
SKYLINK FIELD NOTE
開場直後から通路に人があふれ、大手ブースの商談席は次々と埋まっていく——。INTERGEO 2026の会場でまず感じたのは、その熱気だけではありません。展示の主役が、「高性能な機器」そのものから、「取得したデータをどう業務につなぐか」へ移っていることでした。
2026年9月15日から17日まで、ドイツ・ミュンヘンで開催されたINTERGEO 2026。測地・測量・GIS・BIM・Reality Capture・ドローン・地球観測を横断する、世界最大級の地理空間展示会です。SkyLink Japanは初日から会場に入り、Hall B5・B6・C5・C6の主要ブースを2日間かけて回りました。
3回シリーズの第1回では、会場全体の空気を起点に、2025年から何が変わったのか、そしてその変化が日本の現場に何をもたらすのかを写真とともに読み解きます。
このブログで分かること
- 4つのホールから見えたINTERGEO 2026の熱量と規模
- 大手メーカーが「統合ワークフロー」を前面に出す理由
- 欧米・中国系メーカーに共通して起きている競争軸の変化

4つのホールを歩いて見えた、INTERGEOの熱量
INTERGEOは毎年ドイツ国内で開催地を変えながら続いており、2025年はフランクフルト、2026年はミュンヘンが舞台でした。公式サイトが示す2025年実績は、次の通りです。2026年の最終値は会期後に公表されます。
会場は4つのホールに分かれ、総合測量機器メーカー、GNSS(衛星測位)、LiDAR(レーザー計測)、SLAM(自己位置推定と地図作成を同時に行う技術)、ドローン、ソフトウェア、水域計測と、分野ごとにゆるやかにまとまっています。初日の午前中から通路は人で埋まり、大手ブースの商談席は開場後まもなく満席になっていました。

2026年、競争は「機器」から「使い方」へ
昨年と比べて最も分かりやすい変化は、Hall C5に「Reality Capturing Experience Park」が新設されたことです。モバイルマッピング、レーザースキャン、画像計測を実際の対象物に適用し、取得から点群化、3Dモデル化、利用までの流れをその場で確認できる区画で、複数の事業者が参加する開かれた形式になっています。製品カタログのスペックを見比べる展示から、「同じ対象をどう取得し、何が成果物として残るか」を比べる展示へ進んだ、と受け止めました。
もう一つの変化は、各社の説明の仕方です。2025年もAI、デジタルツイン、SLAM、Gaussian Splatting(点群を写実的に表示する新しい3D表現)は主要なテーマでしたが、2026年はそれらが具体的な製品、処理機能、納品工程、継続監視の中に組み込まれた形で見せられていました。機体やスキャナーの単体性能を前面に出すブースは減り、「取得したデータをどう処理し、どの形で納め、既存のCAD・BIM・GISにどうつなぐか」を語る構成が主流でした。
新技術の名前を並べる展示から、実際の業務でどう使い、どんな成果物を残せるかを見せる展示へ。2026年の会場では、この変化が随所で伝わってきました。
2025年から2026年への変化を、視察で確認できた範囲で整理すると次のようになります。
- Reality Capture:主要テーマとして定着していた技術が、実物での取得から3D化までを実演・比較する展示へ
- AI:リモートセンシング解析や点群分類の紹介から、設備識別・建物モデル生成・進捗管理など特定業務への実装へ
- Gaussian Splatting:新しい3D表現としての注目から、点群やパノラマと並ぶ表示・共有手段として業務ソフトへ組み込み
- ドローン:機体・センサーの性能訴求から、取得後の編集・分類・可視化・納品まで含む統合ワークフローの訴求へ
- 精度の説明:単発計測の絶対精度に加えて、再計測時の再現性と変化検出能力を重視する議論が増加
大手メーカーは「統合ワークフロー」で語る
Trimble、Topcon、Hexagon(Leica Geosystems)の3社は、いずれも単体機器ではなく、現場から事務所まで同じ座標・同じ業務フローでデータを管理する範囲を広げる発表を中心に据えていました。
Topconの発表がその典型です。屋内位置出しのOrigo(スキャナーとコントローラーを移動式ポールに統合し、据え替えを減らす)、車載モバイルマッピングのCR-M2、GNSS受信機のHiPer S1/V1、現場と事務所をつなぐMAGNET 2026、トータルステーション・GNSS・地盤センサーを統合して変位を監視するDelta Watch、地中レーダのProceqとの連携を、MAGNETを中心とした一つの環境に接続する構成で見せていました。CR-M2はGreenValley Internationalとの提携によるもので、必要な技術を外部から取り込んで自社環境に統合する方針が明確でした。

Trimbleは「Digital Construction Workflows」「Connected Survey Workflows」の2本柱でブースを構成し、測量→設計→施工→検査の流れの単位で説明員を配置していました。Hexagonのブースでは、ハンドヘルド3DスキャナーATLASCANを「どんな部品も編集可能なCADモデルに」と製造業の言葉で訴求しており、計測を製造・建設・測量にまたがる一つの事業として扱っていることが分かります。

3社に共通するのは、機器の追加というより「現場データを同じ座標と業務フローで管理する範囲」を広げていることです。顧客が比較するのは、これからは機器単体の仕様ではなく、処理ソフト、座標、成果物、既存システムとの連携までになっていくと感じました。
中国系メーカーは、規模も提案力も欧米大手と肩を並べる
CHCNAV(CHC Navigation)とSOUTHは、大手と同等の大型ブースで出展していました。CHCNAVは「One Connected Workflow. From Capture to Delivery.」を掲げ、Capture→Connect→Process→Analyze→Deliverの5本柱でブースを構成。ドローン用LiDAR、GNSS、ハンドヘルドSLAM、車載、そしてマルチビーム測深USV(無人測量船)まで、空・陸・水の製品を一つのブースに並べていました。商談スペースは初日から満席でした。

SOUTHも黄色を基調とした大型ブースで、GNSS、トータルステーション、ドローン、LiDAR、処理ソフトを展示していました。ブース中央にはクアッドコプターとLiDARを組み合わせた構成が置かれ、来場者で終日賑わっていました。

周辺分野でも、ハンドヘルドSLAM、GNSS、航空カメラ、農業向け自動操舵、USVと、中国系メーカーの製品幅は広がっています。ブースの設計や人員配置も欧米大手と同じ水準になっており、「ワークフロー」で語る構成も同じでした。

競争軸は「機器」から「運用」へ
2日間にわたって会場を歩き、強く残ったのは、ハードウェアの重要性が下がったという印象ではありません。むしろ、機体・スキャナー・LiDARの性能が各社で高い水準にそろったからこそ、「どう使い、何を納め、どう運用するか」まで含めて初めて違いが伝わる市場になったということです。
これは、日本の現場で製品を選ぶときにも重要な視点です。カタログ上の精度や点数だけでなく、取得後の処理時間、既存のCAD・BIM・GISとの接続、再計測のしやすさ、成果物を継続運用できるかまでを見る必要があります。SkyLink Japanとしても、個々の機器だけでなく、導入後の業務フロー全体から選択肢を整理していきます。
第2回では、この変化が最も分かりやすく表れていたLiDAR・SLAMの分野を取り上げます。ハンドヘルドSLAMの新製品、同じセンサーを手持ち・背負い・車載・ドローンで使うマルチプラットフォーム化、ドローンLiDARの高精度化を現地視点で紹介します。
INTERGEO 2026で確認した製品の詳細や、御社の現場への適用可否については、お気軽にお問い合わせください。現地で得た情報をもとに、用途に合わせてご説明します。
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