調査基準日:2026年8月31日(米国の関税・市場動向は2026年9月16日更新)
「中国製ドローンは、いつまで使えるのか」。機体の更新計画を立てている方から、この半年でよく聞かれるようになった質問です。中国の輸出規制、米国のDJI規制、日本の経済安全保障。3つの話が同時に報じられた結果、「そのうち中国製ドローンは買えなくなる」という理解だけが先行しています。
調べていくと、実際に動いているものと、まだ動いていないものがはっきり分かれます。そして、いま現場の判断を狂わせているのは、この3つを1つの流れとして読んでしまうことです。
規制が効いているのは完成機ではなく、部材と取引先
先に結論を書きます。2026年8月末時点で、中国が日本向けにドローン完成機の輸出を規制した事実は確認できません。
中国がドローン完成機・主要部品・関連技術を名指しで規制対象にしたのは米国向けの措置です。商務部公告2026年第34号がそれにあたり、対象国は米国と明記されています。日本向けの同種の公告は、2026年8月末時点で出ていません。
出典:中国商務部「商務部公告2026年第34号 無人機関連デュアルユース品目の対米輸出管理強化の公布」、2026年8月5日公布・同日施行 / 新華網、2026年8月5日
では何が効いているのか。実際に日本のドローン調達へ影響しているのは、次の3つです。
- 部材:ネオジム磁石をはじめとするレアアース関連品目の輸出管理
- 取引先:日本企業を名指しした中国のデュアルユース規制リスト
- 調達要件:日本政府の調達方針と、米国の連邦資金プロジェクトにおける禁止規定
機体そのものではなく、機体を作る材料と機体を買う側のルールが動いている。この構図を押さえると、自社が何を心配すべきかがはっきりします。
3つの規制を分けて読む
報道では一続きに見える動きを、根拠文書と発効日で切り分けます。

表1:ドローンに関係する3層の規制(2026年8月31日時点)
| 層 | 主な根拠 | 規制の対象 | いま効いているか |
|---|---|---|---|
| ① 中国の 部材輸出管理 |
商務部・海関総署 公告2025年第18号ほか (2025年4月4日施行) |
中重希土類、 レアアース磁石、 リチウム電池材料など (全世界向け) |
一部有効、一部は停止中 (停止期限 2026年11月10日) |
| ② 中国の 対日規制 |
商務部公告2026年 第1号/第11・12号/ 第27・28号 |
日本の軍事関連ユーザー、 および名指しされた 計80団体 |
有効 |
| ③ 米国の UAS規制 |
NDAA FY2025 第1709条、 FCC DA-25-1086、 American Security Drone Act |
外国製UASの完成機と 重要部品、DJI・Autelの 全通信機器 |
有効 (訴訟で係争中) |
※日本の民間企業に直接適用されるのは②の名指し企業のみです。①は調達先を通じて間接的に、③は米国の連邦資金が絡むプロジェクトでのみ効きます。
中国のレアアース・部材規制は、一部が「停止中」のまま動いている
起点は2025年4月4日に施行された商務部・海関総署公告2025年第18号です。サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムの中重希土類7種と関連品目が輸出管理の対象になりました。対象HSコードは97品目におよび、磁石関連では8505.11.10(レアアース磁石)と8505.11.90(その他の金属永久磁石)が含まれます。
出典:ジェトロ「中国のレアアース輸出管理(1)日本への磁石輸出に大きな影響」
影響は数字に出ています。2025年5月の対日磁石輸出は25.7トンまで落ち込み、近年で最低水準となりました。ただしその後、許可を取得した企業が増えたことで6月以降は回復し、7月以降はおおむね過去2年間の単月実績と同等の水準に戻っています。恒常的な供給断絶には至っていません。
2025年10月9日には、規制が一段と広がりました。超硬材料、レアアース加工設備、中重希土類5種の追加(計12種)、リチウム電池と人造黒鉛負極材料、そして中国産の対象品目を0.1%以上含む外国製造品にまで中国の許可を要求する域外適用ルール。これらは公告第55号から第62号として公布されています。
