情報の基準日:2026年10月4日|親子で学ぶドローン・第5弾
第3弾では、ドローンが自分の場所やかたむきを知るしくみを見ました。今回は、ドローンと操縦する人のあいだを行き来する、目に見えない電波と通信の話です。
第3弾「ドローンはどうして迷子にならないの?」など、これまでの回を読んでいなくても、ここから読めます。
今回のナビゲーター
スカイ博士:ドローン研究ひとすじ40年。「なぜだと思う?」と問いを返します。
ひなた:小学4年生。口ぐせは「なんで? やってみたい!」。みんなの代わりに、気になることを聞きます。
この前、橋の点検の見学会に行ったの。操縦している人の送信機の画面に、橋の裏側がくっきり映ってた! 映像は空からどうやって届くの?
目には見えない電波に乗って届いておる。じゃが、電波が運んでいるのは映像だけではないぞ。
ほかにも何か運んでるの?
操縦する人からは「前へ進め」「止まれ」という指示が。ドローンからは映像のほかに、「いまここにいる」「電池はこれだけ残っている」という知らせが。ドローンと操縦する人は、飛んでいるあいだ、ずっと会話しておるんじゃ。
今日の問い
操縦の指示と映像は、どう行き来するの?
先に答えを言うと、ドローンと操縦する人のあいだを流れている情報は、ひとつではありません。操縦の指示は機体へ。映像や、位置・高さ・電池の残りは操縦する人へ。そして電波には、届きやすい条件と届きにくい条件があります。だから、通信できる距離と、安全に飛ばせる範囲は同じではありません。
第1章 ドローンと操縦する人は、ずっと会話している
ドローンを操縦するときに手に持つ機械を、送信機といいます(プロポ、コントローラーとも呼びます)。送信機とドローンは、目に見えない電波でつながっています。
第1弾では、ドローンの部品を人の体にたとえる表で、送信機との通信を耳と声にたとえました。人からの指示を受け取り、機体の状態を伝え返す、というはたらきです。耳で聞いて、声で答える。ドローンは指示を聞くだけでなく、自分のようすを声に出して知らせ続けています。
この会話には、向きがあります。このブログでは、操縦する人から機体へ向かう流れを上り、機体から操縦する人へ向かう流れを下りと呼ぶことにします。
- 青:すすめ!などの指示 → ドローン
- オレンジ:カメラの映像 → 操縦する人
- 緑:電池・場所などの知らせ → 操縦する人
指示は行きの道で、映像は帰り道を通ってくるんだね。
うむ。しかも帰り道を通るのは、映像だけではない。次の章で、何が通っているのかを分けてみよう。
第2章 操縦の指示・映像・機体情報のちがい
ドローンと操縦する人のあいだを行き来する情報は、大きく分けて3種類あります。このブログでは、色で区別します。
- 青=操縦の指示:「前へ」「上へ」「止まれ」「カメラを下へ向けて」など、操縦する人の操作を機体へ伝える情報です。スティックを動かしているあいだ、その動きが次々と送られます。
- オレンジ=映像:カメラが写した景色を、操縦する人の画面へ届ける情報です。3つの中で、データの量がとびぬけて多いのが特徴です。
- 緑=機体情報:位置、高さ、速さ、向き、電池の残り、電波の強さ、警告など、機体の「いまの状態」を知らせる情報です。こうした情報をテレメトリーと呼びます。
表は横にスクロールできます →
| くらべること | 操縦の指示 | 映像 | 機体情報(テレメトリー) |
|---|---|---|---|
| 向き | 操縦する人 → 機体 | 機体 → 操縦する人 | 機体 → 操縦する人 |
| 中身の例 | 進む・止まる・カメラを動かす | カメラが写した景色 | 位置・高さ・速さ・電池・警告 |
| データの量 | 小さい | とても大きい | 小さい |
| 届かないと困ること | 思いどおりに動かせない | まわりのようすが見えない | 電池の残りや警告に気づけない |
表1|行き来する3つの情報。向きも、量も、届かないときに困ることもちがいます。
この3つを、ひとつの通信のしくみにまとめて運ぶドローンもあれば、操縦用と映像用で別々の電波を使う機体もあります。どう運ぶかは、機種によってちがいます。このブログでは考えやすいように、3本の色の道に分けて考えます。
映像が見えていれば、電池の数字なんていらないんじゃない?
