米国の選挙結果を待って、ドローンの買い替えを決めるべきでしょうか。DJIなど中国製機の規制が緩むのか、非中国製機の価格や納期は変わるのか。日本で機体を選ぶ側にも、気になる選挙です。
2026年11月3日の中間選挙で、共和党が下院、あるいは上下両院の多数派を失った場合を考えます。私は、議会の多数派交代だけで、中国製ドローン規制が大きく巻き戻る可能性は低いと見ています。
法律、FCC(連邦通信委員会)の機器認証、大統領の関税措置は、それぞれ変更の手続きが違います。このブログでは、議会が決める予算・法改正と、行政が担う認証・飛行ルールを取り上げ、日本での機種選びや買い替えにどう関わるかを解説します。
議会の議席が変わっても、自動的には解除されません。
予算の規模・財源・部品の要件が交渉の対象になります。
機体を選ぶ際は、発注仕様・価格と納期・対米輸出条件・遠隔運用に注目します。
執筆基準日:(JST)。選挙結果は反映していません。政策の見通しとシナリオは、公表資料を踏まえたSkyLink Japan編集長の推察です。選挙の勝敗を予想するものではありません。番号は末尾の「出典・参考資料」に対応します。
中間選挙で動くのは、予算・法改正・議会の監督
中間選挙で選ばれるのは、下院の全435議席と上院の35議席です[2]。大統領を選び直す選挙ではなく、トランプ大統領の任期は2029年1月20日まで続きます。新議会の任期は2027年1月3日に始まります。
多数派が変わると、予算をどう配るか、どんな法律を通すか、何を公聴会で追及するかの主導権が移ります。上院では、FCC委員などの人事承認にも影響します。一方、現行法や行政機関の規則が、選挙の翌日に失効するわけではありません。

予算/法改正/公聴会・監督
大統領令・関税/FCCの機器認証/FAAの飛行ルール
選挙後の11〜12月には、いまの議員で審議する「レームダック会期」があります。2027会計年度の国防授権法(NDAA)は、下院が7月22日に216対212で可決した一方[3]、上院では7月14日の討論終結動議が必要な60票に届かず[4]、まだ成立していません。つなぎ予算の期限は12月11日です[5]。翌年度の国防法や予算の一部を、いまの議会が決める可能性もあります。
調達禁止・機器認証・関税を変える手続きを比べる
政策ごとの法的根拠と変更手続き
| 手段 | 法的根拠 | 変える方法 | 議会多数派の交代で変わるか |
|---|---|---|---|
| 国防総省による中国製ドローン・部品の調達・運用の禁止 | 法律(2020年度NDAA第848条)[6] | 法改正(両院の可決と大統領の署名) | 単独では変わらない。範囲の拡大・縮小はNDAAの交渉次第 |
| 連邦機関の調達・運用、連邦資金での利用の禁止 | 法律(American Security Drone Act、ASDA)。2028年12月22日に失効する規定[7] | 延長・恒久化には立法が必要 | 延長するかどうかの交渉に影響 |
| FCCのCovered List(外国製ドローン・重要部品、DJI・Autelの機器) | 安全で信頼できる通信ネットワーク法、2025年度NDAA第1709条、行政府の国家安全保障判断[8] | 判断が撤回・修正されれば、FCCが削除・修正する仕組み[9]。第1709条によるDJI・Autelの扱いを法改正なしに見直せるかは未確認 | 議会は監督と立法のみ。判断を見直すのは行政府 |
| FCCの機器認証の規則 | FCC規則(例:規制対象企業が製造する一定のロジック搭載ハードウェア部品を組み込んだ機器の認証制限、2026年10月13日施行)[10] | FCCの規則改正(意見募集が必要) | 単独では変わらない。委員長は大統領が指名し[11]、委員の承認は上院 |
| 232条のドローン関税 | 通商拡大法232条に基づく大統領布告[12] | 大統領が布告で変更 | 議会が覆すには立法が必要で、大統領は拒否権を持つ |
| 大統領令14307(米国製ドローンの優先など) | 大統領令[13] | 大統領が撤回・修正[14] | 単独では変わらない(覆すには立法が必要で、大統領は拒否権を持つ) |
| Part 108(BVLOS) | FAA規則。2024年FAA再授権法が期限を定める[15] | FAAの規則制定 | 監督と予算を通じて速度に影響しうる |
| 防衛予算(Drone Dominanceなど) | 毎年の歳出法・NDAA | 立法 | 直接影響する |
通常の法改正は両院の可決と大統領の署名が基本です。大統領の拒否権を覆すには、両院で3分の2の賛成が必要です。議会審査法(CRA)の決議も、大統領の拒否権の対象になります[16]。
