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災害対策本部のテント前でドローンを飛行させる消防・自治体の職員。見出し「防災・災害対応ドローンの導入」

防災・災害対応ドローンの導入|緊⁠急⁠防⁠災⁠・⁠減⁠災⁠事⁠業⁠債の活用と機体・運用体制

本記事について
本記事は2026年7月31日時点で公表されている情報をもとに構成しています。令和8年熊本地震に関する被害状況・支援活動の記述は執筆時点のものであり、最新の状況は各官公庁の発表をご確認ください。また、緊急防災・減災事業債の対象要件は年度ごとに更新されるため、実際の申請にあたっては最新の運用要綱・通知を必ずご確認ください。

災害の初動で問われるのは、「どれだけ早く、正確に、現場の状況をつかめるか」です。

2026年7月28日に発生した令和8年熊本地震(最大震度7・マグニチュード7.1)では、倒壊した建物や人が立ち入れない施設内部の捜索に、複数の国産ドローンが実際に投入されました。地震、豪雨、土砂災害。自然災害が頻発化・激甚化する日本において、ドローンはもはや「あれば便利な機材」ではなく、防災・減災の現場に欠かせない装備になりつつあります。

上空から広範囲を短時間で把握でき、人が近づけない危険な現場でも活動できる。この特性が評価され、消防本部や自治体の防災部局を中心に、災害対応ドローンの導入が急速に進んでいます。

本記事では、次の4点を解説します。

  • 防災ドローンが災害対応のどの場面で力を発揮するのか
  • 導入費用に活用できる「緊急防災・減災事業債」の仕組み
  • 実際に運用するための機体選定と体制構築のポイント
  • 次の地震に備えて、自治体が平時にやっておくべきこと

災害対応の現場でドローンが求められる理由

災害対応におけるドローンの役割は、大きく4つに整理できます。

被害状況を迅速に把握する

地震や水害の直後は、道路の寸断や土砂崩れによって現場に近づけないケースが少なくありません。

ドローンであれば、上空から被災地の状況を短時間で撮影・把握できます。災害対策本部への情報伝達はもちろん、その後の人員配置や応急対策を判断する材料としても活用できます。

人が立ち入れない危険区域で活動する

土砂災害の危険がある斜面、浸水が続く区域、火災現場の周辺。二次災害のリスクが高い場所では、人による調査そのものが困難です。

ドローンを使えば、隊員を危険にさらすことなく、現場の映像や熱源情報を取得できます。令和8年熊本地震でも、余震が続くなかで倒壊のおそれがある大型商業施設の内部確認に、小型ドローンが投入されました。

捜索・救助活動を支援する

要救助者の捜索においても、ドローンは大きな力を発揮します。

サーマルカメラ(熱源探知カメラ)を搭載した機体であれば、夜間や視界不良時でも体温を手がかりに要救助者を発見できる可能性が高まります。近年は、水中ドローンによる水難者の捜索、物資輸送用ドローンによる孤立集落への物資輸送といった活用も広がっています。

通信・情報インフラを補完する

大規模災害では、通信インフラそのものが被災することがあります。

ドローンを通信中継の拠点として活用したり、衛星通信と組み合わせて被災地の映像をリアルタイムで災害対策本部へ伝送したりする取り組みも進んでいます。

「見る」「探す」「運ぶ」「つなぐ」。この4つの役割を一台で担えることが、防災ドローン最大の強みです。

災害対応ドローンの4つの役割
災害対応ドローンの4つの役割 ―「見る」「探す」「運ぶ」「つなぐ」

消防・自治体における導入ニーズは、年々高まっています。

災害対応ワークフロー
災害対応ワークフロー ― 現場の情報取得から意思決定、救助活動までの流れ

導入費用に活用できる「緊急防災・減災事業債」

災害対応ドローンの導入費用には、多くの自治体が「緊急防災・減災事業債」を活用しています。

必要となるのは、機体本体だけではありません。サーマルカメラなどのオプション機材、予備バッテリー、操縦者の育成、保守体制の整備まで含めると、まとまった費用が必要になります。

緊急防災・減災事業債とは

緊急防災・減災事業債は、大規模災害時の防災・減災対策に必要な施設・設備の整備を対象とした、総務省が定める地方債です。

地方公共団体にとって有利な財政措置が講じられている点が特徴で、一般的に以下の措置率が適用されます。

緊急防災・減災事業債の仕組み
緊急防災・減災事業債の仕組みと財政措置(充当率100%・交付税措置70%)
項目措置率
充当率100%
交付税算入率70%(元利償還金の70%が普通交付税の基準財政需要額に算入)