なぜだと思う? 映像に写るのは、カメラが向いている先の景色だけじゃ。電池の残りも、いまの高さも、映像には写らん。だから機体は、数字で自分のようすを知らせ続けるんじゃよ。
ドローンから操縦する人へ届く情報はどれ?
- 前へ進め
- 電池の残り
- カメラを下へ向けて
答えを見る
答え:2。 電池の残りは、機体が自分の状態を知らせる機体情報(テレメトリー)です。1と3は、操縦する人から機体へ送る操縦の指示です。
第3章 GNSSと通信は、別の仕事
第3弾で見たように、ドローンはGPSなどの衛星から届く電波を受け取って、自分の位置を求めています。GPSのように衛星を使って位置を求めるしくみを、まとめてGNSS(全球測位衛星システム)と呼びます。
ここで大切なのは、GNSSの衛星は、操縦の指示も映像も運んでいないということです。衛星は、時刻などの情報が入った電波を、地上へ向けて出し続けているだけ。ドローンはそれを聞いて、自分の位置を計算します。衛星へ何かを送り返すことはありません。
一方、送信機とドローンのあいだの通信は、指示と映像と機体情報が行き来する道です。同じ「電波」でも、送る側も、受け取る側も、運ぶ中身もちがいます。ドローンのまわりには、ほかにも役目のちがう電波があります。
- 場所を知る:GNSS(GPSなど)
- やりとりする:送信機との通信
- 遠くとつなぐ:携帯電話の回線(LTE・5G)
- 名札を出す:リモートID
片方だけうまくいかないこともある
GNSSと操縦の通信は別のしくみなので、片方だけがうまくいかなくなることがあります。
- GNSSは使えるのに、操縦の通信が切れる:機体が遠くへ行きすぎたときや、建物・山のかげに入ったときなどです。空が開けていれば衛星の電波は届くので、機体は自分の位置がわかります。だから設定によっては、飛び立った場所へ自分で戻れることがあります(第5章)。
- 通信はできるのに、GNSSが不安定になる:高い建物に囲まれた場所、橋の下、屋根のある場所、強い電波のじゃまがある場所などです。指示は届いても、機体は自分の位置をうまくつかめず、その場にとどまる力が弱くなったり、風に流されやすくなったりします。
GPSで映像も送ってるんだと思ってた!
よくある思いちがいじゃ。GPSの衛星は「位置を知る手がかり」を配っているだけ。映像を運んでいるのは、送信機とドローンの通信なんじゃよ。GNSSのくわしいしくみは、第3弾を読み返してみるとよい。
GPSなどGNSSの衛星の電波について、正しいのはどれ?