新議会が動き始めるのは2027年1月。法律の成立、行政規則の公表、施行、企業の販売開始には、それぞれ別の日付があります。
中国製ドローン規制は、民主党が勝てば緩むのか
中国製ドローンへの制限は、ひとつの「禁止令」でできているわけではありません。国防総省の調達・運用を制限する2020年度NDAA第848条[6]、連邦機関などを対象とするAmerican Security Drone Act(ASDA)[7]、FCCの機器認証の制限[8]が重なっています。
このため、民主党が議会の多数派を得ても、そのまま販売再開や政府調達の解禁にはつながりません。法律なら法改正、FCCの措置なら根拠となる判断や規則の見直しが必要です。
対中国の調達制限は、両党が関わって作られてきた
ASDAは民主党のウォーナー上院議員と共和党のリック・スコット上院議員が提出しました[17]。DJI・Autelのリスク判断を定めた第1709条を含む2025年度NDAAも、下院281対140、上院85対14で可決され、バイデン大統領が署名しています[18]。
自治体にDJI機の使用中止を求めた下院中国特別委員会の書簡も、共和党と民主党の連名でした[19]。ドローンのサプライチェーンを対象とする商務省の事前規則案は、バイデン政権末期の2025年1月に公表されています[20]。私は、政党の交代だけを理由に大幅緩和を見込む根拠は乏しいと考えています。
代替機の費用や消防・農業の利用者への負担が、議会の監督で論点になる可能性はあります。ただし、利用者の負担を議論することと、規制を撤回することは別です。
FCCの新規認証と、すでに認証された機種を分ける
FCCは2025年12月22日、外国製ドローンと重要部品、DJI・Autelの機器などをCovered Listに加えました。リスト掲載は、新たな機器認証を制限する措置です[8]。この追加によって、認証済みの既存機の輸入・販売・使用が一律に止まったわけではありません。政府調達の制限や関税は、別に確認します。
ただし、FCCは2026年7月、サーマル・LiDAR搭載機やドッキングステーションなど7区分について、認証済み外国製機の輸入・販売も止める案を示しました[21]。11月2日時点で、この案の最終決定は確認できていません。DJIの訴訟も続いています[22]。
非中国製機でも、外国製であれば認証経路の確認が必要です。米国防契約管理局(DCMA)のBlue UAS Cleared Listに掲載された製品や、Buy Americanの基準で「国内最終製品」に該当する製品には、2028年1月1日までの適用除外があります[23]。単に「非中国製」と説明するだけでは、適用除外の証明にはなりません。
ACSLは、SOTENについて必要な許可を取得し米国で継続販売できると説明しています[24]。販売中の機種の許可と、これから投入する新機種の認証は、機種ごとに確かめる必要があります。
目視外飛行のPart 108は、FAAの最終規則を待つ段階
Part 108は、BVLOS(目視外飛行)を日常的に行うためのルール案です。FAA(連邦航空局)は2025年8月7日に規則案を公示しました[25]。2026年11月2日時点では、最終規則はホワイトハウスのOIRA(行政管理予算局の情報・規制問題室)で審査中です。受付日は7月10日で、「Pending Review」と表示されています[26]。
法律は規則案の公示から16か月以内の最終規則を求めており、計算上の期限は2026年12月7日です[15]。これは施行日や事業者が運用を始められる日を保証するものではありません。運用計画を立てる際は、最終規則の施行日と適用条件を確かめてください。
規則案には、運航者の許可・認証、1人で複数機を運用する条件、運航管理などを担う第三者サービス(Part 146)が含まれます[25]。物流やDockを使う遠隔点検では、機体の性能に加え、衝突回避や運航管理の要件が事業の費用を左右します。
配送事業は、個別の承認を得ながら先に広がっています。ウォルマートは2026年5月、WingとZiplineによる配送が累計100万件を超えたと発表しました[27]。Wingは2027年に270を超える店舗への拡大を掲げています[28]。これらの事業実績と、Part 108による制度の一般化は分けて見る必要があります。
中間選挙はFAAの予算や議会の監督に影響します。具体的な運航条件は、FAAが規則の中で定めます。日本の物流・点検事業者も、複数機運用や運航管理に求められる条件を、自社の遠隔運用の計画と比較できます。
