ドローンPROパイロットインタビュー -Vol.3 株式会社チック 代表取締役 石田 一浩 氏

合格率わずか7%の超難関ドローン操縦技能認定試験を突破した、ドローン操縦のトップガンであるPROパイロット。
SkyLinkでは2016年からRave Projectと共催でPROパイロット技能認定会を開催しており、これまで37名もの合格者を輩出してきました。(2023年3月現在)
本シリーズは、そんなドローン操縦のスペシャリストたちにインタビューをしていく企画です。

第三回は、宮城・仙台でドローン専門の会社を経営されているPROパイロット・石田 一浩 氏にインタビューしました。会社経営に至ったきっかけから今後の展望までお話しいただきました。

■まずは自己紹介を簡単にお願いします。

株式会社チック代表の石田と言います。宮城県仙台市で、ドローンや水中の調査を請け負っている会社を経営しています。
趣味で始めたようなものなのですが、もともと一個前に別の会社をやっていて、その中で事業部のような立ち位置でたびたびドローン業務を受けていました。その後異動というか独立した結果、今のドローン専門の会社になったという経緯です。ですので、ほとんど遊びからはじまったイメージですね(笑)。

■ドローンをはじめたきっかけとドローン歴を教えてください。

ドローンは法律ができる前からはじめました。法律ができたのが2015年だったので、ドローン歴としては8年ぐらいですね。

僕は子供の頃からラジコンカーが好きでよく遊んでいました。大人になってやらなくなっていたのですが、ある時また遊んでみようと思い立って、ラジコンをネットで検索していたら“マルチコプター”と呼ばれるものが目に入りました。
当時は今あるようなドローンの形ではなく、部品やキットで売られていました。これは面白そうだと思い、部品を買って自分でドローンを作ってみたのがはじまりです。ちなみに僕が買ったのはTarot※1社のものでした。
そこからDJIのPhantomシリーズが出てきたり、国内でもドローン関係の企業ができたりして、世の中的にもドローン業界がこれから活気付いてくるのではないかという流れになっていった気がします。

※1…中国のドローンメーカー。ヘキサコプターやオクトコプターなど、自分で組み立てられるタイプのマルチコプターを販売する。

■PROパイロット認定会に挑戦しようと思った理由と実際受けてみた感想を聞かせてください。

PROパイロット認定会は、2回目か3回目の開催の際にはじめて参加した記憶があります。認定会の存在を知ったのは、おそらくSkyLink Japanのメールマガジンだったと思います。
当時は今よりも技術認定自体が珍しかったですし、この認定に合格している人は上手いんだろうなという認識があったのでPROパイロット技能認定会を受けようと思いました。
“自分はどのくらい飛ばせるのか“という指標が欲しかったというのもあります。

■上記に挑戦するにあたり、どのくらい練習をしましたか?

自分以外の周りの仲間たちが先に合格してしまったこともあって、参加3回目から4回目の数ヶ月間は毎日朝練していましたね。1日に触る時間は長くなくてもとにかく毎日触ろうと思い、外で飛ばせないときは室内で小さいドローンを使って練習していました。

実際、PROパイロットになって具体的に仕事につなげようと思ったわけではないです。当時すでに会社を立ち上げてドローン業務を請け負っていましたしね。
僕は4回目参加のときに合格したわけですが、周りの身近な人が結構PROパイロットに合格していったので、僕だけ不合格なままは嫌だな…という負けず嫌いの気持ちがあったので合格までやり続けました。あと、なんか物を買うときに一式揃えたいみたいな単純な欲求もありましたね(笑)。せっかくドローンやるならPROパイロット技能認定も取っとこう!みたいな。

合格するために練習した時間とか本選のあの緊張感とか、そういう経験は無駄にはなっていないと思っています。
今も難易度の高い現場があっても、あの時にあれだけ練習したんだから出来るだろうという自信になっていますね。
緊張感に関しても、PROパイロットの本選以上のことはないかなっていまだに思いますし(笑)。

■これまでやってきたドローン業務/今やっているドローン業務はなんですか?

弊社はかなり早い段階から産業寄りに絞って業務を行ってきました。空撮系に関しては今はもうほとんどやっておらず、計測・測量関連やインフラ点検などがほとんどですね。
だからドローンを使って飛ばす時間よりも、その後のSfM解析などの事務作業の方が時間としては長いんです。

また今は、水中ドローンを使った海中の点検や測量などが業務の半分以上の割合を占めています。
水中ドローンは、BlueROV2というアメリカ製の機体を使用しています。

Blue Robotics社(アメリカ)の水中ドローン・BlueROV2

水中ドローンの案件も点検業務が多いんですけれども、海底ケーブル関連や洋上風力※2の建設など全国的に増えているので、そういう業務をやることが今は多いです。

※2…海洋上で風力発電を行うこと。

洋上風力発電用の風車

■将来のドローン業界やドローンに期待することはありますか?また、個人的な目標などがあれば教えてください。

将来的にはもっと自動化が進むのではないかなと思っていますし、期待しています。
やれインフラ点検だ、やれドローンの新しい技術だと言いながらまだまだアナログな作業が多いので、これからどんどん法律が変わって、ドローンがもっと賢くなれば、今より自動になって人の手がかからなくなるのではないかと思います。
そうしてドローンが誰でも簡単に使えるようになって、単純なひとつの道具となったら僕らみたいな存在は必要なくなりますよね。そうなったら潔く辞めます!(笑)
それは本当の意味でドローンが普及したということなので、辞めることになってもそれはそれでいいのかなと思います。
会社はどうしよう、なくなっちゃうのかな(笑)。まあ、新しくまたニッチな立ち位置を見つけて何かしらやっていくんだと思いますね。

ドローンが誰でも簡単に使えるようになって、単純なひとつの道具となったら
ドローンが普及したということなので潔く辞めます。

株式会社チック 代表
石田 一浩

東北で生まれ育ち、2017年仙台に株式会社チックを設立。ドローン黎明期よりドローン業務を請け負うようになり、2017年にPROパイロット技能認定会に合格。現在はドローンに関する産業に幅広く携わり、業界の前線で活躍する。

株式会社チック HP:https://www.chick-fun.jp/

PROパイロット一覧

ドローン操縦技能認定試験(現在合格率7%)を突破した、ドローン操縦のトップガンをご紹介します。GPSを利用しない飛行においても、自転車のごとくドローンを操縦できるパイロットのみが試験を通過します。

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