機体が変わっても、センサーは生かせる―Gremsy LYNXカメラを搭載した産業用ドローン

機体が変わっても、センサーは生かせる|世界の調達変化でGremsyが見直される理由

SKYLINK FIELD NOTE

ここ最近、SkyLink JapanではGremsyのカメラペイロードやジンバルについて、ご相談をいただく機会が増えています。単に新製品が増えたから、というだけではなさそうです。

お客様との会話で以前より多く聞くようになったのは、カメラ性能だけではありません。「この製品はどこでつくられているのか」「別の機体にも載せられるのか」「交換部品と修理は続くのか」。選定の入口が、画素数やズーム倍率から調達と継続運用へ広がっています。

背景の一つには、中国系ドローンや部品をめぐる海外市場の変化もあると私たちは見ています。ただし、米国で起きていることを、そのまま日本の状況として語ることはできません。また、「中国製だから不可」「非中国製なら安心」と国名だけで結論を出すのも適切ではありません。

いま見直したいのは、完成機のブランドだけではありません。機体、カメラ、通信、ソフトウェア、部品供給、国内保守を分けて考え、必要に応じて組み替えられる構成です。

調達できることも、製品性能の一部になった

2026年9月に米国で開催されたCommercial UAV Expoでは、政府・公共安全・重要インフラに近い用途ほど、「NDAA compliant」「Blue UAS」「Made in USA」といった表示が目立ちました。同時に、規制、関税、政府調達、原産国の確認に加え、交換部品、修理、現地サポートまで含めて調達を設計する必要性が繰り返し語られていました。

これは米国の展示会で得た現場情報であり、日本国内の供給状況を示す統計ではありません。一方で、性能の高い機体を購入できても、必要な部品を確保できなければ運用は続きません。規制への適合、部品の原産国、在庫、修理窓口、後継機への移行まで含めて確認する流れは、日本の官公庁・インフラ案件でも無関係ではないと考えています。

関連ブログ

米国市場で確認した制度、部品供給、関税、保守の変化は、「Commercial UAV Expo 2026で見た米国ドローン市場の転換点」で詳しく紹介しています。

中国の輸出管理、部材供給、対日デュアルユース規制が国内の調達へどう影響するかは、「中国製ドローンはいつまで使えるのか|レアアース輸出規制と部材供給リスクの実務対応〖2026年版〗」で整理しています。

機体を変えたとき、カメラまで使えなくならないか

完成機とカメラが一体化した製品は、導入のしやすさに大きな利点があります。その一方で、調達要件や用途の変化によって機体を変更すると、まだ使えるカメラやセンサーまで同時に入れ替えなければならないことがあります。

特に自社開発機、国産機、ArduPilot/PX4系の機体では、機体とペイロードを別々に選び、MAVLinkやSDKを介して統合する考え方が有効です。飛行時間や搭載重量に合わせて機体を変えつつ、用途に合ったセンサーを継続利用できれば、開発と運用の選択肢が広がります。

Gremsy LYNX、Vio F1、ZIO、T3V3の実製品画像を並べたラインアップ
Gremsy LYNX、Vio F1、ZIO、T3V3。SkyLink Japanの各製品ページに掲載している実製品画像を使用しています。製品間の縮尺は実寸比ではありません。

Gremsyは「非中国製の代替品」だけではない

Gremsyは、2011年創業のベトナムのジンバル・カメラペイロードメーカーです。現在は測量、インフラ点検、公共安全、監視など、産業用途の製品群を展開しています。

現在の調達環境で注目されやすいメーカーですが、価値を「中国系メーカーではない」という一点だけに置くと、本質を見失います。実務で大きいのは、ArduPilot/PX4、Pixhawk/CubePilot系を中心とする機体へ統合しやすく、可視光、サーマル、レーザー距離計、任意のカメラ搭載などを用途に応じて選べることです。

少なくともWLCグループ/SkyLink Japanがこれまで取り扱ってきた範囲では、Gremsyの調達や供給で重大な問題に直面した経験はありません。もちろん、これは将来の供給や納期を保証するものではありません。製品の世代交代、部品在庫、修理期間、構成変更は、案件ごとに確認する必要があります。

