官公庁・重要インフラ向け
ドローンの情報セキュリティ要件
2026年版
「中国製ドローンは使えませんか?」——官公庁や重要インフラのお客様から、よく聞かれる質問です。
答えは、案件によります。国産機・非中国製が調達条件になっている案件もあれば、製造国を一律に除外せず、通信経路やデータの保存先を個別に確認する案件もあります。
大事なのは、「製造国」と「情報の流れ」を一緒くたにしないことです。
ドローンによる設備点検や災害対応では、写真・映像だけでなく、施設の位置情報、飛行経路、赤外線画像、飛行ログなども扱います。経済産業省とNEDOの「無人航空機分野 サイバーセキュリティガイドライン」でも、産業利用や警備・災害対応を想定したセキュリティクラスが整理されています。
経済産業省の公表ページ
ここからは、機体選定で私たちが実際に確認しているポイントを順番に見ていきます。項目は少し多いですが、最初から全部を同じ重さで考える必要はありません。まずは、自社の運用で外せない条件を見つけるところからで大丈夫です。
先に結論。「製造国」と「情報セキュリティ」は別ものです

ここは混同されやすいところです。発注仕様で求められる原産国の条件と、実際にデータがどう扱われるかは、別々に確認します。
「国産・非中国製か」と「情報がどこへ送られるか」は、別のチェック項目です。
前者は調達条件の話。後者は、ネットワーク接続、クラウド利用、通信暗号化、保存先、飛行ログ、修理時のデータ管理といった運用の話です。
発注仕様で「国産機」「非中国製」と明確に指定されている場合は、その条件を満たす機体を選ぶ必要があります。
一方、調達仕様で製造国・原産国を一律の除外条件としていない案件もあります。そうした案件で、
- 外部ネットワークに接続せずに運用したい
- 撮影データや飛行ログを組織内で管理したい
- 通信と記録媒体を暗号化したい
- オンライン認証やクラウド利用を避けたい
という案件では、製造国とは別に、機体や運用環境のセキュリティ機能を個別に評価することが重要です。
実際の選定で、どこを見る? 7つの確認ポイント

1.最初にネット接続やアカウント登録を求められるか
買って箱を開け、電源を入れればすぐ使える——とは限りません。産業用ドローンの中には、使用開始時にインターネット接続やメーカーアカウントでの認証を求めるものがあります。
確認したいのは次の点です。
- オンラインでの初回認証が必要か
- メールアドレスや電話番号の登録が必要か
- 定期的なログインや認証が必要か
- アカウントが停止された場合でも使用できるか
外部ネットワークへの接続を制限している組織では、アクティベーション不要、またはアカウントに依存しない運用ができるかが重要になります。
2.「クラウドに送らない」と「ネットにつながない」は別
「クラウドへ自動送信しない」ことと、「インターネットに接続しない」ことは同じではありません。
送信機やアプリが、アップデート確認、地図取得、ログ同期、障害情報送信などのために外部サーバーへ接続する場合があります。
以下を確認しましょう。
- 機体や送信機を完全オフラインで使用できるか
- 地図を事前に取得してオフライン利用できるか
- 飛行ログのクラウド同期を停止できるか
- 撮影画像や映像が自動アップロードされないか
- 接続先サーバーとデータ保存地域を確認できるか
「通常は送信されない」ではなく、「外部通信を遮断できるか」まで確認します。
3.機体と送信機間の通信暗号化
ドローンは、機体と送信機の間で映像、位置情報、飛行指示、機体状態などを無線通信しています。
この通信が適切に保護されていない場合、盗聴、改ざん、不正操作などのリスクが生じます。
確認項目は次のとおりです。
- 映像伝送が暗号化されているか
- 操縦・テレメトリ通信が暗号化されているか
- 使用している暗号化方式が公開されているか
- 暗号鍵やパスワードを適切に管理できるか
暗号化方式の名称だけでなく、映像・制御・保存データのどこに適用されるのかを確認することが重要です。
4.SDカードと保存データの保護
撮影データを保存するSDカードは、小型で取り外しが容易なため、紛失や持ち出しへの対策が必要です。
- SDカード内のデータを暗号化できるか
- パスワードを設定できるか
- 別の端末に挿しても簡単に閲覧できないか
- 送信機本体に残る写真やキャッシュを削除できるか
- データの持ち出し手順を管理できるか
重要インフラ点検では、機体だけでなく、SDカード、送信機、点検用PCまで含めたデータ管理ルールを設ける必要があります。
5.ファームウェアと地図の更新方法
セキュリティ対策としてアップデートは重要ですが、アップデートのために外部ネットワークへの接続が必須になると、組織の運用要件に合わない場合があります。
- ファームウェアをオフライン更新できるか
- 更新ファイルの真正性を確認できるか
- オフライン地図を使用できるか
- 自動アップデートを停止できるか
- 更新履歴と適用バージョンを管理できるか
インターネットに接続しないことだけでなく、安全な方法で更新を継続できる体制も必要です。
6.修理・返却・廃棄時のデータ消去
見落とされやすいのが、修理や点検で機体・送信機を外部へ預ける場面です。
- 撮影データを完全に削除できるか
- 飛行ログやキャッシュを消去できるか
- 工場出荷状態へ戻せるか
- 修理担当者がアクセスする範囲を確認できるか
- 国内の窓口へ相談できるか
レンタル機の返却、機体の入れ替え、廃棄時にも、同じ消去手順を適用する必要があります。
7.導入後の運用体制と国内サポート
高いセキュリティ機能を持つ機体でも、初期設定や運用方法が不適切であれば十分な効果は得られません。
機体の仕様だけでなく、次の支援体制も確認しましょう。
- 導入前に要件確認を行えるか
- ネットワークやログ同期の設定を支援できるか
- 運用手順書を作成できるか
- 操縦者や管理者への講習を実施できるか
- 修理・保守・データ消去について国内窓口へ相談できるか
国土交通省が公表する航空・空港分野の安全ガイドラインでも、供給者のセキュリティ対策状況の把握、調達・利用時の要求事項の整理、契約上の役割・責任範囲の明確化などが重視されています。国土交通省の安全ガイドライン
まず案件条件を整理。機体選びはそのあとです