実質的な自治体負担を抑えながら、必要な防災装備を計画的に整備できる仕組みです。

令和8年度の地方財政対策においても、緊急防災・減災事業費は対象事業の拡充とあわせて延長されました。消防・防災分野における継続的な財源として位置づけられています。

災害対応ドローンは対象事業に含まれる

総務省の「令和8年度地方債同意等基準運用要綱」では、緊急防災・減災事業の対象事業として、次のドローンが明記されています。

  • 消防本部・防災部局が整備する災害対応ドローン(水中ドローン、物資輸送用ドローンを含む)
  • 消防団の機能強化の一環として整備するドローン(車両・資機材の機能強化の一環)

つまり、消防本部・防災部局が導入する場合も、消防団向けに整備する場合も、いずれも対象となり得るということです。

導入を検討する際は、地域防災計画との整合性を図りながら、所管の都道府県・消防庁を通じて対象要件や手続きを確認することが重要です。

※対象事業の詳細な要件は年度ごとに更新されます。実際の申請にあたっては、最新の運用要綱・通知を必ずご確認ください。

計画的な財源活用
計画的な財源活用で、災害に強い地域づくりを実現する

防災・災害対応ドローン、機体選定5つのポイント

選定基準は「平時に飛ぶか」ではなく、「悪条件下で飛ぶか」です。

災害はいつ起きるか分かりません。雨天、強風、夜間といった厳しい条件下でも運用できるかどうかを軸に検討する必要があります。

1. 耐候性・堅牢性

雨天や強風下での飛行が想定されるため、防塵防水性能(IP等級)と耐風性能は最重要の選定基準です。豪雨や強風のなかでも安定して飛行できる機体かどうかを確認しましょう。

2. 搭載カメラ・センサー

センサー主な用途
可視光カメラ高解像度で被害状況を詳細に記録
サーマルカメラ(熱源探知)夜間・煙・霧のなかでの要救助者捜索、火災の延焼状況の把握
ズーム機能安全な距離を保ちながら詳細を確認

用途に応じて、可視光と熱源の両方を切り替えられるデュアルセンサー機の検討も有効です。

3. 飛行時間・通信距離

被災地は広範囲に及ぶことが多く、拠点から離れた場所での運用も想定されます。

飛行時間の長さ、送受信距離、そして電波状況が悪い環境での通信の安定性。これらは現場での実用性を大きく左右します。

4. 可搬性・展開スピード

発災直後は一刻を争います。運搬しやすいケース、短時間で組み立てて離陸できる設計など、初動対応のスピードに直結する要素も確認しておきたいポイントです。

5. 自動飛行・データ連携機能

あらかじめ設定したルートを自動飛行し、取得したデータを迅速に共有できる機能があれば、限られた人員でも効率的に情報収集ができます。

GIS(地理情報システム)や災害対策本部の情報共有システムとの連携性もあわせて確認しておくとよいでしょう。

運用体制の構築|「機体を持つ」だけで終わらせないために

ドローンは、導入して終わりではありません。いざという時に確実に運用できる体制づくりが不可欠です。

自治体導入ロードマップ
自治体導入ロードマップ ― 予算計画から定期的な訓練・演習までの7ステップ

操縦者の育成と資格

商用利用や有人地帯での目視外飛行(レベル4飛行)を行う場合、国家資格である無人航空機操縦士(一等・二等)の取得が必要になるケースがあります。

消防団員・職員向けの操縦訓練に加え、定期的な技能維持訓練を計画的に実施することが重要です。

平時からの訓練とマニュアル整備

災害時にいきなり運用しようとしても、うまくいきません。平時からの積み重ねが、実際の災害対応の質を左右します。

  • 実際の飛行を想定した定期訓練(悪天候・夜間を含む)
  • 他部署・他機関(警察、自衛隊、DMAT等)との連携訓練
  • 機体トラブル発生時の対応手順の整備
  • バッテリー・予備部品の管理体制

飛行に関する法規制への対応

災害対応時であっても、航空法をはじめとする関連法規は原則として遵守する必要があります。

特に注意したいのが、有人機との空域競合です。救急搬送や消火活動を行う緊急用務航空機(消防・防災ヘリ、ドクターヘリなど)が飛行する空域では、ドローンとの接触リスクを避けるための調整が欠かせません。

