上空のUAVを確認する測量担当者

UAV写真測量からLiDARへ。井前建設の測量事例

井前建設株式会社 社屋
写真①:井前建設株式会社(奈良県桜井市)。

導入事例サマリー

企業名井前建設株式会社(奈良県桜井市)
創業昭和40年
事業内容工事事業、測量事業(測量・地質調査)
測量事業の体制業務部 測量課(公共測量係・空間情報計測係)5名
測量士・測量士補・二等無人航空機操縦士が在籍
UAV導入時期2016〜2017年(UAV写真測量)
UAV LiDAR導入時期2023年
導入製品3DT Scanfly ULTRA X + DJI Matrice 300 RTK
追加導入(2025年)DJI Matrice 4E + “精度ばちばち君”(KLAU PPK-J Desktop for DJI RTK)
主な用途数値地形図作成/災害現場の変状把握(崩壊箇所上部の亀裂等)/砂防堰堤工事の計画(進入路計画を含む)
活用領域公共測量・工事測量・民間測量
LiDAR選定時に評価した点あらゆるドローンに搭載できること/軽量/消費電力が低いこと/毎秒192万点以上の点群取得
UAVレーザーで計測が
必要だった現場
公園予定地の計測

奈良県桜井市の井前建設株式会社は、工事事業と測量事業を手がけています。業務部 測量課の5名が、公共測量・工事測量・民間測量にあたっています。

2016〜2017年にUAV写真測量を始め、2023年に3DT Scanfly ULTRA XとDJI Matrice 300 RTKを導入しました。現在も現場ごとに飛行高度やルートを変えて検証し、環境や条件に合わせたデータ取得方法の確立を続けています。

以前からUAV写真測量に取り組んできた背景

井前建設の測量チーム5名がMatrice 300 RTKと3DT Scanfly ULTRA Xを囲む現場写真
写真②:測量課の5名。担当を固定せず、全員で現地作業にあたる。

井前建設は昭和40年創業の建設会社で、測量事業は17年目になります。現在の測量課は5名。測量士・測量士補に加え、二等無人航空機操縦士の資格者が在籍しています。

ドローンを導入したのは2016〜2017年です。PHANTOM 4 PROと、Matrice 600にソニーα6500を搭載した構成でUAV写真測量を始めました。

測量課の担当者は、以前は測量設計会社で公共測量に携わり、平板測量やTSを使った現地測量をおこなっていました。

UAVを活用することには、当初少し抵抗がありました。— 井前建設株式会社 業務部 測量課

現在、同社はUAVの利点として次の点を挙げています。

  • 広域な範囲を短期間で計測できる
  • 真上から対象現場が見える
  • 点群にしてしまえば、あらゆる方向で断面が作成できる
  • 土地に立ち入らずに計測できる
  • 立ち入りが困難な箇所も計測できる
庁舎上空を飛行するMatrice 300 RTKとLiDARセンサー
写真③:上空から対象現場全体を捉える。UAV測量の基本的な利点。

なぜ写真測量だけではなく、LiDARだったのか

写真測量では、植生に覆われて上空から見えない地表面の取得が難しくなります。UAVレーザーについて、同社は次のように説明しています。

UAVレーザーは樹木の間を通過すれば、地表面の点群が計測できます。— 井前建設株式会社 業務部 測量課

同社は展示会などで早くからUAVレーザーの情報を集め、2023年に3DT Scanfly ULTRA Xを導入しました。選定時には、次の点を評価しています。

  • 軽量であること
  • 消費電力が低いこと
  • 毎秒192万点以上の点群が取得できること

導入した機材構成

3DT Scanfly ULTRA Xの製品ケース
写真④:3DT Scanfly ULTRA X。
Matrice 300 RTKに3DT Scanfly ULTRA Xを装着する作業
写真⑤:M300 RTKへのペイロード装着。