| 調達・運用条件 | 選定の方向性 |
|---|---|
| 国産機の指定がある | 国産機から選定 |
| 非中国製の指定がある | 機体・主要部品の原産国を確認 |
| 特定国製品を一律除外しない | データフローと運用要件を個別評価 |
| 外部ネットワークへ接続できない | オフライン運用対応機を選定 |
| 撮影データ・ログを組織内に限定したい | ローカル保存・同期停止・消去機能を確認 |
| 第三者認証が必須 | 指定された認証の取得状況を確認 |
「官公庁対応」という呼び方だけで、仕様への適合は判断できません。
最後は、案件ごとの仕様書と組織内規に照らして確認します。ここを飛ばして機体名だけで決めてしまうと、導入後に運用できないということも起こります。
中国製を一律除外しない案件なら、EVO MAX Mode Sも比較候補

国産・非中国製が必須ではない一方で、外部ネットワーク、クラウド接続、通信、撮影データ、飛行ログを厳格に管理したい組織向けの選択肢として、Autel Robotics「EVO MAX Mode S」があります。
EVO MAX Mode Sでは、次のようなセキュリティ機能を重視しています。
- オンラインでのアクティベーションを必要としない運用
- 外部ネットワークへ接続しない運用
- オフライン地図・オフラインアップデート
- 機体と送信機間の通信暗号化
- SDカード内の撮影データ暗号化
- 撮影データ・飛行ログ・キャッシュの消去
- SkyLink Japanによる国内導入・保守支援
Autel Roboticsも、映像・データ伝送へのAES-256/AES-128暗号化、SDカードのAES-256暗号化、ログイン不要のオフライン更新、送信機に保存された写真・映像をサーバーへアップロードしない仕組みを案内しています。Autel Roboticsのデータセキュリティ情報
ただし、Autel Roboticsは中国に本社を置くメーカーです。そのため、国産機または非中国製が指定されている案件には適しません。
一方で、製造国を一律の除外条件とせず、実際の通信経路やデータ管理方法を評価する案件では、有力な比較候補になります。
官公庁・重要インフラ向けEVO MAX Mode Sの詳細を見る
EVO MAX Mode Sが適している可能性がある組織
- 官公庁・自治体の施設調査や災害対応部門
- 電力・鉄道・港湾・水道・通信などの重要インフラ事業者
- 橋梁・道路・プラントなどの点検会社
- 官公庁やインフラ事業者から点検業務を受託する企業
- クラウドへのデータ送信を制限している組織
- 外部ネットワークに接続できない現場
- 修理・保守まで国内窓口へ集約したい組織
最終的な適否は、発注仕様、組織内規、使用する機体構成、ファームウェア、通信設定などを確認したうえで判断します。
ここは、よく聞かれます
中国製ドローンは官公庁で使用できないのでしょうか?
すべての官公庁案件で一律に使用できないわけではありません。国産・非中国製などの指定がある場合はその条件に従いますが、調達仕様によっては、通信、データ保存、クラウド接続、保守体制などを個別に評価します。
オフライン運用なら情報漏えいリスクはなくなりますか?
オフライン運用でも、情報漏えいリスクはゼロにはなりません。
SDカードの紛失、送信機の持ち出し、パスワード管理、更新ファイル、修理時のデータ残存など、ネット接続以外のリスクも残るためです。
EVO MAX Mode Sは国産ドローンですか?
国産ドローンではありません。Autel Roboticsは中国に本社を置くメーカーです。非中国製が必須の案件には適しませんが、中国製を一律除外せず、情報の流れと運用方法を重視する案件では比較候補になります。
官公庁対応モデルというだけで導入できますか?
「官公庁対応」は、すべての官公庁・自治体の仕様に適合することを保証する表現ではありません。実際の発注仕様やセキュリティ要件との照合が必要です。
最後に。機体名より先に決めたいこと
結局、機体選びの出発点は「どの情報を、どこまで守るか」です。
そのうえで、製造国、保存先、送信経路、アクセス権限、修理時のデータ管理まで確認します。
特に確認したいのは、次の項目です。
- オンライン認証の有無
- 外部ネットワークとクラウドへの接続
- 通信と保存データの暗号化
- 飛行ログと撮影データの保存先
- オフラインでの地図・更新対応
- 修理・返却時のデータ消去
- 国内での導入・保守体制
SkyLink Japanでは、最初から特定の機体へ寄せるのではなく、製造国、通信環境、扱う情報、点検対象、組織内規を伺ったうえで候補を絞ります。国産・非中国製を含め、案件に合う構成を一緒に考えます。
中国製を一律除外しない一方、情報セキュリティを重視したドローンをお探しの場合は、EVO MAX Mode Sの適合可否をご相談ください。
その機体のセキュリティは、
導入基準を満たしていますか?
EVO MAX Mode Sは、オンライン認証に依存せず、外部ネットワークへ接続しない運用とデータ保護に対応したセキュリティ特化モデルです。
仕様を確認するか、貴社の要件に合わせて専門スタッフにご相談ください。
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