この2025年10月9日付の6公告は、2025年11月7日から2026年11月10日まで一時停止されています。ガリウム・ゲルマニウム・アンチモン等に関する公告2024年第46号第2条も、2025年11月9日から2026年11月27日まで停止中です。
つまり、リチウム電池材料や0.1%ルールはいま効いていません。ただし停止であって撤回ではありません。
出典:Pillsbury Winthrop「China Suspends Export Controls on Certain Critical Minerals and Related Items」 / アンダーソン・毛利・友常法律事務所「中華人民共和国輸出管理法に基づくレアアース規制関連公告」、2025年10月16日
実務で見落とされやすいのが、規制そのものより手続きに要する時間です。ジェトロによれば、輸出許可の取得に約3か月以上、税関検査に数週間から1か月程度、商務部への事前相談は回答まで1〜3か月かかり、その回答に法的拘束力はなく有効期間も発給から6か月にとどまります。納期が読めない状態が常態化している、と考えたほうが実態に近い。
出典:ジェトロ「中国のレアアース輸出管理(3)該非判定についての課題」
対日デュアルユース規制は、取引相手が誰かで効き方が変わる
2026年1月6日、商務部公告2026年第1号が公布・即日施行されました。日本の軍事ユーザー、および「軍事力向上に寄与するその他一切のエンドユーザー・用途」に対して、全デュアルユース品目の輸出を禁止する内容です。タングステン、モリブデン、サマリウムコバルト磁石、ネオジム鉄ボロン磁石、高精度センサー、レーザー、炭素繊維、特殊合金などが対象として挙がっています。
問題は範囲です。ジェトロは、この公告について「定義に関する詳細な説明はなされておらず、規制対象が不明瞭」と明記しています。民生用途の取引であっても、防衛転用の可能性があれば商務部が輸出を止めうるキャッチオール条項が含まれている、というのが複数の法律事務所の読み方です。
出典:ジェトロ「中国、デュアルユース品目の対日輸出管理を強化」、2026年1月 / Greenberg Traurig「China Imposes Escalated Export Controls on Dual-Use Items to Japan」、2026年2月
さらに具体的なのが、日本の企業・団体を名指しした二つのリストです。
- 輸出規制管理リスト(公告2026年第11号・第27号):中国の輸出者によるデュアルユース品目の輸出を禁止。進行中の取引も即時停止
- 注視リスト(公告2026年第12号・第28号):包括許可・登録方式による輸出証明の取得を禁止。個別許可の申請時にリスク評価報告と誓約書の提出が必要
2026年2月24日に40団体、6月29日にさらに40団体が掲載され、累計80団体にのぼります。防衛関連の重工メーカーだけでなく、防衛大学校、JAXA、TDK、三菱マテリアル、住友重機械工業といった名前も並びます。
出典:CISTEC「中国当局が日本企業・大学等を輸出規制管理リスト及び注視リストに掲載(速報)」、2026年2月25日 / 人民網日本語版、2026年6月29日
輸出許可の現場では、ドローン本体にも影響が出ている
公告上、日本向けのドローン完成機が一律に輸出禁止になったわけではありません。しかし、2026年8月末時点で当社が中国メーカーと調達・出荷の調整を進めるなかでは、ドローン本体の輸出許可についても、メーカー側が中国政府の審査と許可取得にかなり苦労しているという説明を受ける場面がすでにあります。
制度上は「輸出禁止」でなくても、用途、最終需要者、搭載部品などの確認が重なり、審査に時間を要したり、出荷時期を明確に約束できなかったりすれば、実務上は供給制約と同じ意味を持ちます。調達計画では、規制の条文だけでなく、許可が実際に下りるまでの時間と不確実性も見ておく必要があります。
私は、この運用がすべての国・地域に一様に適用されているとは感じていません。日中関係が冷え込んだ結果、日本向けの輸出が、ほかの市場より慎重かつ厳格に扱われているように感じる場面があります。
