので、全体的な垂直シフトの原因である可能性は低いが、飛行ダイナミクスの設定を抑えることは推奨される。 |
切り分けの手順
- 比較する2機のPPK処理後CSVに含まれる生のZ値を取り出す。
- 同一地点でZ値がほぼ同一であれば、後段の写真測量ソフトにおけるカメラ最適化工程でシフトが発生している。
- CSVの時点ですでに差がある場合は、PPK処理時のdatumに問題がある可能性が高い。
うまくいかない場合の切り分け
| 症状 |
確認すること |
結果と次の手 |
| 水平は1〜2cmだが垂直だけ10cm以上ずれる |
誤差がチェックポイント全体で一貫したシフトか、点ごとにばらついているか |
一貫したシフトなら系統誤差。PPK処理後CSVの生Z値を機体間で比較する。 |
| CSVの生Z値は2機でほぼ同一だった |
写真測量ソフトのカメラ最適化設定 |
カメラ焦点距離の最適化でシフトが発生している。内部カメラパラメータの校正状態を確認する。 |
| CSVの時点で機体間にZ値の差がある |
基準局とチェックポイントで使用している測地基準系(datum)が一致しているか |
不一致であればPPK処理時の基準系設定を揃えて再処理する。 |
| 飛行の端部で誤差が大きい |
飛行速度・旋回・高度変化の設定 |
ログレートが低い機体では急な機動で姿勢変化への感度が上がる。飛行ダイナミクスを抑えて再取得する。 |
前提条件・注意事項
- 本記事はGCPによる補正・最適化を行わない条件での見解です。GCPでモデルを固定する場合は前提が変わります。
- 機体のログレートやメタデータ仕様は機種・ファームウェアにより異なります。
最終更新:2026年9月