赤外線が要るか、要らないか。
選択はそこから始まります。
Matrice 4DとMatrice 4TDは、機体・耐候性・飛行時間が共通です。違いはカメラ構成だけと言い切ってよいほど設計が揃っています。用途に必要なのが「可視の解像度」なのか「熱の情報」なのかで選んでください。

Matrice 4D
Matrice 4Eと同系統。赤外線が不要な現場へ。
- 4/3型CMOS 20MPの広角カメラ(f/2.8〜f/11・24mm相当)
- メカニカルシャッター搭載。移動しながらの撮影でも像が流れにくい
- 70mm中望遠(1/1.3型 48MP)/168mm望遠(1/1.5型 48MP)
- 写真形式はJPEGとDNG(RAW)。写真測量の後処理に対応
- IP55・最大飛行時間54分・非折り畳み式

Matrice 4TD
Matrice 4Tと同系統。熱で異常と対象を探す現場へ。
- 赤外線カメラ 640×512(非冷却VOxマイクロボロメーター)
- 測温範囲 −40〜150℃(高ゲイン)/0〜500℃(低ゲイン)
- NIR補助ライト搭載(FOV 5.7°±0.3°)。夜間の対象確認に
- 可視広角は1/1.3型 48MP f/1.7。中望遠70mm・望遠168mmは4Dと共通
- IP55・最大飛行時間54分・非折り畳み式
迷ったときの判断軸
- 赤外線が不要なら
- Matrice 4D。4/3型20MPの広角とメカニカルシャッターで、写真測量と可視点検の精度を優先できます。
- 赤外線診断・熱感知・夜間運用が必要なら
- Matrice 4TD。過熱箇所の把握、夜間の捜索、生体の熱源探知など、可視カメラだけでは判断できない業務に対応します。
- 雨天・降雪・スキー場など、天候に左右されにくい運用が必要なら
- 折り畳み式のMatrice 4E/4Tではなく、IP55のMatrice 4D/4TDを第一候補にしてください。
見えているものを、
そのまま記録して測る。
Matrice 4Dは、可視カメラ3眼で構成された機体です。4/3型20MPの広角にメカニカルシャッターを備え、写真測量・可視点検で求められる「歪みの少ない静止画」を安定して残せます。赤外線カメラは搭載していません。

Matrice 4Dのカメラ部(広角・中望遠・望遠の3眼)/画像:DJI公式製品ページ
見えないものを、
熱で見つけに行く。
Matrice 4TDは、可視3眼に赤外線カメラとNIR補助ライトを加えた構成です。設備の過熱箇所、夜間の対象確認、熱源の探索など、可視カメラだけでは判断できない業務に対応します。可視広角はf/1.7の明るいレンズで、暗所での取り回しに配慮されています。

