float解の要因は、基準局データの品質・基線長・電離層の影響と、機体側のGNSS受信状況の2系統に大別されます。基準局側に起因する場合が多いため、まず別のCORS局データでの再処理を試し、次にRTKPLOTで衛星の受信状況を確認します。
回答
1. 基準局側の確認(先に行う)
- 別のCORS局のデータで再処理し、結果を比較する。実際に別の基準局データで再処理して3cmで処理が完了した事例がある。
- 使用したCORS局のデータレートを確認する。1秒データではなく10秒データの場合、解に不利になる。
- CORS局が全星座を受信しているかを確認する。一部星座のみのデータは解に不利になる。
- 基準局までの距離(基線長)が長すぎないかを確認する。
- 取得時の電離層の状態を確認する。
- 切り分けの比較材料として、MakeItAccurateでの処理結果を用いる方法も有効。
問題はローバー側・基準局側のいずれにも起こり得ますが、基準局側に起因することが多いというのが開発元の見解です。
2. 機体側の確認
RTKPLOTのSatellite Visibilityで受信状況を確認します。データが取得できている区間とまったく取得できていない区間が交互に現れる場合は、機上のGNSSハードウェア/アンテナ側の問題を疑います。
3. 機体別に確認されている要因
| 機体 | 要因 | 対処 |
|---|---|---|
| Matrice 400 | 飛行挙動が動的であることに加え、旧DJI機種と比べてGNSSログの記録量が少ないため、RTKのfloat解が発生しやすい。 | 飛行速度を落とし、旋回を緩やかにし、高度変化も緩やかにする。旧DJI機体が残っていれば当面はそちらを使用する。設定側の対処は下記「解析パラメータの調整」を参照。 |
| Phantom 4 RTK | GNSSトラッキングの大きく頻繁な欠落。捕捉衛星数がゼロになり、その後復帰するパターンが繰り返される。機体が古いことによる機上のハードウェア/アンテナ不良が最も可能性が高い。筐体内部のリボンケーブルやアンテナコネクタが飛行振動で経年的に緩む事例が知られている。 | RTKPlotのSatellite Visibilityで欠落パターンを確認する。強い電波干渉が原因である可能性は相対的に低い。原因の特定には現品確認が必要。 |
4. 解析パラメータの調整(KlauPPK DJI版)
- KlauPPK DJIのインストールディレクトリ(通常
C:\KlauGeomatics\KlauPPK_DJIRTK)にあるdef.confをバックアップする。 def.confを編集し、仰角マスクpos1-elmaskを20〜25に上げて再処理する。- あわせてSNRマスク
pos1-snrmask_L1/_L2/_L5を40,35,25,25,0,0,0,0,0等に設定してSNRでフィルタする。
ただし衛星補足が少ない状況では、これらのフィルタが処理可能なデータをさらに減らし、結果品質を下げる場合があります。
うまくいかない場合の切り分け
| 症状 | 確認すること | 結果と次の手 |
|---|---|---|
| 精度が25cm程度にとどまる/結果が黄色(float)で表示される | 別のCORS局データで再処理した結果 | 別局で改善する場合は基準局データの品質・基線長が原因。元の局のデータレートと受信星座を確認する。 |
| 複数回撮影しても常にfloatになる。一部データで緯度経度が0になる | RTKPLOTのSatellite Visibilityで、捕捉衛星数がゼロに落ちる区間があるか | 取得区間と未取得区間が交互に現れる場合は機上のGNSS受信機・アンテナ側の不良を疑う。生産終了機種では内部ケーブル・コネクタの緩みの事例がある。 |
| 機材更新後にfloat解の発生頻度が急に増えた | 更新後の機体のGNSSログ記録量と飛行プロファイル | Matrice 400では飛行速度・旋回・高度変化を緩やかにする。改善しない場合は def.conf の仰角マスク・SNRマスクを調整して再処理する。 |
| マスクを厳しくしたら結果がかえって悪化した | 該当区間の捕捉衛星数 | 衛星補足が少ない状況ではフィルタが処理可能なデータをさらに減らす。バックアップした def.conf に戻して条件を緩める。 |
前提条件・注意事項
- 結果は基準局(CORS)のデータレート・受信星座・基線長・電離層状態など取得環境に依存するため、同一手順でも精度は変わり得ます。
def.confは編集前に必ずバックアップしてください。パラメータはKlauPPK DJI版のものです。- Matrice 400への対応は後継のKlauPPK UAVソフトウェアで改善されています。使用するソフト・版数により挙動が異なります。
- 機上ハードウェアの不良は現品確認による特定が必要で、ログの傾向だけでは断定できません。