DJI製ドローンの中でも大型で、ペイロード(最大積載量)にも優れた機体「Matrice 600 Pro(以下、M600)」は利活用の幅が広く、空撮・産業分野向けUAV(ドローン)として大変活躍しましたが、残念ながら生産が終了してしまいました。
現時点で一部オプション品はまだ流通しているものの、その代替のドローン本体を探しておられる方も多いのではないでしょうか。今回はそういった方たちに向けて、おすすめのM600代替ドローンをご紹介いたします。
「DJI Matrice 600 Pro」特長のおさらい
◯ペイロード(最大積載量)
M600は6つのローター(プロペラ)を搭載し、ペイロードが最大6kgと他のDJI製ドローンと比較しても大きいことが特長の一つに挙げられます。
それまでに発売された、DJI製ドローン向け専用カメラやデバイスである「Zenmuse」シリーズにも対応。さらに同じくDJI製ジンバルである「Ronin-MX」と組み合わせることで、一般に市販される一眼カメラを搭載し、送信機側でシャッター操作やチルト・パン、また対応レンズの制約はあるものの光学ズーム操作といった制御も可能です。
その飛行性能を活かし、民生用の一眼カメラだけでなく、ハイスペックな超高解像度カメラやLiDAR(レーザースキャナ)などの大型の機材も搭載可能です。
◯カスタマイズ性
M600はDJI製「送信機チャンネル拡張キット」にも対応します。送信機と組み合わせ、システム側でそれぞれのスイッチ類にチャンネルを割り当てることで機能を拡張できる仕様になっています。例えば、ドローンに資材投下用のウインチなどを装着し手元でスイッチ操作することで、救助活動の役割を果たすなどといった活用も可能です。
こういった、機能を拡張するカスタマイズ性もM600の特長に挙げられ、現在も空撮だけでなく、インフラ点検、測量、救援などの産業分野へも広く活用されています。
一方で、初代Matrice 600が発売されてから年月も経ち、機体やシステムの老朽化、バッテリーやプロペラなどの消耗品供給への不安がある方も多いかと思われます。また、安全・安心に配慮されたドローンへの期待感から、代替製品のお問い合わせを頂く声も少なくありません。
ここから私たちSkyLink Japanがおすすめする、M600代替ドローンをご紹介しましょう。
おすすめ1「石川エナジーリサーチ Build Flyer(ビルド・フライヤー)」
石川エナジーリサーチ社は群馬県に本社を構えるメーカーで、国内開発、国内製造を行っています。「ビルド・フライヤー」は4つのローター、2つのリチウムポリマー(Li-Po)バッテリーを搭載し、無積載で最大飛行時間45分、最大積載量5kgの状態で25分飛行できるという性能が魅力です。
機体は保護等級 IP23をクリアした防塵・防水性能があります。これは、固形物の侵入を防ぐだけでなく、ダムや海上、雨天での飛行にも対応します。ただし現場では、搭載するカメラやデバイスなども加味し、飛行判断を行わないといけないため注意が必要です。
また、本体は軽量かつ高耐久・高剛性のマグネシウム合金を採用。イージーフォールディング機構と呼ばれる折りたたみ方法によってコンパクトに収納可能で、現場へ輸送する可搬性にも優れています。日本製の細やかな配慮が嬉しい仕様です。
おすすめ2「Aurelia X6 Max」
2機種目はアメリカに本社を置き、米国空軍やNASAにも納める信頼性の高いメーカーであるAurelia Technologies社のドローンです。
「Aurelia X6 Max」の特長はなんと言っても、マルチコプターでは最上クラスの最大飛行時間が70分もあることです。6つのローターを搭載し、ペイロード最大6kgの状態で約30分程度フライト可能です。
Gremsy(グレムジー)社製のジンバルと組み合わせ一眼カメラを搭載したり、LiDARなどの大型計測デバイスを積載することで、広域測量やインフラ点検業務での活用が期待されます。
またFPVカメラを標準搭載していますのでフライト中の映像を確認でき、より正確な状況把握やスムーズな飛行操縦が可能になります。
おすすめ3「Aurelia X8 MAX」
最後は、同じくAurelia Technologies社のドローン「Aurelia X8 MAX」です。X6と比較するとより積載量に優れた特長があります。ペイロードはなんと最大11kg。無積載の状態での最大飛行時間は55分で、最大積載の際は約20分程度飛行できます。
X8はIP53規格対応のローターを8つ搭載し、ほこりや湿気の多い環境でのフライトに強いことも魅力です。
その最大積載量の性能を活かして、大型のカメラやデバイスによる「データ取得」利用だけでなく、タンクやウインチを装着し「物を運ぶ」シーンにも活用が期待されます。海外では物資輸送の実験も行われ、LTE受信機と組み合わせることでより遠い場所までフライトさせることも可能です。
性能比較とまとめ
主な性能比較表
DJI | 石川エナジーリサーチ | Aurelia Technologies | Aurelia Technologies | |
---|---|---|---|---|
製品名 | Matrice 600 Pro | Build Flyer | Aurelia X6 Max | Aurelia X8 Max |
生産国 | 中国 | 日本 | アメリカ | アメリカ |
サイズ(展開時) | 幅1668mm 高さ727mm | 幅1280mm 高さ680mm | 幅1250mm 高さ625mm | 幅1630mm 高さ715mm |
重量(本体+バッテリー) | 9.5kg/10kg *バッテリー種別 | 11.6kg | 9.56kg | 11.46kg |
ペイロード(最大積載量) | 6kg/5.5kg | 5kg | 6kg | 11kg |
最大飛行時間(無積載) | 32分/38分 | 45分 | 70分 | 55分 |
最大飛行時間(最大積載) | 16分/18分 | 25分 | 約30分 | 約20分 |
ローター数 | 6(ヘキサコプター) | 4(クワッドコプター) | 6(ヘキサコプター) | 8(オクタコプター) |
バッテリー | 4500mAh x6(LiPo)/ 5700mAh x6(LiPo) | 22000mAh x2(LiPo) | 27000mAh x2(Li-Ion) | 27000mAh x2(Li-Ion) |
保護等級対応 | ー | IP23対応 | ー *IP53規格モーターオプション | IP53規格モーター搭載 |
以上、M600の代替ドローンとして、ペイロード5kg以上の飛行性能を持つ機体を中心にご紹介しました。
飛行性能もさることながら、小型UAVと比較して非常にカスタマイズ性が高く、空撮、測量、計測、インフラ点検、救援、物流など様々な産業向け利活用が可能です。
一方で機体本体のセレクトだけでなく、それらの拡張性の高さから、必要に応じた幅広いオプションの選択を求められます。そのため導入ご検討の際は、私たちSkyLink Japan含め、産業向けドローンの取扱いに長けたベンダーにご相談されてみてはいかがでしょうか。