親子で学ぶドローン第5弾。ドローンはどうして遠くから操縦できるの? 電波と通信のひみつ。送信機を持つスカイ博士とひなた、ドローンの間を3色の矢印が行き来するイラスト。

ドローンはどうして遠くから操縦できるの? 電波と通信のひみつ

第3弾では、ドローンが自分の場所やかたむきを知るしくみを見ました。今回は、ドローンと操縦する人のあいだを行き来する、目に見えない電波と通信の話です。
第3弾「ドローンはどうして迷子にならないの?」など、これまでの回を読んでいなくても、ここから読めます。

今回のナビゲーター

スカイ博士

スカイ博士:ドローン研究ひとすじ40年。「なぜだと思う?」と問いを返します。

ひなた

ひなた:小学4年生。口ぐせは「なんで? やってみたい!」。みんなの代わりに、気になることを聞きます。

ひなたひなた

この前、橋の点検の見学会に行ったの。操縦している人の送信機の画面に、橋の裏側がくっきり映ってた! 映像は空からどうやって届くの?

スカイ博士スカイ博士

目には見えない電波に乗って届いておる。じゃが、電波が運んでいるのは映像だけではないぞ。

ひなたひなた

ほかにも何か運んでるの?

スカイ博士スカイ博士

操縦する人からは「前へ進め」「止まれ」という指示が。ドローンからは映像のほかに、「いまここにいる」「電池はこれだけ残っている」という知らせが。ドローンと操縦する人は、飛んでいるあいだ、ずっと会話しておるんじゃ。

今日の問い

操縦の指示と映像は、どう行き来するの?

先に答えを言うと、ドローンと操縦する人のあいだを流れている情報は、ひとつではありません。操縦の指示は機体へ。映像や、位置・高さ・電池の残りは操縦する人へ。そして電波には、届きやすい条件と届きにくい条件があります。だから、通信できる距離と、安全に飛ばせる範囲は同じではありません。

第1章 ドローンと操縦する人は、ずっと会話している

ドローンを操縦するときに手に持つ機械を、送信機そうしんきといいます(プロポ、コントローラーとも呼びます)。送信機とドローンは、目に見えない電波でつながっています。

第1弾では、ドローンの部品を人の体にたとえる表で、送信機との通信を耳と声にたとえました。人からの指示を受け取り、機体の状態を伝え返す、というはたらきです。耳で聞いて、声で答える。ドローンは指示を聞くだけでなく、自分のようすを声に出して知らせ続けています。

この会話には、向きがあります。このブログでは、操縦する人から機体へ向かう流れを上のぼり、機体から操縦する人へ向かう流れを下くだりと呼ぶことにします。

左のひなた・スカイ博士と右のドローンの間を、3つの情報が行き来するイラスト。青の操縦の指示は右へ、オレンジの橋の映像と緑の電池情報は左へ進みます。
  • 青:すすめ!などの指示 → ドローン
  • オレンジ:カメラの映像 → 操縦する人
  • 緑:電池・場所などの知らせ → 操縦する人
図1|青は操縦する人からドローンへ。オレンジの映像と緑の機体情報は、ドローンから人へ戻ります。3本の道は説明のための色分けで、実際の通信方法は機種によってちがいます。図をタップすると、大きな画像が別タブで開きます。
ひなたひなた

指示は行きの道で、映像は帰り道を通ってくるんだね。

スカイ博士スカイ博士

うむ。しかも帰り道を通るのは、映像だけではない。次の章で、何が通っているのかを分けてみよう。

第2章 操縦の指示・映像・機体情報のちがい

ドローンと操縦する人のあいだを行き来する情報は、大きく分けて3種類あります。このブログでは、色で区別します。

  • 青=操縦の指示:「前へ」「上へ」「止まれ」「カメラを下へ向けて」など、操縦する人の操作を機体へ伝える情報です。スティックを動かしているあいだ、その動きが次々と送られます。
  • オレンジ=映像:カメラが写した景色を、操縦する人の画面へ届ける情報です。3つの中で、データの量がとびぬけて多いのが特徴です。
  • 緑=機体情報:位置、高さ、速さ、向き、電池の残り、電波の強さ、警告など、機体の「いまの状態」を知らせる情報です。こうした情報をテレメトリーと呼びます。