人口集中地区(DID地区)上空の飛行、夜間飛行、目視外飛行を行う場合の許可・承認手続きについても、平時のうちに確認・準備しておくことが求められます。

他機関との連携体制

大規模災害では、消防・警察・自衛隊・自治体・DMAT・ボランティア団体など、複数の機関が同時に活動します。

  • ドローンで取得した映像・データを、どの機関と、どのように共有するのか
  • 指揮命令系統をどう整理するのか

これらを平時のうちに合意形成しておくことが、現場での混乱を防ぐポイントになります。

今、令和8年熊本地震に対してできること

2026年7月28日16時27分、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1、最大震度7の地震が発生しました。

八代市、氷川町、宇城市などで建物の倒壊が相次ぎ、多数の避難者が発生。断水や交通網の寸断も広範囲に及んでいます。気象庁は、当面のあいだ同規模の地震への注意を呼びかけています。被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

この状況のなかで、ドローンに関わる私たちに何ができるのか。整理しておきたいと思います。

災害対応72時間タイムライン
災害対応 72時間タイムライン ― 発災直後から復旧計画までのドローン活用

すでに現地でドローンによる捜索支援が始まっている

今回の地震では、発災の翌日から、要請にもとづくドローンの災害支援活動が始まっています。

一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の協力要請を受け、株式会社Liberawareは7月29日から、倒壊した大型商業施設の内部で状況把握と要救助者の捜索を実施。屋内点検用の小型ドローンを複数機投入し、人が立ち入れない空間の確認にあたっています。同社は能登半島地震などの経験から「発災から72時間」を意識し、24時間以内の現地到着を実現したと説明しています。

Terra Drone株式会社も同じくJUIDAの要請を受け、屋内点検用ドローン「Terra Xross 1」を用いて、倒壊建物内部の状況把握と捜索支援を行っています。

注目すべきは、いずれの活動も「要請にもとづく出動」であるという点です。

捜索・救助の特例が、迅速に機能している

発災の翌日から現地の活動が立ち上がった背景には、法制度の後押しがあります。

航空法第132条の92は、「捜索、救助等のための特例」を定めています。国や地方公共団体、またはこれらの依頼を受けた者が、事故や災害に際して捜索・救助等の目的で無人航空機を飛行させる場合、飛行禁止空域や飛行の方法に関する規定は適用されません。飛行許可を申請する手段も余裕もない緊急時に、必要な飛行を止めないための仕組みです。

この特例の対象範囲は、これまでの災害対応の積み重ねを踏まえて広がってきました。現在は、孤立した地域への生活必需品の輸送や、二次災害のおそれがある危険箇所の調査なども対象として整理されています。有人機の側でも、捜索・救助にあたる警察・消防・自衛隊のヘリコプターに最低安全高度の特例(航空法第81条の2)が適用され、低空での活動が可能になっています。

制度が迅速に運用され、現場のドローンが速やかに飛べる状態がつくられていること。これは、これまでの災害でドローンが果たしてきた役割が一定の評価を受け、早期の復旧・復興のためにドローンをより積極的に活用していこうという国の意思の表れだと受け止めています。ドローン業界に身を置く一員として、その判断に敬意と感謝を申し上げます。そしてこの環境のもとで、要請を受けた事業者が安全に、迅速に現場の作業を進めていることは、率直に素晴らしいことだと考えます。

ただし、この特例が適用されるのは、あくまで「国・地方公共団体、またはその依頼を受けた者」です。要請を受けていない事業者が、特例を根拠に被災地の上空を飛行させることはできません。

大前提:善意だけで被災地に入らない

ドローンを扱う事業者・操縦者にとって、今もっとも重要な原則がこれです。災害対応の訓練や体制を持たないまま、自らの判断で被災地に入ることは、次のようなリスクを生みます。

  • 二次災害のリスク:余震、建物の倒壊、ガス漏れ、熱中症。支援に行ったはずが、支援される側に回ってしまう
  • 有人機との空域競合:消防・自衛隊・ドクターヘリが捜索救助を展開する空域で、無許可のドローンは救助活動そのものを妨げる要因になる
  • 操縦技能と災害対応能力は別物:一等無人航空機操縦士であっても、指揮系統や応急手当の理解がなければ、災害現場では対応力を欠く
勝手に飛ばさない
「勝手に飛ばさない」― 災害時にやってはいけない行為と、正しいドローン運用