4つのラインアップは「見たいもの」から選ぶ

Gremsyの各製品は、単純な上位・下位の関係ではありません。最初に決めるべきなのは、どの機体へ載せるかよりも、現場で何を見つけ、どこまで判断したいかです。

LIGHTWEIGHT EO / IR

LYNX

小型機やVTOLなど、搭載可能重量が厳しい機体で可視光とサーマルを使いたい場合の候補です。人物・車両のAI検知と追尾にも対応します。

向いている場面:夜間監視、捜索、防災、公共安全、軽量機への統合。

Gremsy LYNXの仕様を見る

EO / IR / LASER RANGEFINDER

Vio F1 / G1

4Kズーム、サーマル、レーザー距離計を1台に統合。対象を見つけるだけでなく、距離や位置を報告したい現場に適します。

向いている場面:送電線、プラント、災害初動、捜索救助、夜間警備。

Gremsy Vio F1 / G1の仕様を見る

VISIBLE-LIGHT ZOOM

ZIO

サーマルを必要とせず、遠方の外観を鮮明に確認したい現場向けです。480gの可視光専用構成に、4Kと光学20倍ズームをまとめています。

向いている場面:錆、破損、変形、屋根、外壁、橋梁、建設進捗の確認。

Gremsy ZIOの仕様を見る

OPEN CAMERA GIMBAL

T3V3

カメラ一体型ではなく、手持ちのミラーレスカメラやPhase One iXMなどを搭載する3軸ジンバルです。カメラ資産を生かして構成を組めます。

向いている場面:写真測量、高解像度撮影、構造物点検、オルソ・3Dモデル作成。

Gremsy T3V3の仕様を見る

製品 主な構成 重量 選びやすい条件 事前に確認したい点
LYNX 可視光+サーマル+AI追尾 NDAAモデル190g
Standardモデル235g
軽量機で昼夜の映像を取りたい NDAAモデルとStandardモデルの違い、搭載機体との接続
Vio F1 / G1 可視光+サーマル+レーザー距離計 854g 対象の距離・位置まで把握したい F1とG1の製造・サーマル・調達適合の違い
ZIO 可視光ズーム 480g 温度ではなく形として見える異常を撮りたい サーマル非搭載、動作温度、防水等級、映像伝送
T3V3 任意のカメラを載せる3軸ジンバル 本体1,200g
最大搭載1,700g
所有するカメラや中判カメラを活用したい カメラとレンズの重量、寸法、重心、機体の搭載能力

※重量は構成によって変わります。LYNXの190g/235gはペイロード本体の値で、メインボード、ダンピング、配線を含むフルシステムは320〜365gです。T3V3はジンバル本体1,200gに対し、カメラとレンズを最大1,700gまで搭載できます。

「Gremsyなら何にでも載る」わけではありません
電源、ペイロード重量、重心、取り付け寸法、フライトコントローラー、制御プロトコル、映像伝送を事前に確認する必要があります。NDAA、Blue UAS、日本国内の発注仕様も別々の要件です。メーカー名だけで適合を判断せず、型番と構成単位で確認してください。

点検、捜索、測量で変わる「必要な目」

同じカメラペイロードでも、点検と捜索では求められる情報が違います。送電設備では離れた位置から小さな変状や発熱を見たい。捜索救助では夜間に熱源を捉え、位置を地上へ伝えたい。写真測量では一枚の迫力より、ブレと撮影姿勢を揃えた画像を連続して取得することが重要です。

Gremsy Vio F1による送電設備点検、LYNXによる夜間捜索、ZIOによる橋梁点検、T3V3による写真測量の用途例
左から、Vio F1と送電設備点検、LYNXと夜間捜索、ZIOと橋梁・構造物点検、T3V3と写真測量。製品写真はSkyLink Japanの各製品ページに掲載している実画像、背景は用途を説明するための生成イメージです。

製品ページの数字だけを見ると、高倍率や多機能なモデルに目が向きがちです。しかし、温度を見る必要がなければ、ZIOのような軽い可視光専用機のほうが構成を簡素化できます。すでに高性能なカメラを持っているなら、T3V3で資産を生かす方法もあります。必要以上の機能を積まないことも、飛行時間と運用コストを守る設計です。

サプライチェーンは5つの質問で確認する

「どこの国のメーカーか」は大切な情報ですが、それだけでは継続運用を判断できません。私たちは少なくとも次の5点を、製品選定と機体統合の段階で確認します。

1何が必要か可視光、温度、測距、位置、画質。成果物から逆算します。
2何に載せるか重量、電源、重心、FC、通信、取り付け方法を確認します。
3どこから来るか製造・最終組立、主要部品、型番ごとの調達適合を見ます。
4止まったらどうするか国内窓口、修理期間、予備品、代替構成を決めます。
5次へ移れるか機体変更や製品更新の際、センサー資産を継続利用できるか考えます。

世界から探し、日本の現場で使える形にする

WLCグループは、国産か海外製かという二択ではなく、世界各地から日本の現場で使えるドローン、カメラ、LiDAR、GNSS、通信機器を探してきました。そこで重要なのは、輸入できることではなく、機体へ載せ、必要なデータを取り、故障時にも運用を戻せることです。

Gremsyも、箱から出して単体で完結する製品ではありません。機体側の電源、フライトコントローラー、データリンク、地上局を組み合わせ、実機で検証して初めて現場の道具になります。SkyLink Japanは、製品販売だけでなく、選定、搭載確認、設定、トレーニング、国内保守の窓口までを含めて支援します。

総合的に見ると、Gremsyは現在の調達環境で検討価値の高いメーカーです。理由は国籍だけではなく、軽量なEO/IRから測距付きペイロード、可視光ズーム、任意カメラ用ジンバルまで、機体と用途に合わせて選びやすいこと。そして、特定の完成機だけに閉じない構成をつくりやすいことにあります。

機体・用途・調達条件の3点をお聞かせください

「この機体に載るか」「この距離で対象を判別できるか」「この発注仕様に合うか」。具体的な条件を確認し、Gremsyが適切でない場合も含めて構成をご提案します。

Gremsyの構成を相談する

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※製品仕様の確認日:2026年9月18日。仕様、制度、供給状況は変更される場合があります。実際の調達・機体統合では、最新の仕様書、発注条件、メーカー情報をご確認ください。

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