表は横にスクロールできます →

くらべること操縦の指示映像機体情報(テレメトリー)
向き操縦する人 → 機体機体 → 操縦する人機体 → 操縦する人
中身の例進む・止まる・カメラを動かすカメラが写した景色位置・高さ・速さ・電池・警告
データの量小さいとても大きい小さい
届かないと困ること思いどおりに動かせないまわりのようすが見えない電池の残りや警告に気づけない

表1|行き来する3つの情報。向きも、量も、届かないときに困ることもちがいます。

この3つを、ひとつの通信のしくみにまとめて運ぶドローンもあれば、操縦用と映像用で別々の電波を使う機体もあります。どう運ぶかは、機種によってちがいます。このブログでは考えやすいように、3本の色の道に分けて考えます。

ひなたひなた

映像が見えていれば、電池の数字なんていらないんじゃない?

スカイ博士スカイ博士

なぜだと思う? 映像に写るのは、カメラが向いている先の景色だけじゃ。電池の残りも、いまの高さも、映像には写らん。だから機体は、数字で自分のようすを知らせ続けるんじゃよ。

クイズ 1

ドローンから操縦する人へ届く情報はどれ?

  1. 前へ進め
  2. 電池の残り
  3. カメラを下へ向けて
答えを見る

答え:2。 電池の残りは、機体が自分の状態を知らせる機体情報(テレメトリー)です。1と3は、操縦する人から機体へ送る操縦の指示です。

第3章 GNSSと通信は、別の仕事

第3弾で見たように、ドローンはGPSなどの衛星えいせいから届く電波を受け取って、自分の位置を求めています。GPSのように衛星を使って位置を求めるしくみを、まとめてGNSS(全球測位そくい衛星システム)と呼びます。

ここで大切なのは、GNSSの衛星は、操縦の指示も映像も運んでいないということです。衛星は、時刻などの情報が入った電波を、地上へ向けて出し続けているだけ。ドローンはそれを聞いて、自分の位置を計算します。衛星へ何かを送り返すことはありません。

一方、送信機とドローンのあいだの通信は、指示と映像と機体情報が行き来する道です。同じ「電波」でも、送る側も、受け取る側も、運ぶ中身もちがいます。ドローンのまわりには、ほかにも役目のちがう電波があります。

ドローンの周りの電波を4段のイラストで比較。衛星から届く位置の手がかり、送信機との情報の往復、基地局を通る遠くとの通信、周りへ知らせるリモートIDの名札を描いています。
  • 場所を知る:GNSS(GPSなど)
  • やりとりする:送信機との通信
  • 遠くとつなぐ:携帯電話の回線(LTE・5G)
  • 名札を出す:リモートID
図2|同じ電波でも、仕事は別々です。衛星の電波は場所を知る手がかり。送信機との通信は指示・映像・機体情報の往復。携帯電話の回線は遠くとつなぐ道。リモートIDは周りへ出す名札です。図をタップすると、大きな画像が別タブで開きます。

片方だけうまくいかないこともある

GNSSと操縦の通信は別のしくみなので、片方だけがうまくいかなくなることがあります。

  • GNSSは使えるのに、操縦の通信が切れる:機体が遠くへ行きすぎたときや、建物・山のかげに入ったときなどです。空が開けていれば衛星の電波は届くので、機体は自分の位置がわかります。だから設定によっては、飛び立った場所へ自分で戻れることがあります(第5章)。
  • 通信はできるのに、GNSSが不安定になる:高い建物に囲まれた場所、橋の下、屋根のある場所、強い電波のじゃまがある場所などです。指示は届いても、機体は自分の位置をうまくつかめず、その場にとどまる力が弱くなったり、風に流されやすくなったりします。
ひなたひなた

GPSで映像も送ってるんだと思ってた!

スカイ博士スカイ博士

よくある思いちがいじゃ。GPSの衛星は「位置を知る手がかり」を配っているだけ。映像を運んでいるのは、送信機とドローンの通信なんじゃよ。GNSSのくわしいしくみは、第3弾を読み返してみるとよい。

クイズ 2

GPSなどGNSSの衛星の電波について、正しいのはどれ?

