ドローンの撮影高度の求め方

測量業務には必須。ドローンの撮影高度の求め方

今や測量業務に欠かせないツールとなったドローン。

国土地理院が策定する公共測量の作業規程の準則には、UAV写真測量に関する様々な基準や作業プロセスが規定されています。

公共測量・作業規程の準則の「UAV写真点群測量」における規程では、撮影する写真の地上画素寸法は、作成するオリジナルデータの位置精度に応じて定められており、要求される位置精度に対応する地上画素寸法で撮影を行うためには、使用するドローン(カメラ・レンズ)の性能に合わせて撮影高度を決定する必要があります。

■ドローンの撮影高度の計算式

まず答えから説明すると、測量業務においてドローンの撮影高度は以下の計算式で求められます。

対地高度 = (地上画素寸法[m])÷(使用するデジタルカメラの1画素のサイズ[mm])×(焦点距離[mm])

参考:国土交通省 作業規定の準則 第420条

ここからは、上記の計算式で使用される各数値とその意味について説明していきたいと思います。

■UAV写真点群測量で求められる地上画素寸法

公共測量の作業規程の準則・UAV写真点群測量で求められる地上画素寸法は、オリジナルデータのX、Y、Z座標の位置精度に応じて、以下の3段階が標準として定められています。

位置精度地上画素寸法
0.05m以内0.01m以内
0.10m以内0.02m以内
0.20m以内0.03m以内

つまり、成果物としてX、Y、Z座標の位置精度が0.05m(5cm)のデータを作成するためには、地上画素寸法が0.01m以内(1cm/px)の写真を撮影しなくてはならないことになります。

■地上画素寸法とは?

そもそも、地上画素寸法とは何なのでしょうか?

地上画素寸法とは、地図や衛星画像の詳細度を表す指標になる数値で、1つの画素に写った地表の実際の面積(1つの画素が何メートル四方か)を表す数値です。

例えば、地上画素寸法が1メートルの場合、1つの画素には1メートル四方の地表の面積が写っていることになります。

■写真は小さな点の集合体である

上記の地上画素寸法の説明を理解するためには、そもそも「デジタル写真とは小さな点(画素)の集合体である」という事を理解する必要があります。

我々が写真として見ているデジタルカメラで撮影された写真データは、どんどん拡大していくと、普通に見ている分には認識できないレベルの小さな四角形の集合体であることがわかります。

この小さな四角形の点のことを「画素」と言い、高精細な写真を表す表現の一つである〇〇万画素といった呼び方をされる所以でもあります。

4000 x 3000の解像度の写真は、横に4000個、縦に3000個の画素が並んでいるという意味となり、4000 x 3000 = 1200万画素の写真ということになります。

■1画素のサイズの求め方

デジタルカメラの1画素のサイズは、撮影する画像の解像度とカメラに搭載されたセンサーのサイズによって異なり、以下の計算式で求められます。
なお、ここで言う1画素のサイズというのは1画素の一辺の長さのことです。

1画素のサイズ = センサーの水平長さ ÷ 水平画素数
もしくは
1画素のサイズ = センサーの垂直長さ ÷ 垂直画素数
*画素はほぼ正方形のため縦横どちらで計算してもほぼ同じ数値になる

カメラに搭載されているイメージセンサーのサイズは基本的に何種類かに限られており、以下のように既に分かっている数値になりますが、メーカーやカメラによって多少誤差があるためメーカー公称のスペック値を基準に計算を行うことになります。

センサー水平長さ x 垂直長さ (mm)
フルサイズ36 x 24
APS-C23.5 x 15.6
4/317.3 x 13
113.2 x 8.8
1/1.77.5 x 5.6
1/2.34.8 x 3.6

水平方向と垂直方向の画素数は写真の設定のままの数字を使えば良く4000×3000のフォーマットで撮影する場合は水平方向は4000画素、垂直方向は3000画素、ということになります。

実際に計算してみる

では、実際のカメラの数値を使って計算してみましょう。
今回は地上画素寸法0.01m(1cm/px)の精度で、SONY α7R Ⅳ + 28mmレンズを使用して撮影を行う場合を想定してみます。

【α7R Ⅳ + 28mmレンズ】
センサー:フルサイズ(35.7mm x 23.8mm)
画素数:9504 x 6336
焦点距離:28mm

高度 = (地上画素寸法[m])÷(使用するデジタルカメラの1画素のサイズ[mm])×(焦点距離[mm])
の式に当てはめると、
高度 = (0.01)÷(35.7 ÷ 9504)×(28)
高度 = 74.5 [m]

というように、α7R Ⅳ + 28mmレンズを使用して地上画素寸法0.01mの精度で撮影するには、高度74.5mで撮影を行う必要があるという計算が出来ました。

■まとめ

以上で説明した各数値を最初にご紹介したドローンの撮影高度の計算式に当てはめていくことで、UAV測量を行うための対地高度が算出できます。

ドローンの自動航行アプリなどでは機体やカメラ情報を自動で読み込んで高度を自動計算してくれる機能も搭載されていますが、その算出根拠となる計算式や各数値の意味を理解することで、UAV測量を行なう上でより一層の理解をした上で業務を行なうことができるでしょう。

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