防衛向けドローン調達は、予算の財源と部品要件が焦点
防衛向けドローンの需要を見るときは、予算要求、成立した予算、実際の発注を分けます。Drone Dominanceは、2027年までに20万機超の小型ドローンを取得する目標を掲げ、第1段階では3万機を発注しました[1]。目標機数がそのまま確定発注を意味するわけではありません。
私は、議会の多数派交代による変化は、まず追加予算の規模と財源をめぐる交渉に表れると見ています。財政調整措置(reconciliation)は、予算に関する一定の法案を上院の単純過半数で進める仕組みですが、両院の合意した予算決議が前提になります。共和党が下院を失えば、共和党だけでこの手法を進めることはできません。
小型無人機や対ドローンは、両党の政権がそれぞれ進めてきた分野です。ReplicatorからDAWGへの引き継ぎ[30]、Blue UASリストのDCMAへの移管[31]も進んでいます。選挙後には、既存計画の継続と、追加予算の規模・財源・執行の監督を確かめる必要があります。
日本メーカーは、完成機だけでなく部品の条項も読む
上院NDAA案第847条は、調達制限に関わる通信・航法・カメラ・センサーや、電池、BMS、モーター、ESCなどの要件を広げる内容として解説されています[32]。これは成立済みの最終条文ではありません。対象となる部品、開発国・製造国の条件、適用時期は、成立した法律で確認します。
日本製の完成機でも、主要部品の由来を問われる可能性があります。対米輸出を考えるメーカーには、電池や制御系を含む部品表と、メーカーが発行する原産国・供給体制の資料が必要になります。
800MHz帯の利用と関税は、行政の手続きで動く
800MHz帯の上空利用は、命令の施行とサービス条件を確かめる
FCCは2026年10月29日、800MHz帯の携帯電話用周波数(824〜849MHz/869〜894MHz)で、ドローンの上空利用を妨げていた規定を改める命令を採択し、30日に本文を公表しました。命令は連邦官報への掲載から30日後に発効します[56]。
専用周波数を新たに割り当てる措置ではなく、既存の携帯電話用周波数の利用条件を改めるものです。採択、公表、施行、通信事業者のサービス開始は別の段階です。11月2日時点では、官報掲載にもとづく施行日を確認できていません。実際に使う際は、対応端末の認証と通信事業者のサービス条件も確かめてください。
ドローン関税は、日本製でも自動的に15%にはならない
2026年9月3日からの232条関税は、原則として最大離陸重量25kg以下の機体に25%、25kg超の機体、サーマル搭載機、ドックなどに100%を課す内容です。分類や例外により扱いが異なります[12]。
日本・EU・韓国・台湾などの製品には、通常税率を含む上限15%の枠があります。ただし、重要部品・技術のほぼすべてが指定国・地域の製品であることを輸入者が証明するなどの条件付きです[12]。日本メーカーの製品というだけで、15%が適用されるわけではありません。
232条措置は大統領布告に基づきます。中間選挙だけで税率は変わらず、議会が権限を制限するには立法が必要です。関税権限を見直す超党派の法案も出ていますが[33][34]、提出と成立は区別します。
欧州・ウクライナ・台湾は、米国市場への入り方が異なる
Quantum Systemsは2026年7月に12億ドル[37]、Helsingは同月に18億ドルの資金調達を発表しました[38]。両社は米国でも事業を広げていますが、米国の選挙結果だけで欧州の需要まで同じ方向に動くとは限りません。ウクライナ向け支援と、米国での試験・調達への参加も別の経路です[35][36]。
台湾は、中国を含まないサプライチェーンを掲げています[40]。米国向けの232条関税では、日本製と同じく条件付きの上限15%の枠に入ります[12]。台湾製の機体・部品を扱う日本のメーカーや代理店は、製造国に加え、主要部品の由来と米国販売に必要な認証をメーカーに確かめておく必要があります。
編集長の見立て:4つの政治シナリオとドローン政策
中間選挙後の2027〜2028年をA〜C、次の大統領選挙後をDとして比べます。以下は、現在の制度と公表資料を踏まえた私の推察です。
共和党が上下両院を維持
大統領と議会多数派が一致するため、予算や米国製優先の政策は進めやすい状態が続くと見ています。
焦点:党内の予算合意と上院の手続き。議席を維持しても、要求額の全額が通るとは限りません。
民主党が下院、共和党が上院