- 送信機からの操縦の指示を、ドローンへ運んでいる
- ドローンが写した映像を、操縦する人へ運んでいる
- ドローンが自分の位置を求める手がかりになる
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答え:3。 衛星は、位置を求めるための電波を出しているだけです。操縦の指示や映像を運ぶのは、送信機とドローンの通信です。
第4章 電波が苦手な場所と、映像の遅れ
電波は、光の仲間
電波は、光と同じ速さで進みます。総務省の子ども向けページによると、1秒間に地球を7周半するほどの速さです。金属に当たるとはね返り、紙や木、ガラスは通りぬけやすい。地面ではね返ったり、山の上で曲がったりもします。
電波には、周波数(1秒間に波がくり返す回数)のちがいによって性質の差があり、周波数が高い電波ほど、光のようにまっすぐ進む性質が強くなります。ドローンの操縦や映像には、こうしたまっすぐ進みやすい電波がよく使われています。だから、送信機とドローンのあいだが見通せるかどうかが、とても大切なのです。
届きにくくなる7つの条件
- 遠くなる:離れるほど、届く電波は弱くなります。
- あいだに物がある:建物、山、しげった木、人の体などは、電波を弱めたり、さえぎったりします。機体が建物の裏や山の向こうへ回りこむと、まっすぐの道がふさがれます。
- 低いところを飛ぶ:地面に近いほど、建物や木にさえぎられやすくなります。
- アンテナの向き:送信機のアンテナには、電波をやりとりしやすい向きがあります。説明書の図のとおりに向けると、つながりやすくなります。
- はね返り:金属の多い場所では、はね返った電波どうしが重なって、強くなったり弱くなったりします。
- じゃまな電波:近くで同じ周波数の電波が出ていると、聞き取りにくくなります。これを干渉といいます。
- 混雑:ドローンでよく使う2.4GHz帯(ギガヘルツたい)は、Wi-FiやBluetoothと同じ電波の「道」を分け合っています。人がたくさん集まる場所や街の中では、道がこみあいます。
ただし、「かべがあれば必ず切れる」わけでも、「周波数が高いほど必ず悪い」わけでもありません。物のふちで曲がった電波や、はね返った電波で届くこともあります。周波数ごとに得意なことと苦手なことがあり、電波の強さ、アンテナ、まわりの電波のようすなど、いくつもの条件が重なって、届き方が決まるのです。
カタログの距離は「いちばんよい条件」の数字
ドローンの説明書には、「最大伝送距離」という数字がのっています。ある小型ドローンの説明書には、さえぎる物も電波のじゃまもない条件で、最大6km(日本向けの基準)とあります。でも同じ説明書には、電波のじゃまが多い街の中では、届く距離がずっと短くなることも書かれています。さらに、この数字は電波をやりとりできるいちばん遠い距離であって、1回の飛行で飛べる距離ではない、ともことわっています。
もうひとつ大切なのは、電波が届く距離と、安全に飛ばせる範囲は別ということです。日本のルールでは、ドローンはふつう、操縦する人が自分の目で見える範囲で飛ばします。目で見えない所まで飛ばす目視外飛行は、許可・承認などの手続きと、安全のための準備が必要な飛ばし方です。電波が6km届くとしても、6km先の機体を目で見ることはできません。
映像は、少し遅れて届く
映像が画面に出るまでには、いくつもの小さな仕事があります。カメラが撮った景色は、そのままでは大きすぎるので、機体の中で小さくまとめます(圧縮)。それを電波で送り、送信機が受け取って、もとの映像にもどし、画面に表示します。一つひとつはとても短い時間でも、積み重なると遅れ(遅延)になります。
- 1 撮る → 2 小さくまとめる(圧縮)
- 3 送る → 4 受け取る
- 5 もとにもどす(復元)→ 6 画面に出す
メーカーの説明書や仕様表には、遅れの目安として0.13秒や0.2秒といった数字がのっています。ただし、「機体と送信機が近く、電波のじゃまがないとき」「まわりの環境や、使うスマートフォンによって変わる」といった条件つきです。電波が弱くなると、映像がカクカクしたり、止まったりすることもあります。
0.2秒は短く感じますが、秒速10mで飛んでいるドローンは、0.2秒で2m進みます。画面に映っているのは、ほんの少し前の景色です。だから、近くに物があるときはゆっくり飛ばします。遠くから点検するときも、ズームで細かい所を見ながら機体を少しずつ動かすので、遅れを見込んだ操作が欠かせません。
テレビの生中継みたいに、ちょっと遅れて見えてるんだ。
そのとおり。だからプロは、映像だけにたよらず、機体情報の数字や、自分の目でも確かめるんじゃ。
ドローンの説明書に「最大伝送距離6km」と書いてありました。正しい考え方はどれ?
- よい条件で測った通信の距離で、安全に飛ばせる範囲とは別のもの
- 日本なら、6km先まで飛ばしてよい
- どんな場所でも、6kmまでは必ず届く
答えを見る
答え:1。 さえぎる物も電波のじゃまもない条件で測った数字です。街の中では短くなりますし、日本ではふつう、目で見える範囲で飛ばします。
第5章 通信が切れたときに起こること
もし電波が切れちゃったら、ドローンは落ちちゃうの?
