合格率わずか7%の超難関ドローン操縦技能認定試験を突破した、ドローン操縦のトップガンであるPROパイロット。
SkyLinkでは2016年からRave Projectと共催でPROパイロット技能認定会を開催しており、これまで37名もの合格者を輩出してきました。(2023年4月現在)
本シリーズは、そんなドローン操縦のスペシャリストたちにインタビューをしていく企画です。
第四回は、高知の映像制作プロダクションで働くPROパイロット・山中 彬 氏にインタビューしました。普段の業務についてやPROパイロット認定会を受けた理由などお話ししていただきました。
■まずは自己紹介を簡単にお願いします。
高知県の映像制作会社でカメラマンをしている33歳の山中と申します。普段はいわゆる“担ぐ系のカメラ”——ENGカメラや、CM制作用のシネマカメラなどを使って撮影業務をしています。業務内容としては、高知ローカルのCMや番組制作がメインで、地上撮影9:空撮1ぐらいの割合で撮影を行っています。仕事の流れとしては、最初にディレクターがドローンを使用するかなどの方針を決めて、そこからカメラマンなどに「こういう撮影がしたいんだけど」といった相談があり進んでいくイメージですね。最近の映像制作は、ドローン撮影ができて当たり前という前提で、企業や自治体からのオファーがあることが多くなってきました。
個人でもDJI Mavic 2を所有しており、プライベートでも飛行させています。
■ドローンをはじめたきっかけとドローン歴を教えてください。
DJI Phantom1が出始めたころからドローンを使用していたので、使用歴は10年くらいになりますね。僕が今の会社に入ったばかりの頃でした。
その頃は、今のようにカメラとドローンが一緒になったものではなく、ドローンにGoProのような小型アクションカメラを取り付けて使う時代だったので、映像撮影ありきでドローンをスタートしました。
それまでこういったものはなかったので面白いなと思い、はじめは個人的にドローンを買って撮影していたのですが、これは仕事にも使えるのではないかと思って本格的に会社に導入を提案しました。ドローン撮影が流行りだしたのもちょうどこの頃でした。
とはいえ初めは会社からOKが出ませんでした。当時は改造しないとジンバルを取り付けられなかったり、機体の扱いも素人なので機体にGPSを捉えさせることも出来ず、落下させたり。
それが DJI Phantom 2ぐらいから機材に詳しくなくてもジンバルが別に取り付けられるようになったり、ジンバルカメラが元々付いているバージョン※1が出てきたりして映像撮影の機材として運用できる段階になったので、会社も導入を決定してくれました。
※1…DJI Phantom 2 Vision+のこと
■PROパイロット認定会に挑戦しようと思った理由と実際受けてみた感想を聞かせてください。
DJI Phantom1・2時代から自分の飛行技術が至らず墜落した経験があり歯痒い思いをしていました。そうした技術面、安全面での不安をなんとかしたいと思っていた矢先、Rave Projectの請川さんが2020年の東京オリンピックでドローンを飛行させる人材を募集しているのを知人から教えていただきました。それに参加してみたいなと思い調べていたときにPROパイロット技能認定会がはじまったのがきっかけです。
SNSを通して請川さんに連絡をしたところ、快く返事をくださって認定会に参加することになりました。
自分は2回目で合格したのですが、1回目も2回目も緊張はしました。
さらに自分が受けていた当時は外で認定会をやっていました※2。自分が飛ばす時には強風でもその風を計算しつつ飛ばさなければいけなかったので、お腹が痛かったですね(笑)。
※2…現在は体育館で実施している
■上記に挑戦するにあたり、どのくらい練習をしましたか?
仕事の合間をみて、朝・昼・晩と練習をしました。時間で言うと1日10分〜8時間ぐらいですかね。試験前の一ヶ月ぐらいは特に、受験勉強の追い込みのようにやっていました。
現在は社内で僕以外にもドローンパイロットが育っていて、僕自身が教えたりもしています。そういう指導ができるという面でもPROパイロットは受けていて良かったと感じますね。
■これまでやってきたドローン業務/今やっているドローン業務はなんですか?
