今回のワークフロー概要
3DGSとは何か。まずは簡単に
最近、3D表現の分野でよく耳にするようになったのが 3D Gaussian Splatting(3DGS) です。これは、従来のメッシュや点群とは少し違い、空間を「無数の小さな3Dの粒」の集まりとして表現する考え方です。こうした粒を使うことで、写真のような質感を持った3Dシーンを、比較的軽快に表示しやすいのが大きな魅力です。Pix4Dの解説でも、3DGSは従来のメッシュや点群ではなく3D Gaussianの集合でシーンを表現する新しい再構築・レンダリング手法と説明されています。[2]
形状だけでなく、光の雰囲気や奥行き感、細い枝や複雑な植生の見え方まで、従来の方法より自然に感じられる場面があります。Pix4Dも、Gaussian Splattingは細かな幾何形状や細い構造物の表現に有効だと案内しています。[2]
今回やってみたこと
今回は、SkyLink Japan 京都事務所の近くにある加茂川河川敷の桜並木を、Insta360の360°カメラ(Insta360 ONE RS)で動画撮影し、その映像から3DGSデータを作ってみました。参考にしたのは、360°カメラ映像から比較的シンプルな流れで3DGSを作るKotohibiさんのワークフローガイドです。ガイドでは、360°カメラ、Metashape、静止画切り出しツール、Metashapeの結果をCOLMAP形式のCubemapへ変換するツール、そして3DGS学習ソフトを組み合わせる流れが紹介されています。[3]
私の環境では、動画から静止画を切り出すツールと、MetashapeのSfM結果をCOLMAP形式へ変換するツールを購入して使用しました。MetashapeはProfessional版を使い、3DGS学習には LichtFeld Studio を使用しました。LichtFeld StudioはGitHub上で free and open source と案内されており、COLMAPデータセットからの学習、リアルタイム表示、エクスポートまで1つのツールチェーンで扱えるのが特長です。[4]
処理時間はPCスペックに左右されますが、今回の一連の流れでは合計で 6時間ほど かかりました。ただ、その時間をかける価値は十分にあり、完成したデータは春の空気感まで伝わる、とても魅力的なものになりました。
今回使ったソフト・ツールの概要
1動画から静止画を切り出すツール
今回のワークフローでは、まず360°動画から静止画を切り出します。参考にしたガイドで紹介されている Extract Sharpest Frame は、指定した間隔ごとに最もシャープなフレームを選んで書き出すツールです。さらに、人や車などの動体マスクも生成でき、後段のSfM精度向上にもつながる構成になっています。[3]
2Metashape
切り出した静止画の位置関係を計算し、カメラ位置や点群を作る工程では Metashape を使いました。Agisoftのマニュアルでは、Metashapeは spherical camera(equirectangular projection) に対応しており、球面画像はCamera Calibrationからカメラタイプを設定することで扱えます。今回参考にしたガイドでも、切り出した全天球画像を読み込み、Camera Typeを Spherical に変更してSfMを進める流れが案内されています。[5]
3Metashape 360 to COLMAP Converter
Metashapeで得られたSfM結果を、そのまま3DGS学習へ持っていくのではなく、COLMAP形式のCubemapデータに変換するのが次の工程です。参考ガイドのツールでは、入力画像フォルダ、MetashapeのXML、PLYを指定し、6方向画像へ展開してCOLMAP形式に整えます。360°画像を3DGS学習に載せやすい形へ橋渡ししてくれる、今回のワークフローの要になるツールです。[3]
4LichtFeld Studio
3DGS学習には LichtFeld Studio を使いました。GitHub READMEでは、COLMAPデータセットから新しいシーンを学習でき、リアルタイムで再構築を確認しながら、PLY・SOG・SPZ・スタンドアロンHTMLビューアへエクスポートできると説明されています。無料かつオープンソースで、GUIベースで扱えるのはかなり魅力的です。[4]
実際の流れ
今回の大まかな流れは、次のような形です。
- Insta360で桜並木を360°動画で撮影
- 動画からぶれの少ない静止画を切り出す
- Metashapeで画像を位置合わせし、カメラ位置と点群を作る
- その結果をCOLMAP形式のCubemapへ変換する
- LichtFeld Studioで3DGS学習を行う
- 完成したデータを確認・共有する
参考にしたガイドでも、360°動画を歩きながら撮影し、静止画切り出し、MetashapeでのSfM、Cubemap変換、そしてLichtFeld StudioやPostshotでの学習、という流れが整理されています。[3]
完成して感じたこと
実際にできあがった3DGSデータを見ると、桜並木のやわらかい雰囲気や、春らしい空気感までかなり自然に再現できていて、素直に「これは面白い」と感じました。静止画や通常の動画では伝わりにくい"その場に立っている感覚"を残せるのが、3DGSの強みだと思います。
今回作成した3DGSデータの紹介動画(YouTube)
少し前までは、こうした表現はかなり専門的でハードルの高いものに感じられました。しかし今は、360°カメラ、写真測量ソフト、変換ツール、そして学習ソフトを組み合わせることで、個人や企業でも十分に試せるところまで来ています。ワークフローの整理や、無料で使える学習環境の充実を見ると、3DGSはかなり身近になってきていると感じます。[3]
まとめ
3DGSは、単に新しい3D表現というだけでなく、現場の雰囲気や空間体験を、よりリアルに残すための手段としてとても可能性のある技術だと思います。今回のように、身近な桜並木を題材にしても、十分に見応えのあるデータを作ることができました。
今後は、こうした技術がさらに進化し、より簡単な手順で、より高品質な3Dデータを作れるようになっていくはずです。春の景色を3Dで残す体験はとても新鮮だったので、興味のある方はぜひ一度試してみてください。
参考リンク
3D計測・可視化ソリューションのご相談
SkyLink Japanでは、こうした3DGSを含む先端的な3D可視化ワークフローに関連して、Pix4Dmatic のような再構築・共有ソリューションや、CHCNAV RS10 のようなGNSS RTK・SLAM・LiDARを統合した3D計測機器も取り扱っています。
Pix4DはGaussian SplatをPIX4Dcloudで生成・表示・ダウンロードでき、PIX4Dmaticからクラウド処理へ送る運用にも対応しています。[1]
CHCNAV RS10は屋内外での3Dスキャンや測量に対応するモバイルマッピング機として、3D計測ワークフロー全体を支える選択肢の1つです。[6]
3DGSのような新しい表現技術は、今後ますます現場活用が進んでいくと感じています。現場記録、点検、測量、プレゼンテーション用途まで含めて、3D活用にご興味があればぜひご相談ください。
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