2023年に、3DT Scanfly ULTRA X + DJI Matrice 300 RTKを導入しました。

さらに2025年には、DJI Matrice 4E + “精度ばちばち君”(KLAU PPK-J Desktop for DJI RTK)を追加導入しています。

DJI Matrice 4E本体
写真⑥:2025年に追加導入したDJI Matrice 4E。

導入後に直面した壁

導入後、最初から期待どおりのデータが得られたわけではありませんでした。

当初は非常に苦労をしましたが、計測数を重ねる度に樹木下の地表面の点群をうまく取得できるようになりました。— 井前建設株式会社 業務部 測量課

樹木下の地表面点群を取得するため、飛行高度や飛行ルートを変えながら計測を重ねました。

造成現場でMatrice 300 RTKと3DT Scanfly ULTRA Xの離陸準備をする様子
写真⑦:造成現場での計測準備。

現場で試行錯誤し、ノウハウを蓄積する

高度を変えてみたり、飛行ルートを変えてみたり、一つの現場でパターンを変えて計測し、次の現場でも活かせるようにしていきました。今現在もそうです。— 井前建設株式会社 業務部 測量課

導入初期の取り組みではなく、このサイクルを現在も継続しています。現場ごとの環境特性や経験を次の現場に反映し、新しい問題があれば検証を重ねています。

自社の対象現場において、環境、条件に合わせたデータ取得方法を確立しています。

機体に風速計を当てて風速を測定する
写真⑧:飛行前の風速確認。
現場のテント下でノートPCを操作する
写真⑨:現場での計測条件の確認。

現在、どのような現場で活用しているのか

弊社では、公共測量や工事測量でさまざまな現場があり、計測の目的が違うことが多々あります。— 井前建設株式会社 業務部 測量課

数値地形図の作成

広域な地形図が必要な案件で活用しています。

災害現場での変状把握

崩壊箇所の上部に亀裂などの変化がないかを確認するために計測しています。

砂防堰堤工事の計画支援

砂防堰堤工事や工事進入道路を計画するために計測しています。

ノートPC上の点群データと堰堤形状の3Dビュー
写真⑪:取得した点群上での検討。

調整点・検証点の選点計画

実際のデータ取得ではありませんが、調整点や検証点を設置する計画を立てるため、あらかじめMatrice 4Eで計測したオルソ画像を使って選点する作業にも活用しています。

未舗装路で離陸するMatrice 300 RTK、奥に測量用三脚
写真⑩:現場での離陸準備。奥に測量用三脚。

発注者への提案

「さまざまな要望に応じること、提案ができるようになりました。」
— 井前建設株式会社 業務部 測量課

具体的には、発注者側の状況に応じて次のような対応ができるようになったとしています。

  • 最初から3次元点群データを求める発注者に、そのまま応えられる
  • 「広域な地形図が必要だがどうしたら良いか」という問いかけに対し、こういった手法で地形図作成が可能であることを示せる
  • 従来手法では時間がかかる範囲について、UAVが有効であることを説明できる
  • ひとつの現場について、「この箇所は従来のTSで測量をおこない、この箇所はUAVでおこない地形図を作成することが有効である」という区分を提示できる

外注ではなく、自社保有・自社運用であることが提案力の前提になっています。

5名全員で技術を共有する運用体制

井前建設は、測量作業の進め方について次のように述べています。

作業として担当を決めるわけでもなく、知識を共有するため、5名全員で現地作業をしているので、提案もしやすいです。— 井前建設株式会社 業務部 測量課
社内で点群データを処理する様子
写真⑬:取得した点群の処理作業。
業務部オフィスの様子
写真⑭:業務部 測量課のオフィス。

SkyLink Japanの対応について

井前建設は、当初からSkyLink JapanでUAVを導入しています。

レーザー本体が故障したり、ケーブルが断線したりした際も、SkyLinkさんに迅速に対応していただき、非常に感謝しています。ソフトの使用方法などは講習でサポートしてもらっています。些細なこともメールで聞いていますので、導入後も問題ありません。— 井前建設株式会社 業務部 測量課

これからUAV LiDAR導入を検討する企業へ

弊社では導入を検討するというよりは、UAVレーザーで計測しなければならない公園予定地の計測現場がありました。— 井前建設株式会社 業務部 測量課

近年、UAVレーザーを保有する事業者が増えているのは、計測する現場があるからだと思います。

ただ、最初はうまく計測できない場合があります。はじめに話したとおり非常に苦労しましたが、計測数を重ねるたびに慣れてきます。— 井前建設株式会社 業務部 測量課
作業員が上空の機体を見上げる
写真:UAVレーザー計測の現場。
これからも活用していきます。— 井前建設株式会社 業務部 測量課(公共測量係・空間情報計測係)

取材協力

会社名井前建設株式会社
所在地奈良県桜井市
事業内容工事事業、測量事業(測量・地質調査)
Webサイトhttps://imaekensetsu.co.jp/
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