  1. 送信機からの操縦の指示を、ドローンへ運んでいる
  2. ドローンが写した映像を、操縦する人へ運んでいる
  3. ドローンが自分の位置を求める手がかりになる
答えを見る

答え:3。 衛星は、位置を求めるための電波を出しているだけです。操縦の指示や映像を運ぶのは、送信機とドローンの通信です。

第4章 電波が苦手な場所と、映像の遅れ

電波は、光の仲間

電波は、光と同じ速さで進みます。総務省の子ども向けページによると、1秒間に地球を7周半するほどの速さです。金属に当たるとはね返り、紙や木、ガラスは通りぬけやすい。地面ではね返ったり、山の上で曲がったりもします。

電波には、周波数(1秒間に波がくり返す回数)のちがいによって性質の差があり、周波数が高い電波ほど、光のようにまっすぐ進む性質が強くなります。ドローンの操縦や映像には、こうしたまっすぐ進みやすい電波がよく使われています。だから、送信機とドローンのあいだが見通せるかどうかが、とても大切なのです。

届きにくくなる7つの条件

  1. 遠くなる:離れるほど、届く電波は弱くなります。
  2. あいだに物がある:建物、山、しげった木、人の体などは、電波を弱めたり、さえぎったりします。機体が建物の裏や山の向こうへ回りこむと、まっすぐの道がふさがれます。
  3. 低いところを飛ぶ:地面に近いほど、建物や木にさえぎられやすくなります。
  4. アンテナの向き:送信機のアンテナには、電波をやりとりしやすい向きがあります。説明書の図のとおりに向けると、つながりやすくなります。
  5. はね返り:金属の多い場所では、はね返った電波どうしが重なって、強くなったり弱くなったりします。
  6. じゃまな電波:近くで同じ周波数の電波が出ていると、聞き取りにくくなります。これを干渉かんしょうといいます。
  7. 混雑:ドローンでよく使う2.4GHz帯(ギガヘルツたい)は、Wi-FiやBluetoothと同じ電波の「道」を分け合っています。人がたくさん集まる場所や街の中では、道がこみあいます。

ただし、「かべがあれば必ず切れる」わけでも、「周波数が高いほど必ず悪い」わけでもありません。物のふちで曲がった電波や、はね返った電波で届くこともあります。周波数ごとに得意なことと苦手なことがあり、電波の強さ、アンテナ、まわりの電波のようすなど、いくつもの条件が重なって、届き方が決まるのです。

上はスカイ博士とドローンの間に物がなく、電波が届きやすい場面。下は大きな建物が間にあり、直接の電波が弱くなる場面。建物の上を回る弱い電波の道も描かれています。
図3|あいだに建物があると、まっすぐの電波は届きにくくなります。回り込んだり、はね返ったりした電波が届くこともあるので、建物があると必ず切れるわけではありません。道は説明のためのイメージです。図をタップすると、大きな画像が別タブで開きます。

カタログの距離は「いちばんよい条件」の数字

ドローンの説明書には、「最大伝送距離」という数字がのっています。ある小型ドローンの説明書には、さえぎる物も電波のじゃまもない条件で、最大6km(日本向けの基準)とあります。でも同じ説明書には、電波のじゃまが多い街の中では、届く距離がずっと短くなることも書かれています。さらに、この数字は電波をやりとりできるいちばん遠い距離であって、1回の飛行で飛べる距離ではない、ともことわっています。

もうひとつ大切なのは、電波が届く距離と、安全に飛ばせる範囲は別ということです。日本のルールでは、ドローンはふつう、操縦する人が自分の目で見える範囲で飛ばします。目で見えない所まで飛ばす目視外もくしがい飛行は、許可・承認などの手続きと、安全のための準備が必要な飛ばし方です。電波が6km届くとしても、6km先の機体を目で見ることはできません。

映像は、少し遅れて届く

映像が画面に出るまでには、いくつもの小さな仕事があります。カメラが撮った景色は、そのままでは大きすぎるので、機体の中で小さくまとめます(圧縮あっしゅく)。それを電波で送り、送信機が受け取って、もとの映像にもどし、画面に表示します。一つひとつはとても短い時間でも、積み重なると遅れ(遅延ちえん)になります。