もちろん、公開された制度文書だけから「日本向けだけを差別的に厳しくしている」と断定することはできません。これは、メーカーとのやり取りや輸出許可の実務を見てきた編集長としての感覚です。ただし、今後も日中関係が改善しなければ、審査の長期化、許可条件の追加、対象品目や対象企業の拡大など、規制運用がさらに厳しくなる可能性は十分にあります。調達側は、一律禁止の発表を待つのではなく、納期の長期化や突然の出荷停止を平時から織り込んでおくべきだと考えています。
米国の規制だけが、完成機と重要部品を名指しした
3つのなかで、ドローンそのものを最も直接的に規制しているのは米国です。
NDAA FY2025第1709条は、国家安全保障機関が1年以内にDJI・Autel機器のリスク判定を行わない場合、FCCが両社の通信機器を自動的にCovered Listへ追加すると定めていました。期限は2025年12月23日。その前日にあたる2025年12月22日、FCCは外国製UASおよびUASの重要部品をCovered Listに追加し、あわせてDJI・Autelの全通信機器・サービスを追加しています。
ここで「重要部品」として明示された品目が、ドローンの中身をほぼ網羅しています。
- データ伝送装置、通信システム
- フライトコントローラ
- 地上局・コントローラ
- 航法システム
- センサー・カメラ
- バッテリー/BMS
- モーター
出典:FCC DA-25-1086A1、2025年12月22日
2026年1月7日には一部の外国製UAS区分について2027年1月1日までの適用除外が示されましたが、DJI・Autel製品はこの除外に含まれていません。両社は争っており、第9巡回区控訴裁は2026年5月28日にFCCの却下申立を退け、DJIの主意見書提出期限を2026年11月2日と設定しました。主意見書の期限が11月であることから、2026年内の決着は見込みにくい状況です。
出典:Iowa State University CALT「Foreign-Made UAS Stay on the FCC Covered List」
同じ2025年12月22日に発効したAmerican Security Drone Actは、連邦資金による「covered UAS」の調達・運用・維持を禁止しました。covered UASの定義は機体、フライトコントローラ、カメラ、地上管制局を中国等の外国敵対国に所在または支配される製造者が供給するもの、というものです。適用対象は連邦機関と、連邦資金を使う契約者・補助金受給者。純粋な民間取引には適用されません。
連邦道路庁の資金を受けるミズーリ州運輸局は、該当機体の調達を停止し、連邦資金プロジェクトでの運用を止め、該当機体を物理的に隔離して誤って連邦資金に紐づかないようにする、という手順を公表しています。米国系プロジェクトや米国子会社を持つ日本企業にとっては、そのまま参考になる運用です。
出典:Missouri DOT「New Federal Restrictions on Foreign Drones」、2025年12月22日発効 / H.R.6143 American Security Drone Act of 2023
2026年9月、規制は関税と部品供給の壁へ広がった
米国側の状況は、FCC認証や政府調達の制限だけでは終わっていません。2026年9月3日、通商拡大法232条に基づくUASと主要部品への追加関税が発効しました。原則として、最大離陸重量25kg超の機体、サーマルカメラを搭載する機体、ドッキングステーションなどは100%、25kg以下の機体は25%の追加関税対象です。ただし、日本原産品は主要部品・技術の原産要件を満たし、輸入者が証明できる場合、通常関税込みで上限15%となる枠組みがあります。
さらに、指定された一部部品への25%関税は2027年2月9日に発効する予定で、米商務長官には追加のUAS部品を対象へ含める権限も与えられています。つまり、現在の対象品目だけを確認すれば終わる制度ではなく、部品単位で範囲が広がり続ける可能性を持った枠組みです。