予算・立法で下院との交渉が必要となり、追加予算の金額や財源をめぐる調整が増えると考えます。共和党だけで財政調整措置を進めることはできません。
焦点:追加予算の規模・財源と下院の監督。FCCの認証や大統領布告は自動では変わりません。
民主党が上下両院を獲得
予算や委員会の監督に加え、FCC委員などの人事承認も民主党が主導します。ただし、私は、中国製機の規制が一気に緩む展開にはつながりにくいと見ています。
焦点:大統領との交渉。通常法案の討論終結に必要な票や大統領の拒否権は、引き続き制約になります。
2028年選挙で民主党政権に交代
新大統領は、大統領令・関税・FCC委員長の指名などを見直せます。大統領選挙での政権交代は、議会だけの多数派交代よりも政策を見直せる範囲が広いと考えます。
焦点:新政権の方針と法律の制約。中国製規制の大幅緩和を当然視する根拠はありません。
2028年には、FCCの適用除外期限、大統領選挙、ASDAの失効期限が重なります。次の大統領が就任する2029年1月より前に、現政権と議会が延長や変更を決める可能性があります。
企業別に、規制・政府調達・米国市場との関わりを読む
公表情報で確認できる範囲を比較しています。売上の政府依存度を開示していない企業については、推定していません。
| 企業 | 本社・主な製造拠点 | 米国の規制・認証の状況 | 政府・米国市場への依存(公表情報) | 政策変更が関わる点 |
|---|---|---|---|---|
| DJI | 中国・深圳 | FCCのCovered List(新機種は認証不可、リスト追加のみで既存機を一律禁止する措置ではない)。国防総省の1260Hリストに掲載[41] | 非公開。2026年の米国での損失を約15.6億ドルと同社が見込む[42] | 対象措置ごとにFCCの判断や法律との関係を確認。米国以外での新機種投入が続く |
| Autel Robotics | 中国・深圳 | Covered List、1260Hリストに掲載[41]。FCCに不服を申し立て[43] | 非公開 | DJIと同様。現時点の法的手続きはFCCへの不服申立て |
| Skydio | 米国(カリフォルニア州ヘイワードに工場)[44] | X10DなどがBlue UASに掲載[45] | 売上は「年間数億ドル」とされ、政府比率は非公開[44] | 調達での米国製優先とFCCの適用除外が追い風。延長の有無に左右される |
| Parrot | フランス。主な製造は韓国(同社の上期報告)[46] | ANAFI UKR、ANAFI USA GOV/MILがBlue UASに掲載[45] | 米国売上の比率は非公開。1〜9月の売上は前年同期比60%増[47] | 欧州の防衛需要が主。米国では承認手続きと関税の上限15%の扱い |
| ACSL | 日本。小型機は国内の生産委託先で量産[24] | 参照した一覧ではBlue UASの掲載を確認できず[45]。既存の許可で米国販売を継続と説明[24] | 上期売上16.48億円のうち北米が10.1億円。防衛省からの受注あり[24] | 新機種の米国認証の経路、232条の15%上限の証明、電池など部品の非中国化[48] |
| Quantum Systems | ドイツ。米国カリフォルニア州にも拠点 | VectorがBlue UASに掲載[45] | 非公開。7月に12億ドルを調達[37] | 欧州・ウクライナの需要が主。米国は現地生産で対応 |
| Helsing | ドイツ。米国ウェストバージニア州に工場を計画と報道[39] | Blue UASの掲載は確認できず | 非公開。7月に18億ドルを調達[38] | 米国のウクライナ政策と欧州の防衛予算 |
| Red Cat(Teal Drones) | 米国(ジョージア州、カリフォルニア州、ユタ州) | 子会社TealのTeal 2がBlue UASに掲載[45]。Drone Dominanceの第2段階に進出[49] | 2026年上期売上の51%が単一の顧客[50] | 国防予算の規模と執行の速さの影響を受けやすい |
| Wing | 米国(Alphabet傘下) | 民生の配送事業 | 政府依存は確認できず。ウォルマートと店舗網を拡大[28] | Part 108の時期と内容、FAAの監督 |
| Zipline | 米国 | 民生の配送事業 | 配送は累計200万件超(1月時点)[29] | Part 108の時期と内容、運航の上限や環境審査 |
Blue UASの掲載状況は参照した第三者一覧によります。実際の調達では、DCMAの最新リストと機種名・構成を照合してください。