橋を撮るカメラ、小さくまとめた映像の情報を送って受け取る場面、情報を広げて送信機の画面に橋を表示する場面を、上から順に描いたイラスト。小さな時計が映像の遅れを表しています。
  • 1 撮る → 2 小さくまとめる(圧縮)
  • 3 送る → 4 受け取る
  • 5 もとにもどす(復元)→ 6 画面に出す
図4|撮る・小さくまとめる・送る・受け取る・もとにもどす・画面に出す。6つの仕事を3つの場面で表しました。小さな仕事が積み重なるので、映像は少し遅れて届きます。紙の包みは情報のたとえです。図をタップすると、大きな画像が別タブで開きます。

メーカーの説明書や仕様表には、遅れの目安として0.13秒や0.2秒といった数字がのっています。ただし、「機体と送信機が近く、電波のじゃまがないとき」「まわりの環境や、使うスマートフォンによって変わる」といった条件つきです。電波が弱くなると、映像がカクカクしたり、止まったりすることもあります。

0.2秒は短く感じますが、秒速10mで飛んでいるドローンは、0.2秒で2m進みます。画面に映っているのは、ほんの少し前の景色です。だから、近くに物があるときはゆっくり飛ばします。遠くから点検するときも、ズームで細かい所を見ながら機体を少しずつ動かすので、遅れを見込んだ操作が欠かせません。

ひなたひなた

テレビの生中継みたいに、ちょっと遅れて見えてるんだ。

スカイ博士スカイ博士

そのとおり。だからプロは、映像だけにたよらず、機体情報の数字や、自分の目でも確かめるんじゃ。

クイズ 3

ドローンの説明書に「最大伝送距離6km」と書いてありました。正しい考え方はどれ?

  1. よい条件で測った通信の距離で、安全に飛ばせる範囲とは別のもの
  2. 日本なら、6km先まで飛ばしてよい
  3. どんな場所でも、6kmまでは必ず届く
答えを見る

答え:1。 さえぎる物も電波のじゃまもない条件で測った数字です。街の中では短くなりますし、日本ではふつう、目で見える範囲で飛ばします。

第5章 通信が切れたときに起こること

ひなたひなた

もし電波が切れちゃったら、ドローンは落ちちゃうの?

スカイ博士スカイ博士

多くのドローンには、通信が切れたときにどう動くかを決めておくしくみがある。じゃが、動き方はひとつではない。なぜだと思う?

ひなたひなた

うーん……場所によって、戻ったほうがいいときと、戻らないほうがいいときがあるから?

スカイ博士スカイ博士

いいところに気がついた。木や電線の多い場所、風の強い日、電池が少ないとき。ちょうどよい動き方は、そのときどきでちがうんじゃ。

動き方は、機種と設定で決まる

通信が切れたときのおもな動き方には、次のようなものがあります。

  • その場で止まって待つ(ホバリング)
  • その場に降りる(着陸)
  • 飛び立った場所へ戻る(自動帰還。RTH=Return to Homeともいいます)

どれになるかは、機種、設定、飛行モードによってちがいます。ある小型ドローンの説明書では、送信機の信号が切れたときの動きを「戻る・着陸・ホバリング」から選べます。「戻る」を選んでいても、戻り始めるのは、ホームポイント(戻る場所)を記録できていて、GPSの電波がよく、コンパスが正常なときに、信号が切れてから11秒より長くたったとき、と書かれています。待つ時間は機種によってちがい、同じメーカーでも6秒としている機種があります。

映像だけが切れて、操縦はまだできる、ということもあります。この説明書では、そのときは「戻りますか」とたずねる表示が出る、としています。

「戻る」にも条件がある

自動で戻るためには、いくつもの条件がそろっている必要があります。

  • 戻る場所:ホームポイントを、飛び立つ前に正しく記録できていること。
  • 自分の位置:GNSSで位置がしっかりわかること。説明書には、GPSの電波が弱いと戻れないこと、戻るとちゅうで弱くなると、しばらくその場で待ってから降りることが書かれています。
  • 電池:戻るのに十分な電池が残っていること。
  • 風:向かい風が強いと、戻るのに時間も電池も多くかかります。
  • 障害物:戻る道に、木や建物、電線がないこと。障害物を自動でよけられない機体もあり、そのときは戻るときの高さの設定が大切です。