米国では、FCCのCovered List、連邦政府調達、通商拡大法232条関税、交換部品の供給停滞が別々の制度と経路で同時に効いています。どれか一つの訴訟や適用除外で状況が全面的に戻るとは考えにくく、中国製ドローンを導入・維持する際の不確実性は今後も続くと見ておくべきです。
特に注意したいのは、既存機の使用が直ちに禁止されなくても、交換部品や重要部品が入らなければ保守を続けられないことです。Commercial UAV Expo 2026の現地取材でも、DJIの交換部品や重要部品が米国内へほとんど入ってこないという声を繰り返し聞きました。規制上は飛ばせても、現場では修理できず止まる。この供給面の壁は、法令上の使用禁止とは別に管理する必要があります。
出典:米国Federal Register「Adjusting Imports of Unmanned Aircraft Systems and Unmanned Aircraft Systems Components Into the United States」、2026年8月19日 / 関連ブログ:Commercial UAV Expo 2026で見た米国ドローン市場の転換点
ドローンのどの部品が、どの規制に触れているのか
機体を分解して、部材ごとに整理します。空欄と「確認できず」もそのまま載せています。どこが分かっていないかを把握することも、判断材料になります。

表2:ドローン主要部材の規制該当状況(2026年8月31日時点)
| 部材 | 中国の輸出管理 | FCC「重要部品」該当 | 2026年11月10日で状況が変わるか |
|---|---|---|---|
| ネオジム磁石 (モーター用) |
対象・有効 公告第18号/HS 8505.11.10。耐熱性向上に使うテルビウム・ジスプロシウムが7種に含まれる |
モーターとして該当 | 変わらない (もともと有効) |
| モーター | 間接的に対象 (磁石経由) |
該当 | 変わらない |
| リチウム イオン電池 |
対象だが停止中 公告第58号。電池はエネルギー密度300Wh/kg以上のセル・パックが対象で、正極材・製造装置も含む |
該当 (バッテリー/BMS) |
変わりうる |
| 人造黒鉛 負極材料 |
対象だが停止中 公告第58号 |
— | 変わりうる |
| カメラ・ イメージセンサー |
名指しの公告は確認できず。公告2026年第1号に「高精度センサー」の記載はあるが用途特定なし | 該当 | — |
| フライト コントローラ |
名指しの公告は確認できず | 該当 | — |
| 通信モジュール | 名指しの公告は確認できず | 該当 (通信システム) |
— |
※「変わりうる」は、2025年10月9日付の公告群の停止期限が2026年11月10日であることを指します。延長・解除の判断は2026年8月末時点で未発表です。
出典(公告第58号の対象範囲):Herbert Smith Freehills Kramer「China imposes export controls on lithium-batteries and artificial graphite anode materials」、2025年10月
表を通して見ると、規制の重心の違いが分かります。中国側は素材の川上を押さえ、米国側は完成機と電子部品を押さえている。日本のユーザーにとっては、前者が納期と価格に、後者が調達要件に効いてきます。
国産へ替えれば安心、とは言えなくなった
実務への影響という点で、今回もっとも注目すべきなのがこの動きです。
2026年6月29日の公告2026年第28号で、注視リストにACSL(証券コード6232)とテラドローン(278A)が掲載されました。いずれも日本を代表する国産ドローンメーカーです。
出典:Postation「中国の対日輸出規制リスト40社を読む」 / 一次資料:CISTEC(2026年6月29日)
名指しされたのは、中国製ドローンを使う側ではありません。国産ドローンメーカーの側です。「中国製から国産へ替えれば供給リスクが消える」という図式は、少なくとも部材調達の面では、そのままでは成り立たなくなっています。