多くのドローンには、通信が切れたときにどう動くかを決めておくしくみがある。じゃが、動き方はひとつではない。なぜだと思う?
うーん……場所によって、戻ったほうがいいときと、戻らないほうがいいときがあるから?
いいところに気がついた。木や電線の多い場所、風の強い日、電池が少ないとき。ちょうどよい動き方は、そのときどきでちがうんじゃ。
動き方は、機種と設定で決まる
通信が切れたときのおもな動き方には、次のようなものがあります。
- その場で止まって待つ(ホバリング)
- その場に降りる(着陸)
- 飛び立った場所へ戻る(自動帰還。RTH=Return to Homeともいいます)
どれになるかは、機種、設定、飛行モードによってちがいます。ある小型ドローンの説明書では、送信機の信号が切れたときの動きを「戻る・着陸・ホバリング」から選べます。「戻る」を選んでいても、戻り始めるのは、ホームポイント(戻る場所)を記録できていて、GPSの電波がよく、コンパスが正常なときに、信号が切れてから11秒より長くたったとき、と書かれています。待つ時間は機種によってちがい、同じメーカーでも6秒としている機種があります。
映像だけが切れて、操縦はまだできる、ということもあります。この説明書では、そのときは「戻りますか」とたずねる表示が出る、としています。
「戻る」にも条件がある
自動で戻るためには、いくつもの条件がそろっている必要があります。
- 戻る場所:ホームポイントを、飛び立つ前に正しく記録できていること。
- 自分の位置:GNSSで位置がしっかりわかること。説明書には、GPSの電波が弱いと戻れないこと、戻るとちゅうで弱くなると、しばらくその場で待ってから降りることが書かれています。
- 電池:戻るのに十分な電池が残っていること。
- 風:向かい風が強いと、戻るのに時間も電池も多くかかります。
- 障害物:戻る道に、木や建物、電線がないこと。障害物を自動でよけられない機体もあり、そのときは戻るときの高さの設定が大切です。
だから、「通信が切れたら必ず自動で帰ってくる」わけではありません。飛ばす前に、設定と条件を人が確かめておくことが大切なのです。第3弾でも、自動で戻るしくみには条件があることを見ました。
- 待つ・降りる・戻るは、順番ではなく設定の例
- 戻る設定でも、必ず戻れるわけではありません
ドローンの操縦の電波が切れたら、どうなる?
- どのドローンも、必ず自動で帰ってくる
- どのドローンも、すぐに落ちる
- 機種や設定、そのときの条件で動きがちがうので、飛ばす前に確かめておく
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答え:3。 その場で待つ、降りる、戻るなど、動きは機種と設定で決まります。戻る設定でも、ホームポイントの記録、GNSS、電池、風、障害物などの条件がそろわないと戻れません。
第6章 携帯電話の回線と、リモートID
送信機と直接話す方法、携帯電話の回線を通る方法
ここまでの通信は、送信機とドローンが直接電波でやりとりする方法でした。もうひとつ、スマートフォンと同じ携帯電話の回線(LTE・5Gなど)を通ってやりとりする方法もあります。ドローンの電波は近くの基地局へ届き、そこからネットワークを通って、遠くの事務所のパソコンなどへつながります(図2の3段目)。送信機の電波が届かない遠くの場所とも、回線を通じてつながれるのが強みです。
でも、携帯電話の回線があれば、どこまでも飛ばせるわけではありません。