利害関係の開示:DJI、Autel Robotics、Parrot、SkydioはSkyLink Japanの取扱製品です。
日本への影響は、発注仕様・納期・販路・運用に表れる
米国のFCC措置が、そのまま日本国内の販売・飛行禁止になるわけではありません。国内では航空法・電波法などの要件と、発注者の仕様書を確認します。国の機関の調達は日本の関係省庁申合せ[51]、消防の起債・整備は消防庁の通知などが直接の基準です[52]。

→ 発注仕様・説明資料
→ 価格・納期・保守部品
→ 販売先・対米輸出条件
→ 物流・点検の運用
消防・防衛では、日本側の通知と予算を先に読む
消防庁の2026年3月31日通知は、調達仕様書の記載例として、データの送信先・保存先、更新の管理権限、供給安定性などを挙げています[52]。米国での認証の有無だけでは、日本の消防の調達条件を満たすか判断できません。
防衛分野では、2026年4月のDICAS 2.0で小型無人航空機のサプライチェーン協力を加速する方針が示され、関連する枠組みでは電池等の産業調査や相互認証の検討も進められています[53]。防衛省の令和9年度概算要求には、小型攻撃用UAV363億円、迎撃UAV76億円が、それぞれ事項要求とあわせて計上されています[54]。いずれも概算要求の段階で、予算の成立や発注の確定を示すものではありません。
日本の分野別に確認すること
| 分野 | 日本での調達・運用への影響 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 防衛省・自衛隊 | DICAS 2.0と関連枠組みの小型無人機協力(電池等の調査、相互認証の検討)。米国製・ウクライナ製の取得と、国産を条件とする調達の併存 | 令和9年度予算の政府案、安保3文書の改定、上院NDAA案第847条の最終文言 |
| 消防庁・警察 | 米国の動きより、日本の申合せと消防庁通知が直接の基準。非中国製機の価格・納期の影響を受けやすい | 補助金の対象・要件、仕様書の記載例の運用、代替機の保守体制 |
| 電力会社・重要インフラ | 国内の法令・発注条件で判断。国からの受託や委託先管理を通じて、データの扱いや部品の説明を求められる場合がある | 発注仕様のセキュリティ項目、クラウドとデータの保存先 |
| 建設コンサルタント・測量会社 | 米国で出せないDJIの新機種も、日本では発売が続く。国・独立行政法人の業務では委託元の要件が優先 | 委託元の仕様、機体の更新時期と保守部品 |
| 物流・農業 | Part 108や800MHz帯の開放が、BVLOS・Dock・セルラー接続の先行事例になる。米国では散布機がFCCの輸入停止案の対象区分 | 日本のレベル3.5・4の制度、型式認証、上空での携帯電話網の利用条件 |
| 非中国製UASの国内販売代理店 | 米欧の防衛需要による生産配分の影響を受けやすい。米国の承認状況(Blue UASなど)を顧客に説明する役割が増える | メーカーの納期・生産計画、技適と型式認証の取得状況 |
| 国内メーカー・部品サプライヤー | 対米輸出は232条の15%上限の証明とFCCの認証経路が条件。電池・モーターの非中国化は米国の部品要件と重なる | NDAAの部品条項、商務省の証明手続き、DICASの部品調査 |
中国製機の「日本への流入」や値下がりは、まだ断定できない
中国メーカーが米国以外で新機種を投入することと、日本向け出荷が増えて価格が下がることは別です。参照した報道では、DJIのDock 4・Matrice 5TDは米国での販売経路がないとされています[55]。ただし、日本への出荷増や値下がりを示す公表データは確認できていません。
非中国製機でも、米欧の需要増が日本向けの値上げや納期延長に直結したと示すデータは確認できていません。メーカーの決算で供給の状況を追いつつ、購入前には、本体・交換用バッテリー・保守部品の納期をメーカーや販売代理店に尋ねてください。
機体を更新する前に追いたい、NDAA・FCC・日本の調達条件
機体更新の計画では、選挙速報とあわせて、実際に適用条件が変わる日を追います。特に、直近のNDAAと歳出法、Part 108の最終規則、FCCの適用除外を確認します。
- 米国中間選挙
議会の多数派が決まります。接戦区の確定には時間がかかる場合があります。
- 2026年11〜12月NDAA・歳出法とPart 108
現議会の審議とFAAの最終規則を確認。Part 108は計算上12月7日、つなぎ予算は12月11日が期限です。
- 新議会の任期開始
委員会の主導権や、翌年度以降の予算・監督の進め方を確認します。
- FCCの適用除外期限