理由は部材にあります。国産機であっても、モーターの磁石、電池、電子部品の相当部分は中国のサプライチェーンに乗っています。ニデックは経済安全保障を背景にドローン用モーター5種を開発し、重量19gの小型機用から598g・最大出力2110Wの物資輸送用まで揃えていますが、同社担当者は「モーターやプロペラは中国製品が低価格で多く流通しており、価格で国産が優位に立つことは難しい」と述べています。
出典:ドローンジャーナル「ニデックがドローン用モーター5種を開発」、2026年6月16日
国産比率そのものも、まだ低い水準です。経済産業省の資料に基づく数字として、2025年4月時点で国産シェアは約3%と報じられています。産業用途では9割超が中国製機体です。防衛分野に限れば、小泉進次郎防衛相が2025年11月18日の衆院安全保障委員会で自衛隊保有ドローンの国産化率を2025年9月末時点で約3割と答弁していますが、この「国産」の定義は明示されていません。
出典:東洋経済オンライン「ドローン国産6割は幻想なのか」、2026年4月7日(経済産業省資料に基づく2025年4月時点の数字。定義の詳細は非公表)/ DroneTribune、2025年11月20日
2026年11月10日に何が起きうるか
調達計画を立てるうえで、いま最も具体的な期限がこれです。
2025年10月9日付の公告第55・56・57・58・61・62号の停止期限が2026年11月10日。ガリウム・ゲルマニウム等の公告2024年第46号第2条は2026年11月27日。停止が解除されれば、リチウム電池材料と人造黒鉛負極材料が再び輸出管理下に入り、0.1%の域外適用ルールも復活します。
中国産の対象品目を含有・集成・混合した外国製造品について、その価値比率が総価値の0.1%以上に達すると、中国国外からの輸出にも中国の許可が必要になります。第三国で組み立てた機体であっても、規制対象の磁石や電池材料が一定量入っていれば捕捉されうる、という設計です。
2026年8月末時点で、延長・解除いずれの判断も発表されていません。確定していないことを前提に計画を持つのが、現時点での現実的な姿勢です。11月以降に納品予定のある案件は、電池とモーターの調達元を先に確認しておく価値があります。
日本の政府調達は、2020年から動いている
中国側・米国側の動きが目立ちますが、日本の政府調達はそれより前に方針を決めています。
2020年9月14日、小型無人機に関する関係府省庁連絡会議で「政府機関等における無人航空機の調達等に関する方針」が関係省庁申合せとして決定されました。国の行政機関、独立行政法人、指定法人が調達する無人航空機のうち、特に重要な業務に用いるものが対象です。
対象業務は3類型。①防衛・領土保全・犯罪捜査等の公安関係、②インフラ施設点検・機密情報取扱、③救難救命等の人命に直結する業務。既存機体についても「リスク評価を行ったうえで、高リスク機はできるだけ速やかにリスクの低いものへ置き換える」と明記されています。適用は2021年度以降の新規調達から。
出典:内閣官房 小型無人機に関する関係府省庁連絡会議(第10回)、2020年9月14日 / JUIDAによる周知
この方針が直接適用されるのは国の機関・独法・指定法人です。民間のインフラ事業者は対象外ですが、これらから点検業務を受託する場合、発注仕様書を通じて実質的に同じ要件が降りてきます。自社が対象外であることと、案件で使えることは別です。
発注仕様書で求められやすいセキュリティ要件の中身は、官公庁・重要インフラ向けドローンの情報セキュリティ要件のブログで整理しています。
2025年12月には、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資に無人航空機が追加指定されました。永久磁石と蓄電池は2022年12月にすでに指定されており、機体・部材の両面が政策対象に入ったことになります。同月24日には経済産業省の無人機産業基盤強化検討会が中間取りまとめを公表し、2030年に約8万台(想定需要約14万台の約6割)の国内供給体制構築を目標に掲げ、2025年度補正予算で量産体制構築支援に139億円を計上、設備投資費用等を最大2分の1補助するとしています。
出典:内閣府「サプライチェーン強靱化の取組」 / 経済産業省 無人機産業基盤強化検討会 中間取りまとめ、2025年12月24日 / ニュースイッチ、2026年1月9日