- 携帯電話の回線は、もともと地上で使うためにつくられています。空の上で使うと通信が安定しないことがあり、地上の携帯電話にえいきょうするおそれもあります。だから上空で使うには、携帯電話会社への手続き(上空用のプランなど)が必要です。ふだんのスマートフォンやSIMカードを、そのままドローンにのせて使ってはいけません。
- 山おくや海の上など、電波の届かない圏外の場所があります。
- 基地局やネットワークを通るぶん、遅れが出ることがあります。
- 目で見えない所を飛ばすには、通信とは別に、航空法の手続きと、機体・人・手順の準備がいります。
回線は「道」じゃ。道があっても、交通ルールと、もしものときの準備がなければ、遠くまで行ってはならん。
リモートIDは「わたしはだれ?」を知らせる名札の電波
日本では2022年6月から、100グラム以上のドローンは国に登録することになりました。登録したドローンは、リモートIDという電波を出しながら飛ぶのが原則です。ルールが今の形になるまでの歴史は、第2弾で紹介しています。
リモートIDは、登録記号(国が決めた登録番号)や製造番号、位置・速さ・時刻などを、1秒に1回以上、BluetoothやWi-Fiの電波でまわりへ発信します。受信機で受け取ると、どの登録のドローンが飛んでいるのかがわかります。持ち主の名前や住所などの個人情報は入っていません。また、飛んでいるあいだ、操縦する人がリモートIDの発信を止められないしくみになっています。
リモートIDは名札のようなものなので、次のことはしません。
- ドローンを操縦する(操縦の通信とは別のしくみです)
- 位置を求める(GNSSなどで求めた位置を、知らせているだけです)
- ほかの機体とぶつからないように、よけてくれる
- どこまでも追いかける(電波が届くのは、機体のまわりだけです)
なお、制度が始まる前の期間に登録を申しこんだ機体、届け出た区域の中で安全の対策をとって飛ばす場合、30m以内のじょうぶなひもでつないで飛ばす場合などは、リモートIDがなくてもよいとされています。
リモートIDについて、正しいのはどれ?
- リモートIDの電波で、ドローンを操縦している
- 機体の登録記号などを、まわりへ知らせる名札の役目をする
- ほかの機体とぶつからないように、自動でよけてくれる
答えを見る
答え:2。 リモートIDは、登録記号や位置などを発信する名札のようなしくみです。操縦や、衝突をよける仕事はしません。
親子で挑戦|3本の情報の道ゲーム
指示・映像・機体情報の往復ゲーム。紙とペンだけでできます。
本物のドローンは飛ばしません。スマートフォンやWi-Fiも使いません。色のカードを手渡しして、情報がどちら向きに進むのかを体で感じる遊びです。
このゲームは、通信のしくみを考えるためのモデル(たとえ)です。本物の電波の伝わり方や、本物のドローンの動きをそのまま再現するものではありません。
用意するもの
- 印刷したカードとワークシート(A4・2枚)、またはメモ用紙
- 青・オレンジ・緑の色ペン、えんぴつ
- はさみ(カードを切るときは大人といっしょに)
- コマにするもの(消しゴム、おはじきなど)
- 3人以上(2人のときは、中継役の代わりに机のまん中に置いた箱を使います)
コース図
紙に5×5のマス目をかき、スタート(ホームポイント)、ゴール(点検する橋)、木、ビル、池を3〜4か所に入れます。コース図を見てよいのは、ドローン役だけ。ひなた役は、届いたカードだけをたよりに操縦します。
カード
- 青カード操縦の指示。ひなた役が書きます。「前へ1マス」「右へ1マス」「左へ1マス」「後ろへ1マス」「止まる」「カメラを下へ」
- オレンジカード映像。ドローン役が、コマのまわりに見えるものを書きます。例:「前に木」「右にビル」