だから、「通信が切れたら必ず自動で帰ってくる」わけではありません。飛ばす前に、設定と条件を人が確かめておくことが大切なのです。第3弾でも、自動で戻るしくみには条件があることを見ました。

通信が切れたときの設定例を3つに分けたイラスト。左はその場で待つドローン、中央は安全な場所へ降りるドローン、右は飛び立った場所へ戻るドローン。帰還には位置・電池・周囲の条件が必要だと示しています。
  • 待つ・降りる・戻るは、順番ではなく設定の例
  • 戻る設定でも、必ず戻れるわけではありません
図5|待つ・降りる・戻るは、通信が切れたときの動きの例です。どれを選べるか、いつ動き始めるかは機種や設定でちがいます。戻る設定でも、ホームポイント・GNSS・電池・風・障害物などの条件を確かめる必要があります。図をタップすると、大きな画像が別タブで開きます。
クイズ 4

ドローンの操縦の電波が切れたら、どうなる?

  1. どのドローンも、必ず自動で帰ってくる
  2. どのドローンも、すぐに落ちる
  3. 機種や設定、そのときの条件で動きがちがうので、飛ばす前に確かめておく
答えを見る

答え:3。 その場で待つ、降りる、戻るなど、動きは機種と設定で決まります。戻る設定でも、ホームポイントの記録、GNSS、電池、風、障害物などの条件がそろわないと戻れません。

第6章 携帯電話の回線と、リモートID

送信機と直接話す方法、携帯電話の回線を通る方法

ここまでの通信は、送信機とドローンが直接電波でやりとりする方法でした。もうひとつ、スマートフォンと同じ携帯電話の回線(LTE・5Gなど)を通ってやりとりする方法もあります。ドローンの電波は近くの基地局きちきょくへ届き、そこからネットワークを通って、遠くの事務所のパソコンなどへつながります(図2の3段目)。送信機の電波が届かない遠くの場所とも、回線を通じてつながれるのが強みです。

でも、携帯電話の回線があれば、どこまでも飛ばせるわけではありません。

  • 携帯電話の回線は、もともと地上で使うためにつくられています。空の上で使うと通信が安定しないことがあり、地上の携帯電話にえいきょうするおそれもあります。だから上空で使うには、携帯電話会社への手続き(上空用のプランなど)が必要です。ふだんのスマートフォンやSIMカードを、そのままドローンにのせて使ってはいけません。
  • 山おくや海の上など、電波の届かない圏外けんがいの場所があります。
  • 基地局やネットワークを通るぶん、遅れが出ることがあります。
  • 目で見えない所を飛ばすには、通信とは別に、航空法の手続きと、機体・人・手順の準備がいります。
スカイ博士スカイ博士

回線は「道」じゃ。道があっても、交通ルールと、もしものときの準備がなければ、遠くまで行ってはならん。

リモートIDは「わたしはだれ?」を知らせる名札の電波

日本では2022年6月から、100グラム以上のドローンは国に登録することになりました。登録したドローンは、リモートIDという電波を出しながら飛ぶのが原則です。ルールが今の形になるまでの歴史は、第2弾で紹介しています。

リモートIDは、登録記号(国が決めた登録番号)や製造番号、位置・速さ・時刻などを、1秒に1回以上、BluetoothやWi-Fiの電波でまわりへ発信します。受信機で受け取ると、どの登録のドローンが飛んでいるのかがわかります。持ち主の名前や住所などの個人情報は入っていません。また、飛んでいるあいだ、操縦する人がリモートIDの発信を止められないしくみになっています。

リモートIDは名札のようなものなので、次のことはしません。

  • ドローンを操縦する(操縦の通信とは別のしくみです)
  • 位置を求める(GNSSなどで求めた位置を、知らせているだけです)
  • ほかの機体とぶつからないように、よけてくれる
  • どこまでも追いかける(電波が届くのは、機体のまわりだけです)

なお、制度が始まる前の期間に登録を申しこんだ機体、届け出た区域の中で安全の対策をとって飛ばす場合、30m以内のじょうぶなひもでつないで飛ばす場合などは、リモートIDがなくてもよいとされています。

クイズ 5

リモートIDについて、正しいのはどれ?