実務でいま着手できる5つのこと
ここまでの事実から、機体を保有・運用する側が今期中に手をつけられることを整理します。法律事務所が公表している実務対応と、政府方針から直接導けるものに限りました。
1. 部品表(BOM)レベルで調達元を把握する
完成機のメーカー名だけでは、規制の影響を測れません。モーター、電池、カメラ、フライトコントローラ、通信モジュールについて、原産国と一次サプライヤーを機種ごとに一覧にする。これができていない状態では、11月の判断も、発注元からの照会にも答えられません。
2. 取引先が名指しリストに含まれていないか確認する
累計80団体のリストは、CISTECが速報として公表しています。自社の調達先・委託先・共同研究先が含まれる場合、中国からの部材調達に個別許可とリスク評価報告、誓約書の提出が必要になります。TMI総合法律事務所は、その誓約内容が日本法・米国法等と抵触しないかの検証も併せて求めています。
出典:TMI総合法律事務所「中国による日本企業の輸出管理規制リストへの追加と実務対応」
3. 第三国経由の再輸出を洗い出す
両用物項輸出管制条例(2024年12月1日施行)のもとでは、第三国経由の再輸出も捕捉される可能性があります。東南アジアの子会社を経由した機材の転送も適用対象になりえます。海外拠点を持つ場合、社内の機材移動ルールを見直す対象です。
4. 調達仕様書に「どこまで求めるか」を先に決めておく
官公庁案件を受託する事業者は、発注側の要件が固まる前に自社の基準を決めておくほうが動きやすくなります。完成機の製造国だけを見るのか、重要部品まで遡るのか、セキュリティ認証の有無を条件にするのか。要件の粒度によって、使える機体の数は大きく変わります。
5. 米国資金が絡む案件は機体を分けて管理する
連邦資金プロジェクトを持つ場合、ミズーリ州運輸局と同じ手順、つまり該当機体の運用停止と物理的な隔離が現実的な対応になります。同じ機体を国内案件と米国関連案件で使い回す運用は、記録上の切り分けが難しくなります。
「いつまで使えるか」は法律ではなく調達要件が決める
冒頭の問いに戻ります。2026年8月末時点で、中国製ドローンの日本での使用や輸入を禁じる法律はありません。民間企業が自社の判断で使い続けることは可能です。
ただし、使える場面は着実に狭まっています。国の機関等がインフラ点検などの重要業務に使う機体には、2021年度の新規調達から政府方針が適用され、既存機体の置き換えも方針として示されています。米国の連邦資金が入る案件では、2025年12月22日から該当機体を使えません。そして部材側では、2026年11月10日という次の分岐点が控えています。
米国ではさらに、2026年9月3日からUAS本体やドッキングステーションなどへの232条関税が発効し、2027年2月には一部部品への追加関税も予定されています。対象部品を今後追加できる制度設計であることを踏まえると、米国市場での調達・保守をめぐる懸念は、一時的なものではなく今後も続くと考えるのが現実的です。
つまり「いつまで使えるか」を決めるのは、規制そのものよりも、発注元がどんな要件を書くかです。機体の更新計画は、法改正を待つのではなく、自社が受ける案件の発注仕様がどこへ向かうかで組み立てるほうが実態に合います。
そして、国産へ切り替えれば解決するわけでもありません。国産メーカー自身が中国の注視リストに載り、部材では中国のサプライチェーンに依存している。この二重構造を踏まえたうえで、用途ごとに機体を分けるという判断が、当面もっとも現実的な落としどころになります。
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※このブログは中国関係について2026年8月31日時点、米国の関税・市場動向について2026年9月16日時点の公開情報と現地取材に基づいています。輸出管理制度、関税、調達方針、係争中の訴訟の状況は変更される可能性があります。個別の該非判定や輸出許可、関税の適用については、関係当局、通関事業者、専門の法律事務所へご確認ください。
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