Matrice 4TDのカメラ部(可視3眼+赤外線+NIR補助ライト)/画像:DJI公式製品ページ
※ Matrice 4TDの写真形式はJPEGです。メカニカルシャッターは搭載していません。RAW(DNG)と歪みの少ない静止画が必要な写真測量用途では、Matrice 4Dをご検討ください。
Matrice 4E/4Tとの違い
カメラの系統は同じでも、機体としての性格は異なります。Matrice 4E/4Tは折り畳めて持ち運びやすい機体、Matrice 4D/4TDは畳まないかわりに耐候性と飛行時間を確保した機体です。どちらが優れているかではなく、運用形態で選び分ける関係にあります。
| 項目 | Matrice 4E/4T | Matrice 4D/4TD |
|---|---|---|
| アーム構造 | 折り畳み式 | 非折り畳み式 |
| IP等級 | 保護等級の規定なし | IP55 |
| 最大飛行時間 | 49分(標準プロペラ) | 54分(ホバリング時47分) |
| 重量 | 約1,219 g | 1,850 g(最大離陸重量 2,090 g) |
| カメラ | 4E=可視3眼(4/3型20MP広角)/4T=可視3眼+赤外線640×512 | 4D=可視3眼(4/3型20MP広角)/4TD=可視3眼+赤外線640×512 |
| 単独運用 | 送信機による運用が前提 | DJI RC Plus 2 Enterpriseで対応 |
| DJI Dock 3 | 非対応 | 対応 |
| 伝送 | DJI O4 Enterprise | DJI O4+ Enterprise(2T4R) |
| 向いている運用 | 現場へ持ち込み、畳んで運ぶ。可搬性を優先する運用 | 常設・車載で待機させる。天候と時間帯に左右されない運用 |
※ 数値はDJIの公表仕様に基づく公称値です。最大飛行時間は管理された試験環境での値であり、実際の運用時間は天候・飛行高度・搭載物・バッテリー状態・飛行ルートにより変動します。
Matrice 4D と Matrice 4TD の比較
機体・耐候性・飛行時間・伝送は共通です。差が出るのはカメラ部とジンバルの可動範囲、そして写真形式です。
| 項目 | Matrice 4D | Matrice 4TD |
|---|---|---|
| 主な用途 | 写真測量・可視点検 | 赤外線診断・熱感知・夜間運用 |
| 広角カメラ | 4/3型CMOS 20MP/f/2.8〜f/11/24mm相当/FOV 84° | 1/1.3型CMOS 48MP/f/1.7/24mm相当/FOV 82° |
| 中望遠カメラ | 1/1.3型CMOS 48MP/f/2.8/70mm相当/FOV 35° | 1/1.3型CMOS 48MP/f/2.8/70mm相当/FOV 35° |
| 望遠カメラ | 1/1.5型CMOS 48MP/f/2.8/168mm相当/FOV 15° | 1/1.5型CMOS 48MP/f/2.8/168mm相当/FOV 15° |
| 赤外線カメラ | 非搭載 | 640×512/非冷却VOxマイクロボロメーター 測温 −40〜150℃(高ゲイン)/0〜500℃(低ゲイン) |
| NIR補助ライト | 非搭載 | 搭載(FOV 5.7°±0.3°) |
| メカニカルシャッター | 広角カメラに搭載(2〜1/2000秒) | 非搭載 |
| 写真形式 | JPEG/DNG(RAW) | JPEG |
| ジンバル可動範囲(チルト) | −140°〜+50° | −140°〜+113° |
| レーザー測距 | 1,800 m(反射率20%・垂直入射時) | |
| IP等級 | IP55 | |
| 最大飛行時間/ホバリング | 54分/47分(公称値) | |
| 最大風圧抵抗 | 12 m/s(離着陸時も12 m/s) | |
| 動作環境温度 | −20〜50℃ | |
| 重量/最大離陸重量 | 1,850 g/2,090 g | |
| 寸法 | 377.7×416.2×212.5 mm(プロペラ除く・非折り畳み式) | |
| 伝送 | DJI O4+ Enterprise(2T4R) | |
| RTK | 機体に内蔵 | |
| 障害物検知 | 全方向双眼ビジョンシステム+3D赤外線センサー | |
| バッテリー | 6,768 mAh/22.14 V/149.9 Wh | |
| 単独運用 | DJI RC Plus 2 Enterprise に対応 | |
| DJI Dock 3 | 対応 | |
| 型式認証 | 第二種型式認証 取得(型式認証書番号 第13号) | |
※ 仕様はDJIの公表値に基づきます。構成・ロット・ファームウェアにより異なる場合があるため、調達要件に関わる数値は個別にご確認ください。
天候と時間帯が、
運用計画の制約でなくなる。
IP55と54分の飛行時間、そして畳まずに置いておける機体構造。この3つが揃うと、これまで「晴れた日の日中に集中させるしかなかった」業務の組み立て方が変わります。

スキー場
索道設備・支柱・圧雪状況の確認、営業前後の巡回、遭難者の捜索補助。降雪と低温、そして人がすぐに近づけない斜面という条件が重なる場所です。動作環境温度は−20〜50℃。
4D/4TD
雨天・降雪時の設備点検
「雨だから明日」を繰り返すと、点検計画は必ず後ろにずれます。IP55の機体であれば、悪天候を理由に予定を落とす回数を減らせます。ただし降雨量・風速の運用上限は必ず確認してください。
4D/4TD
災害初動
被害が出ている時間帯は、たいてい天候が荒れています。降雨中でも上げられること、到着後すぐ飛ばせること、54分粘れること。初動で効くのはこの3点です。
4TD推奨
山間部・送電・道路
移動に時間がかかる長大な線状構造物。1フライトあたりの飛行時間が延びるほど、離着陸のための移動回数が減ります。168mm望遠で離隔を取ったまま細部を記録できます。
4D推奨
夜間捜索・熱感知
赤外線640×512とNIR補助ライトで、可視カメラでは判別できない対象を探します。夜間飛行は第二種型式認証の対象となる特定飛行に含まれます。
4TD推奨
設備の定期巡回
同じルートを同じ画角で撮り続けることに意味がある業務です。Dock 3と組み合わせれば、人の移動をともなわずに巡回の頻度そのものを上げられます。
4D/4TD単独運用と、Dock 3運用。
どちらでも使えます。
Matrice 4D/4TDはDJI Dock 3向けに設計された機体ですが、Dock専用機ではありません。DJI RC Plus 2 Enterpriseと組み合わせれば、送信機による通常のマニュアル運用ができます。まず単独運用で始めて、後からDock 3を追加する導入手順も取れます。