  1. リモートIDの電波で、ドローンを操縦している
  2. 機体の登録記号などを、まわりへ知らせる名札の役目をする
  3. ほかの機体とぶつからないように、自動でよけてくれる
答えを見る

答え:2。 リモートIDは、登録記号や位置などを発信する名札のようなしくみです。操縦や、衝突をよける仕事はしません。

親子で挑戦|3本の情報の道ゲーム

指示・映像・機体情報の往復ゲーム。紙とペンだけでできます。

本物のドローンは飛ばしません。スマートフォンやWi-Fiも使いません。色のカードを手渡しして、情報がどちら向きに進むのかを体で感じる遊びです。

このゲームは、通信のしくみを考えるためのモデル(たとえ)です。本物の電波の伝わり方や、本物のドローンの動きをそのまま再現するものではありません。

用意するもの

  • 印刷したカードとワークシート(A4・2枚)、またはメモ用紙
  • 青・オレンジ・緑の色ペン、えんぴつ
  • はさみ(カードを切るときは大人といっしょに)
  • コマにするもの(消しゴム、おはじきなど)
  • 3人以上(2人のときは、中継役の代わりに机のまん中に置いた箱を使います)

コース図

紙に5×5のマス目をかき、スタート(ホームポイント)、ゴール(点検する橋)、木、ビル、池を3〜4か所に入れます。コース図を見てよいのは、ドローン役だけ。ひなた役は、届いたカードだけをたよりに操縦します。

カード

  • 青カード操縦の指示。ひなた役が書きます。「前へ1マス」「右へ1マス」「左へ1マス」「後ろへ1マス」「止まる」「カメラを下へ」
  • オレンジカード映像。ドローン役が、コマのまわりに見えるものを書きます。例:「前に木」「右にビル」
  • 緑カード機体情報。ドローン役が、位置と電池の残りを書きます。例:「位置 3の2 電池 80%」。電池は1ターンごとに5へります(待っているあいだもへります)。
  • 事件カード6枚。裏返して山にしておきます。障害物カード2枚「ビルのかげ:このターン、オレンジカードは届かない」、遅延カード2枚「映像の遅れ:オレンジカードは次のターンに届く」、通信断カード1枚「通信が切れた:2ターンのあいだ、どのカードも届かない」、通信良好カード1枚「何も起きない」。
  • 安全手順カードゲームの前に全員で書きます。通信が切れたとき、ドローン役がすることを1つ選びます。「その場で待つ」「スタートへ1ターンに1マスずつ戻る(戻る道に障害物がないときだけ)」「その場に降りる」

やり方

  1. 役を決める。 ひなた役(操縦する人)、ドローン役(コマを動かす)、中継役(電波の役。カードを運ぶ)。
  2. 安全手順カードを書く。 通信が切れたらどうするかを、飛ぶ前に決めておきます。
  3. コマをスタートに置く。 電池は100%から始めます。
  4. 1ターンの流れ
    1. 中継役が、事件カードを1枚引いて読み上げる
    2. ひなた役が、青カードに指示を書いて中継役へわたす
    3. 中継役が、青カードをドローン役へ運ぶ(行き)
    4. ドローン役がコマを動かし、オレンジと緑のカードを書いて中継役へわたす
    5. 中継役が、オレンジと緑をひなた役へ運ぶ(帰り)
  5. 通信断カードが出たら、ドローン役は自分で考えて動かず、安全手順カードのとおりに動きます。ひなた役は、カードが届かないあいだ、何が起きていそうかをメモします。
  6. ゴールに着いたら「カメラを下へ」で点検し、スタートへ戻ります。電池が0になる前に戻れたら成功です。

ルールのポイント:青は「行き」だけ、オレンジと緑は「帰り」だけ。中継役は、カードを読まずに運びます。

表は横にスクロールできます →

ターン出した青カード届いたオレンジ届いた緑事件カード気づいたこと
1     
2     
3     
4     

ワークシート|印刷して書きこめます。足りなければ裏に続けてください。

ふりかえり

  • どの色のカードが届かないと、いちばん困った?
  • 遅れて届いた映像で操縦したら、どうなった?
  • 通信が切れたとき、先に決めておいた安全手順は役に立った?
ふりかえりの一例を見る