業界内でも、「飛ばせるけれど、飛ばさない。現地へ行けるけれど、今は行かない」という判断こそが問われる、という指摘が出ています。ドローンによる災害支援は、行政・消防からの正式な要請、そして事前に構築された運用体制があって初めて成立します。

立場ごとに、今できること

すでにドローンを保有している自治体・消防の方へ

  • 指揮系統のなかでの運用ルールを再確認する(誰の指示で、どの空域を、誰が飛ばすのか)
  • バッテリー・予備部品の在庫と充電状態を点検する
  • 緊急用務空域の指定状況を確認する手順を、担当者全員で共有する

ドローン事業者・操縦者の方へ

  • 自治体・消防・JUIDA等の枠組みを通じた正式な要請ルートを確認する
  • 要請があった際に即応できるよう、機材と人員を整えて待機する
  • 現時点での最大の貢献は、「勝手に飛ばさないこと」である場合も多い

すべての方へ

  • 義援金・支援金は、被災地の負担にならない支援方法のひとつです。熊本県および日本赤十字社等が受付窓口を開設しています

次の地震に備えて|全国の自治体が平時にやっておくべきこと

熊本で発災直後に動けたのは、平時から備えていた組織だけでした。

地震はどの地域でも起こり得ます。そして災害対応ドローンは、「持っていること」と「飛ばせること」がまったく別物の装備です。ここでは、すでに機体を保有している自治体・消防、そしてこれから導入する自治体が、平時にやっておくべきことを整理します。

平時にやるべき5つの準備
平時にやるべき5つの準備 ― バッテリー管理から相互応援協定・GIS準備まで

「持っているだけ」の機体が、いざという時に飛ばない3つの理由

  • バッテリーが使えない:長期間放置されたリチウムポリマーバッテリーは、過放電や膨張で使用不能になっていることがある
  • 操縦できる職員がいない:導入時に研修を受けた職員が異動し、実質的に誰も飛ばせない状態になっている
  • 手続きが分からない:許可・承認の有効期限が切れていた、緊急用務空域の確認方法を知る職員が不在だった

いずれも、発災してから気づいても手遅れです。以下の5つを、日常業務のなかに組み込んでおくことが重要になります。

① 機体・資機材のメンテナンスを「常態化」する

点検を「思い出したときにやるもの」から「決まった日にやるもの」へ変えることが第一歩です。担当者と実施日をあらかじめ決め、記録として残します。

サイクル主な確認項目
飛行前(毎回)プロペラの傷・変形、機体の緩み、バッテリー残量と膨らみ、キャリブレーション、送信機の動作
毎月全バッテリーの充放電と電圧確認、モーターの異音・回転抵抗、カメラ・ジンバルの動作、SDカードとケーブル類
四半期ごとファームウェア更新、実際に飛ばしての動作確認、ケース・予備部品の在庫棚卸し、飛行記録の整理
年1回メーカー・販売店による定期点検、モーター/プロペラなど消耗部品の交換検討、保守契約の更新

特に注意したいのがバッテリーです。リチウムポリマーバッテリーは、満充電のまま、あるいは空のままの長期保管で急速に劣化します。保管時は各メーカーが指定する保管電圧まで放電させ、定期的に充放電サイクルを回す運用にしてください。膨らみや変形が見られるものは、ためらわず使用を中止します。

ファームウェア更新は、平時に済ませておく。発災直後に更新を求められて離陸できなかった、という事例は珍しくありません。更新作業には通信環境と時間が必要です。「災害時にやること」ではなく「平時にやっておくこと」と位置づけましょう。

SkyLink Maintenance Program

ドローンの定期点検サービス

SkyLinkでは、機体の安全性と稼働率を保つための定期点検サービスをご用意しています。専門スタッフが機体の状態を点検し、劣化や不具合を早期に発見・対応することで、安心して長く運用いただけます。

② 飛行訓練を「年数回のイベント」で終わらせない

操縦技能は、使わなければ確実に落ちます。年1〜2回の総合防災訓練だけでは、災害現場で通用する練度は維持できません。月1回以上、短時間でも継続的に飛ばすことを目標に、訓練を業務スケジュールへ組み込んでください。