ドローン業務としては番組、CM、PV、VP※3などの映像制作をメインでやってきました。
最近あった特殊な業務としては、博物館からの依頼で制作した360度のVR映像です。
博物館を訪れた年配の方や足腰が弱い人など山登りができない方がVRゴーグルをつけて、その360度の映像の中で山登りを体験できるというもので、360度カメラを使って地上で撮影をした映像と、DJI Inspire 2に360度カメラを取り付けて撮影をした映像を組み合わせて制作しました。
これは最近納品したものですが、映像制作でもドローンとの組み合わせ次第で可能性がさらに広がると感じました。
※3…Video Package(ビデオパッケージ)の略。主に企業や各市町村、教育機関などの団体が“特定の目的を達成するために制作した動画”のことをいう。
■得意とする飛行・撮影シチュエーションを教えてください。
撮影ロケでは撮影する対象物、撮影する場所など周りの環境や時間で色々変わることがあります。またディレクターの細かい指示に従いすぐ次のカットで修正した飛行方法・カメラ操作が求められます。そういった場合に、対象物が止まっているか動いているか関係なくすぐ対応し、なるべくテイク数が少なく使える映像を撮影することを得意としています。
先ほどのVRの業務の際も感じたことですが、山の映像を撮るので木と木の間を飛行させる必要がありました。難易度が高いフライトである上に、いつもとは違う360度カメラの設定への心配だったり周囲への安全配慮だったり、考えなくてはならないことがたくさんありました。
そんな中、もちろん安全第一でフライト・映像収録を成功させなければならない。プレッシャーを感じながらも、体は淡々と目的遂行に向けてさほど緊張せず、動いてくれます。猛特訓のおかげで体に染み付いたドローン操作技術。自分のドローン操作技術に対して気を遣わなくていい・うろたえなくて良くなったというところがPROパイロットになった一番の成果であると、こういった現場の都度都度、感じます。
■将来のドローン業界やドローンに期待することはありますか?また、個人的な目標などがあれば教えてください。
法律が変わって、レベル4が解禁されて有人地帯上空でもドローンを飛ばせるようになってきていますね。今までは出来なかったことがこれから一般人でも安全にできるようになっていってほしいなと期待しています。
個人的な目標としては、ドローン操作技術はPROパイロット試験を通して身につけられたので、これからはネットワークやインフラ等を通じて、産業方面にも挑戦してみたいと思っています。
最後に、PROパイロット技能認定会は立ち位置的にはドローンスクールでもないし、免許講習などでも無いですが、とても貴重なものだと思います。認定を受けることで、自分のドローン操作技術に裏付けを得ることができ、他の認定会では得られない自信に繋がったからです。
請川さんとSkyLinkさんが労力かけてやってくださって、いい経験をさせてもらったなという感謝の気持ちが大きいです。
最後にこの試験を受けるにあたり応援をしてくれた会社、指導をしていただいた高知の師匠、コーラー※3など一緒に挑戦してくれた仲間、家族、この場を借りて感謝を致します。
※3…PROパイロット技能認定会において、試験者に対し補佐やタイムキーパーをする人。同じPROパイロット認定会を受ける仲間内で担う。
株式会社RKCプロダクション
山中 彬
高知の制作プロダクションに勤務し、CMやテレビ番組など地域に根付いた映像制作を多く手がける。地上での撮影も空撮もこなす二刀流で、PROパイロットには27歳の若さで合格。現在は後輩への指導も自ら行い日々奔走する。
株式会社RKCプロダクション HP:https://rkc-pro.co.jp
PROパイロット一覧
ドローン操縦技能認定試験(現在合格率7%)を突破した、ドローン操縦のトップガンをご紹介します。GPSを利用しない飛行においても、自転車のごとくドローンを操縦できるパイロットのみが試験を通過します。