正解はひとつではありません。気づいたことを言葉にできれば十分です。

  • オレンジが届かないとき:前に何があるかわからず、「止まる」を出したくなります。でも緑カードで位置がわかれば、コース図を頭の中で思い出して、少しずつ進めます。本物の操縦でも、映像と機体情報の両方を見ることが大切です。
  • オレンジが遅れたとき:届いた「前に木」は、ひとつ前のマスの景色です。そのつもりで「前へ」を出すと、木にぶつかりそうになります。遅れがあるときは、ゆっくり、小さく動かすのが安全です。
  • 通信が切れたとき:ひなた役は何もできません。ドローン役がその場で考えて動くと、ひなた役は機体がどこにいるのか、ますますわからなくなります。先に決めた手順どおりに動けば、ひなた役も「いまは待っているはず」と予想できます。だから本物のドローンでも、通信が切れたときの動きは、飛ばす前に決めて確かめておくのです。
左のひなた役、中央の中継役、右のドローン役のスカイ博士が紙のカードで遊ぶ場面。青の指示は左から右へ、オレンジの映像と緑の電池・場所は右から左へ、中継役を通って進みます。スカイ博士の前には紙のコース図とコマがあります。
  • 青:ひなた役 → 中継役 → ドローン役
  • オレンジ・緑:ドローン役 → 中継役 → ひなた役
図6|青の指示は、ひなた役からドローン役へ。オレンジの映像と緑の機体情報は、ドローン役からひなた役へ。どのカードも中継役が運びます。安全手順カードはゲームの前に決めます。図をタップすると、大きな画像が別タブで開きます。
ひなたひなた

通信断カードが出たとき、ドローン役が勝手に動いたら、どこにいるのか全然わからなくなっちゃった!

スカイ博士スカイ博士

それが大事な発見じゃ。本物の現場でも、もしものときの動きは、飛ばす前に決めて確かめておく。だから、離れていても「いまはこうしているはずだ」と考えられるんじゃよ。

今日わかったこと

  1. ドローンと操縦する人のあいだでは、情報が両方向に流れている。
  2. 操縦の指示は機体へ(上り)。映像と、位置・高さ・電池などの機体情報(テレメトリー)は、操縦する人へ(下り)。
  3. 3つの情報をどう運ぶかは、機種によってちがう。
  4. GNSSの衛星の電波は、位置を求める手がかり。操縦の指示や映像は運ばない。
  5. 電波は、距離、物のかげ、高さ、アンテナの向き、はね返り、じゃまな電波、混雑で届きにくくなる。でも、かべがあれば必ず切れるわけではない。
  6. 映像は少し遅れて届く。カタログの距離や遅れの数字は、条件つき。通信できる距離と、安全に飛ばせる範囲は同じではない。
  7. 通信が切れたときの動きは、機種・設定・飛行モードと、そのときの条件で変わる。必ず帰ってくるわけではない。
  8. 携帯電話の回線があるだけでは、遠くまで飛ばせない。リモートIDは名札の電波で、操縦や衝突よけはしない。
ひなたひなた

映像が空から届くのは、ドローンがずっと話しかけてくれているからなんだね。

スカイ博士スカイ博士

うむ。そして、話が聞こえなくなったときにどうするかを、人が先に決めておく。それが、目に見えない電波と上手につきあうコツじゃ。

このブログをつくった会社について

SkyLink Japanは、測量・点検・農業・防災などの現場で使うドローンやロボットを、必要とする人へ届ける仕事をしています。このシリーズでは、技術が人の暮らしとどうつながるのかを、親子で考えるきっかけをお届けします。

お仕事でドローンの通信を考えている大人の方へ
2.4GHz帯・LTE/5G・衛星通信の使い分けと、日本での安全運航を支える通信の考え方はドローン通信は2.4GHzからLTE・5Gへ、そして衛星へ、上空から通信をつなぐ新しい動きはHAPSはドローン通信をどう変える?で紹介しています。

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※このブログは教育目的のコンテンツです。特定の製品の購入をおすすめするものではありません。

出典・参考資料

周波数・通信距離・遅延などの数字を調べ直すときは、「どの国の基準か」「どの条件での数字か」にも注目してください。すべて2026年10月4日に確認しています。

電波のきほん

ドローンの電波と制度

飛行ルール・リモートID

メーカーの説明書・仕様の例

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