- 緑カード機体情報。ドローン役が、位置と電池の残りを書きます。例:「位置 3の2 電池 80%」。電池は1ターンごとに5へります(待っているあいだもへります)。
- 事件カード6枚。裏返して山にしておきます。障害物カード2枚「ビルのかげ:このターン、オレンジカードは届かない」、遅延カード2枚「映像の遅れ:オレンジカードは次のターンに届く」、通信断カード1枚「通信が切れた:2ターンのあいだ、どのカードも届かない」、通信良好カード1枚「何も起きない」。
- 安全手順カードゲームの前に全員で書きます。通信が切れたとき、ドローン役がすることを1つ選びます。「その場で待つ」「スタートへ1ターンに1マスずつ戻る(戻る道に障害物がないときだけ)」「その場に降りる」
やり方
- 役を決める。 ひなた役(操縦する人)、ドローン役(コマを動かす)、中継役(電波の役。カードを運ぶ)。
- 安全手順カードを書く。 通信が切れたらどうするかを、飛ぶ前に決めておきます。
- コマをスタートに置く。 電池は100%から始めます。
- 1ターンの流れ
- 中継役が、事件カードを1枚引いて読み上げる
- ひなた役が、青カードに指示を書いて中継役へわたす
- 中継役が、青カードをドローン役へ運ぶ(行き)
- ドローン役がコマを動かし、オレンジと緑のカードを書いて中継役へわたす
- 中継役が、オレンジと緑をひなた役へ運ぶ(帰り)
- 通信断カードが出たら、ドローン役は自分で考えて動かず、安全手順カードのとおりに動きます。ひなた役は、カードが届かないあいだ、何が起きていそうかをメモします。
- ゴールに着いたら「カメラを下へ」で点検し、スタートへ戻ります。電池が0になる前に戻れたら成功です。
ルールのポイント:青は「行き」だけ、オレンジと緑は「帰り」だけ。中継役は、カードを読まずに運びます。
表は横にスクロールできます →
| ターン | 出した青カード | 届いたオレンジ | 届いた緑 | 事件カード | 気づいたこと |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | |||||
| 2 | |||||
| 3 | |||||
| 4 |
ワークシート|印刷して書きこめます。足りなければ裏に続けてください。
ふりかえり
- どの色のカードが届かないと、いちばん困った?
- 遅れて届いた映像で操縦したら、どうなった?
- 通信が切れたとき、先に決めておいた安全手順は役に立った?
ふりかえりの一例を見る
正解はひとつではありません。気づいたことを言葉にできれば十分です。
- オレンジが届かないとき:前に何があるかわからず、「止まる」を出したくなります。でも緑カードで位置がわかれば、コース図を頭の中で思い出して、少しずつ進めます。本物の操縦でも、映像と機体情報の両方を見ることが大切です。
- オレンジが遅れたとき:届いた「前に木」は、ひとつ前のマスの景色です。そのつもりで「前へ」を出すと、木にぶつかりそうになります。遅れがあるときは、ゆっくり、小さく動かすのが安全です。
- 通信が切れたとき:ひなた役は何もできません。ドローン役がその場で考えて動くと、ひなた役は機体がどこにいるのか、ますますわからなくなります。先に決めた手順どおりに動けば、ひなた役も「いまは待っているはず」と予想できます。だから本物のドローンでも、通信が切れたときの動きは、飛ばす前に決めて確かめておくのです。
- 青:ひなた役 → 中継役 → ドローン役
- オレンジ・緑:ドローン役 → 中継役 → ひなた役
通信断カードが出たとき、ドローン役が勝手に動いたら、どこにいるのか全然わからなくなっちゃった!