Blue UAS掲載品などの適用除外が延長・変更されるかを確認します。
- 2028年11〜12月大統領選挙とASDAの失効期限
大統領選挙は11月7日。ASDAに基づく規定は、延長がなければ12月22日に失効する仕組みです。
- 次の大統領が就任
政権交代の場合、大統領令・関税・FCC人事の見直し方針を確認します。
期限と予定は2026年11月2日時点。延長・変更や、別の施行日が設けられる場合があります。
政策・市場指標の確認先と、細かな日程を開く
| 指標 | 時期 | 何が分かるか | 確認先 |
|---|---|---|---|
| 中間選挙の結果と委員会の構成 | 11月3日以降(接戦区は確定に時間がかかる)。新任期は2027年1月3日 | 予算と監督の主導権がどちらにあるか | 各州の選挙管理当局、米下院書記官 |
| 2027年度NDAAの最終文言 | レームダック会期(12月を目標) | 第848条の部品範囲(電池・モーターなど)、ASDAの延長、ウクライナ製機の扱い | congress.gov |
| つなぎ予算と歳出法、財政調整措置 | 12月11日が期限 | 無人機予算の規模と財源、政府閉鎖による規則制定の停滞 | congress.gov、米議会調査局 |
| Part 108の最終規則 | 計算上の法定期限は12月7日(審査中) | BVLOS、Dock、1人で複数機を運用する条件 | 連邦官報、reginfo.gov |
| FCCの800MHz命令の発効 | 官報掲載から30日後(サービス開始は別途確認) | 米国での規則の発効時期。端末認証・事業者のサービス条件は別途確認 | FCC、連邦官報 |
| FCCの輸入停止案(DA 26-758)の決定 | 未定 | サーマル・LiDAR搭載機、ドックなど認証済みの外国製機が米国に入るか | FCC |
| FCCの適用除外の延長 | 2028年1月1日が期限 | 非中国製メーカーが米国で新機種を出せる状態が続くか | FCC |
| DJI対FCCの訴訟 | 政府側の書面は12月2日が期限 | FCCの措置の法的な安定性 | 第9巡回区連邦控訴裁 |
| 232条関税の証明手続きと部品関税 | 部品の関税は2027年2月9日から[12] | 日本製の機体・部品が上限15%を使えるか | 連邦官報、米国税関 |
| ASDAの失効と延長の動き | 2028年12月22日が期限 | 連邦機関の調達制限が続くか | congress.gov |
| 日本の防衛予算・安保3文書、消防の補助要件 | 12月の政府予算案から | 国内の需要と、国産・非中国製の要件 | 防衛省、消防庁 |
| 非中国製メーカーの決算と納期 | 四半期ごと | 生産の配分と供給の逼迫 | 各社のIR、国内代理店 |
| 大統領選挙と就任 | 2028年11月7日、2029年1月20日 | 大統領令・関税・FCC委員長が見直される可能性 | — |
見積もりの前にそろえておく3つの資料
- 発注仕様書
製造国・主要部品、データの送信先と保存先、更新の管理権限について、仕様書が求める条件を抜き出します。
- 機種ごとの適合資料
NDAAへの適合説明、Blue UASの掲載構成、国内の無線設備の適合などを、メーカーの資料と照合します。米国の承認を、日本での飛行許可の代わりにはできません。
- 納期・保守条件を記した見積書
本体の納期に加え、交換用バッテリー、修理窓口、部品供給、ソフトウェア更新の扱いを見積もりに含めます。
選挙後も、機種ごとの調達条件と保守を確かめる
私は、中国製機の規制緩和よりも、防衛向けドローン予算の金額や財源、代替機の費用負担をめぐる議論に変化が出ると見ています。機体更新を予定している方には、選挙の勝敗だけで購入判断を変えず、候補機種の認証・部品要件、発注者の仕様書、保守部品の供給を照らし合わせることを勧めます。
SkyLink Japanでは、NDAAの最終条文、FCCの適用除外、Part 108、日本の予算・調達通知を、メーカーの供給・保守情報とあわせて追っていきます。更新時期が決まっている方は、仕様書と候補機種、保守条件を先にそろえておくと、制度が変わった際にも、どの機種を選べるか比較できます。
米国の規制と日本での利用について、よくある質問
民主党が議会で勝てば、DJIの規制は解除されますか?
議会の多数派交代だけでは解除されません。政府調達の制限、FCCの新規認証、既存機の扱いは、根拠と対象が異なります。法律や行政の判断がどう変わるかを、別々に確認します。
Part 108が公表されたら、すぐに目視外飛行を始められますか?