単独運用(DJI RC Plus 2 Enterprise)
送信機を持って現場へ行き、その場で飛ばす、従来どおりの運用形態です。
- Dock 3を設置しなくても導入できる
- 現場ごとに離着陸点を選べるため、初期の適用範囲を広げやすい
- 非折り畳み式のため、収納ケースと車両積載スペースは事前確認が必要
- 操縦者の技能証明・限定解除の要件は運用内容により異なる

Dock 3運用(常設・車載)
機体を現地に待機させ、遠隔から飛ばす運用形態です。車載での展開にも対応します。
- 人の移動をともなわずに巡回頻度を上げられる
- 車載時は駐車勾配3°未満、走行中はカバーを閉じる等の条件がある
- 設置場所の電源・通信・落下時のリスク評価が導入の前提になる
- ドック運用時の気象条件(降雨量・風速)の上限を運用ルールに落とし込む
IP55は「どんな雨でも飛べる」
という意味ではありません。
耐候性は運用の自由度を広げますが、無条件の許可証ではありません。調達要件や運用規程に落とし込む前に、次の点を社内で共有してください。
- IP55が示す範囲IP5X=粉じんの侵入を完全には防がないものの、動作に有害な影響を及ぼす量は侵入しない。IPX5=あらゆる方向からの噴流水に対して有害な影響を受けない。豪雨・水没・高圧洗浄に対する保証ではありません。
- 気象条件の運用上限があるDJIはドック運用時の目安として、風速12 m/s・降雨量2 mm/hを示しています。この上限を超える条件での運用は想定されていません。
- 雨・雪・霧はセンサー性能を下げる降水や霧の中では、障害物検知の性能が低下します。耐候性があることと、悪天候下で同じ安全余裕が確保できることは別の話です。
- IP性能は経年で低下するシール材やパッキンは、摩耗・劣化・衝撃・分解によって性能が落ちます。出荷時の保護等級が使用期間を通じて維持されることを保証するものではありません。定期点検を前提に運用してください。
- 飛行後の取り扱いが寿命を左右する降雨・降雪後は、水分・付着物を除去してから収納・充電してください。塩分を含む環境(海岸部・融雪剤散布路線)では特に影響が大きくなります。
- 法令上の手続きは別途必要耐候性は航空法上の許可・承認を代替しません。夜間飛行、目視外飛行、人口集中地区上空などの特定飛行は、機体認証・技能証明・限定解除の状況に応じて手続きの要否が変わります。
※ 補助金(緊急防災・減災事業債 等)の適合可否は年度・自治体により変わります。断定的なご案内はできませんので、対象年度の要綱にもとづき個別にご確認ください。要件整理はSkyLink Japanで支援します。
機体を選ぶ前に、
運用全体を設計します。
Matrice 4D/4TDは、単独運用でもDock 3運用でも成立する機体です。だからこそ「どちらの形で回すか」を決めないまま調達すると、あとから構成を組み替えることになります。SkyLink Japanは、要件整理の段階からご一緒します。
要件整理と構成選定
点検対象、必要な分解能、記録の残し方、飛行頻度から、4Dと4TDのどちらが適合するかを整理します。両方を導入すべきケースもあります。
見積・調達要件の確認
機体・送信機・バッテリー・保守を含めた構成でお見積りします。調達仕様書に必要な仕様値の裏取りにも対応します。
飛行申請・運用設計
型式認証・技能証明・限定解除の組み合わせから、対象業務で手続きが必要かどうかを整理し、運用ルールの形にします。
導入後の運用支援・保守
操作トレーニング、定期点検、修理受付までを国内窓口で対応します。IP性能を維持するための点検周期もあわせてご案内します。
よくあるご質問
Matrice 4D/4TDは、DJI Dock 3がないと使えませんか?
Matrice 4E/4Tとの一番の違いは何ですか?
IP55なら、雨の中でも問題なく飛ばせますか?
4Dと4TD、どちらを選べばよいですか?
折り畳めないと、持ち運びが不便ではありませんか?
型式認証は取得していますか?
赤外線で撮ったデータは、そのまま報告書に使えますか?
補助金は使えますか?
4Dか、4TDか。
用途を伺えば整理できます。
機体単体のお見積りだけでなく、単独運用かDock 3構成か、必要な技能証明や申請の要否まで含めてご案内します。比較検討の段階でも構いません。
見積・運用相談フォーム
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