それが大事な発見じゃ。本物の現場でも、もしものときの動きは、飛ばす前に決めて確かめておく。だから、離れていても「いまはこうしているはずだ」と考えられるんじゃよ。
今日わかったこと
- ドローンと操縦する人のあいだでは、情報が両方向に流れている。
- 操縦の指示は機体へ(上り)。映像と、位置・高さ・電池などの機体情報(テレメトリー)は、操縦する人へ(下り)。
- 3つの情報をどう運ぶかは、機種によってちがう。
- GNSSの衛星の電波は、位置を求める手がかり。操縦の指示や映像は運ばない。
- 電波は、距離、物のかげ、高さ、アンテナの向き、はね返り、じゃまな電波、混雑で届きにくくなる。でも、かべがあれば必ず切れるわけではない。
- 映像は少し遅れて届く。カタログの距離や遅れの数字は、条件つき。通信できる距離と、安全に飛ばせる範囲は同じではない。
- 通信が切れたときの動きは、機種・設定・飛行モードと、そのときの条件で変わる。必ず帰ってくるわけではない。
- 携帯電話の回線があるだけでは、遠くまで飛ばせない。リモートIDは名札の電波で、操縦や衝突よけはしない。
映像が空から届くのは、ドローンがずっと話しかけてくれているからなんだね。
うむ。そして、話が聞こえなくなったときにどうするかを、人が先に決めておく。それが、目に見えない電波と上手につきあうコツじゃ。
このブログをつくった会社について
SkyLink Japanは、測量・点検・農業・防災などの現場で使うドローンやロボットを、必要とする人へ届ける仕事をしています。このシリーズでは、技術が人の暮らしとどうつながるのかを、親子で考えるきっかけをお届けします。
お仕事でドローンの通信を考えている大人の方へ
2.4GHz帯・LTE/5G・衛星通信の使い分けと、日本での安全運航を支える通信の考え方はドローン通信は2.4GHzからLTE・5Gへ、そして衛星へ、上空から通信をつなぐ新しい動きはHAPSはドローン通信をどう変える?で紹介しています。
※このブログは教育目的のコンテンツです。特定の製品の購入をおすすめするものではありません。
出典・参考資料
周波数・通信距離・遅延などの数字を調べ直すときは、「どの国の基準か」「どの条件での数字か」にも注目してください。すべて2026年10月4日に確認しています。
電波のきほん
- 総務省「たのしい電波教室 1時間目」(電波の速さ、金属での反射、地面での反射・山での回折)
- 総務省「たのしい電波教室 4時間目」(周波数と波長、不法電波が警察・消防・救急の無線をじゃますること)
- 総務省 電波利用ポータル「周波数帯ごとの主な用途と電波の特徴」(UHF・SHFの直進性と回り込み)
- 総務省「電波学習ポータル」(子ども・学校向けの学習資料)
- 総務省 電波利用ポータル「不法無線局対策」(電波の不法な利用と妨害への対策)
ドローンの電波と制度
- 総務省 電波利用ポータル「ドローン等に用いられる無線設備について」(主な無線システム、免許・資格の要否、無人移動体画像伝送システム、アマチュア無線、5.8GHz帯のDSRC)
- 総務省 電波利用ポータル「無人航空機等における携帯電話等の端末の利用」(上空利用の経緯・技術的条件・手続き、航空法の手続きは別途必要)
- 電波産業会「標準規格概要(STD-T66)」(2.4GHz帯小電力データ通信システム、無線LANのチャネル1・6・11の推奨)
飛行ルール・リモートID
- 国土交通省「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」(特定飛行と許可・承認)
- 国土交通省「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)」令和8年9月29日最終改正(PDF)(目視外飛行の機体基準、危機回避機能の例)
- 国土交通省「無人航空機登録ポータルサイト」(100g以上の機体の登録、リモートID)
- 国土交通省「無人航空機の登録制度」(リモートID特定区域の届出、事前登録による搭載免除)
- 国土交通省「リモートID機器等及びアプリケーションが備えるべき要件」(PDF)(発信情報、通信方式、発信周期、受信距離の目安、飛行中に停止できないこと)
メーカーの説明書・仕様の例
- DJI「DJI Mini 4K User Manual v1.0」(PDF)(最大伝送距離と試験条件、遅延、通信断時の動作選択、RTHの条件、アンテナの向き)
- DJI「Matrice 4 Series Specs」(国・地域別の最大伝送距離、干渉下の参考値、遅延の測定条件)
- DJI Help Center「Drone RTH Logic」(機種による通信断判定時間のちがい、動作の選択)
- PX4 User Guide「Safety (Failsafe) Configuration」(送信機の喪失と地上局とのデータリンク喪失を別々のフェールセーフとして設定)
シリーズ既刊
BLOG REQUEST
次に読みたいブログを教えてください
「こんなドローン情報を知りたい」「この機種を比較してほしい」など、今後のブログへのご要望をお寄せください。