最終規則の公表日、施行日、事業者に適用される日や条件は一致するとは限りません。2026年11月2日時点ではOIRA審査中です。公表後も最終規則の要件を確認する必要があります。
米国の規制で、日本でも中国製機を使えなくなりますか?
米国のFCC措置が日本に直接適用されるわけではありません。国内の航空法・電波法などの要件と、国・自治体・民間の発注条件を確認してください。米国での認証や調達リストへの掲載だけでは、日本での利用可否は判断できません。
仕様書に合う機体と、更新後の保守について相談する
候補機種の比較、仕様書のセキュリティ条件、バッテリーや修理部品の供給についてご相談ください。現在の機種と更新予定時期、発注条件をお知らせください。候補機種が仕様書に合うか、納入後に必要なバッテリーや修理部品を確保できるかを、メーカーの情報と照合します。
- 保有している機体と、更新を予定している時期
- 発注者の仕様書で求められているセキュリティ・調達の要件
- 非中国製機の納期や保守体制について知りたいこと
- 海外製機の技適・型式認証の確認が必要な機種
出典・参考資料
本文の番号に対応する資料です。米国の資料の日付は現地の公表日です。報道や企業開示を参照した内容は、その発表主体・対象期間を本文または一覧に記載しています。
- [1]米国防総省「Drone Dominance」公式サイト(2026年11月閲覧) 資料を開く
- [2]Ballotpedia「United States Senate elections, 2026」(上院の構成と改選議席。更新日の記載なし) 資料を開く
- [3]米下院書記官「Roll Call 278(H.R. 8800、2027会計年度NDAA)」(2026年7月22日) 資料を開く
- [4]米上院「Roll Call Vote 195(119th Congress, 2nd Session)」(2026年7月14日) 資料を開く
- [5]米議会調査局(CRS)R49353(2027会計年度のつなぎ予算)(2026年9月17日) 資料を開く
- [6]米国政府出版局「10 U.S.C. 4872 注記(2020年度NDAA第848条)」 PDFを開く
- [7]連邦官報「Federal Acquisition Regulation: Prohibition on Unmanned Aircraft Systems From Covered Foreign Entities」(2024年11月12日。2028年12月22日の失効を明記) 資料を開く
- [8]FCC「DA 25-1086」(2025年12月22日) PDFを開く
- [9]47 CFR 1.50003(Covered Listの削除・修正。コーネル大学LII) 資料を開く
- [10]連邦官報「Protecting Against National Security Threats to the Communications Supply Chain Through the Equipment Authorization Program」(2026年9月11日掲載、10月13日施行) 資料を開く
- [11]47 U.S.C. 154(FCCの構成と委員長の指名。コーネル大学LII) 資料を開く
- [12]連邦官報「Adjusting Imports of Unmanned Aircraft Systems and Unmanned Aircraft Systems Components Into the United States」(2026年8月19日掲載、9月3日発効) 資料を開く
- [13]連邦官報「Unleashing American Drone Dominance(大統領令14307)」(2025年6月11日掲載) 資料を開く
- [14]CRS R46738「Executive Orders: An Introduction」(2021年3月29日) 資料を開く
- [15]49 U.S.C. 44811(BVLOS規則の期限。コーネル大学LII) 資料を開く
- [16]CRS IF12708「The Congressional Review Act (CRA): A Brief Overview」(2024年7月9日) 資料を開く
- [17]ウォーナー上院議員「Warner, Scott Introduce Legislation to Ban Purchase of Drones Manufactured in Countries Identified as National Security Threats」(2023年2月21日) 資料を開く
- [18]CRS IN12405(2025会計年度NDAAの成立と採決)(2025年1月8日) 資料を開く
- [19]米下院 中国特別委員会「Moolenaar, Krishnamoorthi Request Fairfax County Cease Using CCP-Aligned DJI」(2024年9月27日) 資料を開く
- [20]連邦官報「Securing the Information and Communications Technology and Services Supply Chain: Unmanned Aircraft Systems(事前規則案)」(2025年1月3日) 資料を開く
- [21]FCC「DA 26-758」(2026年7月21日) PDFを開く
- [22]Drone U「DJI v. FCC」の審理日程(2026年10月19日) 資料を開く
- [23]FCC「DA 26-761」(2026年7月21日) PDFを開く
- [24]ACSL「2026年12月期 第2四半期 決算説明資料」(2026年8月14日) PDFを開く
- [25]連邦官報「Normalizing Unmanned Aircraft Systems Beyond Visual Line of Sight Operations(規則案)」(2025年8月7日) 資料を開く