そして、訓練メニューを「晴れた日の広場で飛ばす」だけに偏らせないことが重要です。

訓練メニュー狙い
基本操作・自動帰還(RTH)操作感を維持し、異常時の初動を体に覚えさせる
夜間飛行発災が夜間である可能性は五分五分。灯火だけを頼りにした機体把握に慣れる
悪天候下の飛行風・雨のなかでの機体挙動と、中止を判断する基準を体感する
GPS非測位・通信途絶を想定した操作ビル影や山間部で起きる状況。マニュアル操作での帰投を訓練する
サーマル映像の判読見慣れていないと、熱源が人か動物か瓦礫の残熱か判断できない
倒壊建物・狭所を想定した飛行熊本で実際に必要とされた技能。屋内・狭小空間での機体感覚を養う
チーム運用(複数名体制)操縦者・安全管理・記録・通信の役割分担を訓練する

見落とされがちなのが、最後の「チーム運用」です。災害現場で操縦者ひとりに操縦・安全確認・記録・関係機関との連絡をすべて背負わせると、判断が確実に鈍ります。操縦者に判断を集中させない体制を、平時の訓練から習慣づけてください。

また、職員の異動を前提に、操縦できる人材を常に複数名確保しておくことも欠かせません。ひとりに依存した体制は、その職員が異動した瞬間に崩れます。

③ 手続きと空域確認の手順を「紙」にしておく

災害時に慌てて調べることのないよう、次の項目は担当者以外でも分かる形で文書化しておきます。

  • 機体登録・許可承認の有効期限(包括申請は最長1年、機体登録は3年ごとの更新。管理表をつくり、期限切れを防ぐ)
  • 緊急用務空域の確認手順:発災時、国土交通省が捜索救助のために指定する空域。ここでは原則としてドローンを飛行させられません。誰が、どこを見て確認するのかを明記する
  • 飛行計画の通報と飛行日誌の記録方法
  • 飛行中止の判断基準(風速、視程、降雨、有人機の接近時の対応)

④ 撮った映像の「流し先」を決めておく

ドローンの価値は、映像を撮ることではなく、その映像が意思決定に使われることにあります。

  • 撮影データを、誰が、どの形式で、どこへ送るのか
  • 災害対策本部でリアルタイムに映像を見る手段はあるか
  • 位置情報を地図(GIS)上でどう扱うか
  • 通信が途絶した場合、データをどう持ち帰るか

この流れを一度でも訓練で通しておくと、実災害での立ち上がりがまったく変わります。

⑤ 外部との協定・要請ルートを結んでおく

自前の体制だけで大規模災害に対応するのは現実的ではありません。平時のうちに、外部の力を借りる道筋をつくっておきます。

  • ドローン事業者・測量会社との災害時協定(対応範囲、費用、連絡先、到着目安を明記)
  • 近隣自治体・消防本部との相互応援の取り決め
  • 業界団体(JUIDA等)を通じた支援要請の窓口確認
  • 協定先を交えた合同訓練の実施(協定は「結ぶこと」ではなく「動かせること」が目的

まず今日できること
保有機体のバッテリー状態を確認する。許可・承認の有効期限を調べる。操縦できる職員が今何名いるか数える。この3つだけでも、自地域の備えの現在地が見えてきます。

まとめ

災害対応ドローンは、被害状況の把握、危険区域での調査、捜索・救助支援、通信インフラの補完など、防災・減災のあらゆる局面で力を発揮する装備です。本記事の要点を整理します。

  • 役割:ドローンは「見る」「探す」「運ぶ」「つなぐ」を担い、初動対応のスピードと精度を大きく向上させる
  • 財源:導入費用には「緊急防災・減災事業債」が活用できる。災害対応ドローン(水中ドローン・物資輸送用ドローンを含む)や消防団向けドローンも対象事業に含まれる
  • 機体選定:耐候性、搭載センサー、飛行時間、可搬性、自動飛行機能を総合的に検討する
  • 運用体制:操縦者の育成、平時からの訓練、法規制への対応、他機関との連携まで含めて整備することが、実際の災害時に機能する体制づくりの鍵となる
  • 平時の備え:メンテナンスと飛行訓練の常態化、手続きの文書化、映像の共有先の確定、外部との協定。この5点が「持っているだけ」の機体を「使える装備」に変える
  • 今できること:発災直後の被災地に自己判断で入らないこと。支援は正式な要請と事前の体制構築があって初めて成立する

令和8年熊本地震の現場が示したのは、平時から備えていた組織だけが、発災直後に動けたという事実です。

防災ドローンの導入は、機体選定から財源の活用、運用体制の構築、そして継続的な保守・訓練まで、検討すべき要素が多岐にわたります。自地域の災害特性や体制に合った機体・運用方法を見極めるためにも、専門知識を持つ事業者への相談を、早い段階で行うことをおすすめします。

出典・参考

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