- [26]reginfo.gov「EO 12866 Regulatory Review」(RIN 2120-AL82で検索。2026年11月2日に審査状況を確認) 資料を開く
- [27]Walmart「Walmart Celebrates 1 Million Drone Deliveries」(2026年5月29日) 資料を開く
- [28]Wing「Wing and Walmart expand drone delivery coast to coast」(2026年1月11日) 資料を開く
- [29]The Robot Report「Zipline raises over $600M in funding, surpasses 2M commercial drone deliveries」(2026年1月22日) 資料を開く
- [30]Breaking Defense「Biden-era Replicator drone initiative lives on as DAWG」(2025年12月6日) 資料を開く
- [31]国防契約管理局(DCMA)「Blue List」移管の発表(2025年12月3日) 資料を開く
- [32]Holland & Knight「Drones and National Security: What to Expect from Congress」(2026年7月1日) 資料を開く
- [33]グラスリー上院議員「Grassley, Cantwell Introduce Bill to Restore Congress’ Constitutional Role in Trade」(2025年4月3日) 資料を開く
- [34]米上院財政委員会(ワイデン筆頭委員)「Congressional Trade Powers Reform Act」の発表(2026年7月22日) 資料を開く
- [35]European Pravda(PURLの拠出額)(2026年6月30日) 資料を開く
- [36]Militarnyi「Ukraine and U.S. sign first drone export agreement」(2026年7月22日) 資料を開く
- [37]Quantum Systems「Quantum Systems raises $1.2Bn Series D」(2026年7月2日) 資料を開く
- [38]Helsing「Helsing raises US$1.8bn in Series E」(2026年7月13日) 資料を開く
- [39]DroneXL「Helsing HX-2 strike drone factory in West Virginia」(2026年7月16日) 資料を開く
- [40]Taipei Times(台湾のドローン輸出と非紅色サプライチェーン)(2026年3月23日) 資料を開く
- [41]連邦官報「1260Hリスト(中国軍事企業)」(2026年6月10日) 資料を開く
- [42]DroneXL「DJI Ninth Circuit brief: $1.56 billion」(2026年4月22日。DJIの裁判所提出書面にもとづく) 資料を開く
- [43]DroneDJ「Autel challenges US drone ban at FCC」(2026年5月19日) 資料を開く
- [44]DroneXL「Skydio $110M Series F at $4.4 billion valuation」(2026年4月23日) 資料を開く
- [45]MFE Inspection Solutions「Blue UAS Cleared List」(第三者による一覧。2026年10月27日更新) 資料を開く
- [46]Parrot「2026年上期報告書(Rapport financier semestriel)」(2026年7月31日) PDFを開く
- [47]Parrot「2026 third-quarter business」(2026年10月28日) 資料を開く
- [48]ニュースイッチ「ドローン部品の〝脱中国〟、ACSLが進める背景事情」(2026年8月27日) 資料を開く
- [49]Red Cat Holdings「Teal Drones Advances to Gauntlet II of Drone Dominance Program」(2026年7月2日) 資料を開く
- [50]Red Cat Holdings「Form 10-Q(2026年6月30日終了四半期)」(2026年8月提出) 資料を開く
- [51]関係省庁申合せ「政府機関等における無人航空機の調達等に関する方針について」(2020年9月14日。消防庁2026年3月31日通知の別添7・参考資料で参照) PDFを開く
- [52]消防庁「消防防災分野におけるドローンの活用について(通知)」(2026年3月31日) PDFを開く
- [53]防衛省「第4回日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議(DICAS 2.0)の開催」(2026年4月17日) 資料を開く
- [54]防衛省「防衛力の変革に向けた予算-令和9年度概算要求の概要-」(2026年8月31日) PDFを開く
- [55]DroneXL「DJI Dock 4 and Matrice 5TD launch with no FCC path」(2026年10月14日) 資料を開く
- [56]FCC「Report and Order FCC 26-72」(2026年10月29日採択、30日公表。800MHz帯のUAS利用、発効条件は第22項。2026年11月2日確認) PDFを開く
このブログは2026年11月2日時点の公開情報をもとに、SkyLink Japan編集長の視点からドローン産業への影響を推察したものです。特定の政党・候補者への支持を示すものではありません。調達・輸出時には、最新の法令・通知と個別の契約条件を確認してください。
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